ひるね＠赤ＢＰＥのブログ一覧

子供に読ませようと思って入手して、大人が心打たれた絵本です。

でも本来、絵本って子供のものとは限らないんですよね。
同じ絵本でも子供とは全く違う部分に共感したり。どうみても子供向けの絵本に、大人にしかわからないテーマが隠れていたり・・。
とても深い世界です。この歳で、子供を持ってからそれに気がつきました。


この作品、けっこう有名で名前だけは耳にしていましたが、アニメが先だったとは知らなかった。
著者が私と同い年なのも。


海の上に家が点在する奇妙な村。
そのうちのひとつに住む、おじいさんが主人公。
年々水かさが増えるので、上に向かって階を建て増ししながら暮らしています。
だから「積み木の家」。

あるアクシデントをきっかけに、海の底へと潜って行ったおじいさんが、
過去に沈んだ家々に自分の記憶を重ねてゆく。

淡々と進む物語、劇的な展開があるわけでも、泣かせるセリフがあるわけでもないのに、
最後、建て増しした家で一人微笑むおじいさんのラストで不覚にも・・・。


水が増えて生活を脅かす海は人生の厳しさそのもの、それに抗うように家を建て増ししながら生きる人の意志の強さ、かけがえのない人との思い出の美しさ、、。
静かな感動と共に大切なものに気付ける1冊でした。

ただ小さい子供には、まだ本当の良さは伝わらないだろうな。。
まさに今、色んなものを背負って生きている大人にお勧めです。