みなさんこんにちは!みぃきゅーぶです!!
僕の生まれ育ったこの町、高知県四万十市は、今もあるのですが小さな児童公園があります。
ジャングルジム、ブランコにシーソー、そして滑り台など、子供たちが朝から晩まで時間を忘れて遊び回っていた公園です。
そして何より、男の子を虜にしていたのがゴーカートです。
今あるようなスピードが出てレースをするようなのではなく、子供たちが交通ルールを遊びながら学べる、そんなにスピードが出るものではないゴーカートでした。
僕は物心がついた三歳ころから車が大好きで、当時の車種は難なく答えられたほどのマニアでした。
なので、親の車はもちろんとにかくタイヤが4つ付いた乗り物が大好きでたまらん感じでした。
そして上級生たちが楽しそうにゴーカートを乗っているのを、指をくわえて見ていた記憶があります。
基本、ゴーカートは二人乗りで(一人乗りのもありました)、ハンドルは2つ付いておりましたが、運転出来るのは大人等の保護者や、規定の身長をクリアしている児童に限られていました。
親等の運転で助手席に座って乗る事はよくありましたが、自分で運転することが身長の関係でまだ出来ませんでした。
そんなある日、僕の四歳年上のイトコのお兄ちゃんとこの公園へやってきました。
目的はもちろんゴーカート。まだ運転はできませんが、乗れるのが本当に楽しみでしかたがありませんでした。
この公園のゴーカートにはルールと言うか走り方があって、決められたコースを正しく走るという規定がありました。
コース内にはちゃんとした信号機や踏み切りなんかがあり、それらを正しく守りながら決められたコースを走って行きます。
もう何回も利用しているので、四歳年上のイトコのお兄ちゃんはもちろん、まだ幼かった僕も走り方は熟知していました。
ただいつもと違ったのが、自分たちの親がいなかった事でした。
保護者はいなくてももちろん利用出来るので、チケットを購入していよいよ自分たちの番になりました。
僕らが乗ったのは赤い二人乗りのゴーカート。運転席はもちろん、助手席にもハンドルがついているモデルです。この2つのハンドルは直結しているので、同じように動きます。
職員のオジサン「さあ、今からスタートだよ。君はこっちのハンドルは危ないからさわったらいかんよ?お兄ちゃんの運転に任せようね!」
幼少僕「うん!」
イトコ「よし、行くぞ!」
ゴーカートのエンジン音を響かせながら颯爽とスタート。気持ちの良い風が吹き抜ける、日曜の昼下がりです。
ゴーカートから公園内を見ると、当時の僕と同じ年頃か少し下の子供たちが羨ましそうに僕らを眺めていました。
僕はたまらない優越感に浸りました。
それはイトコのお兄ちゃんも同じだったようで、心なしかカッコつけて運転しているようにも思いました。
なんだか分からないけど自分の世界に入っていたのか、はたまた何かになりきっていたのか、イトコは片手運転をして少しよそ見をしていた時でした。
職員のオジサン「こりゃああああ!!!」
怒鳴り声が聞こえてハッと我に返った二人。気がつくとコース内の交差点の信号が真っ赤の中、我々は突っ切っていました。
信号無視です。
職員のオジサンはなんか物凄い怖い顔をして、メガホンだか新聞紙を丸めて棒状にしたようなものだかを持って、つかつかとこっちに向かって来ていました。
ヤバい。
メッチャ怖い。
オジサンが真っ赤っかだ。
イトコのお兄ちゃんと言えど当時はまだまだ子供。若干パニックになり、しどろもどろしていました。
職員のオジサン「あやほりまめになねたえなゆなさたぬかし」
もはや何を言っているのか聞き取る事が困難なほど怒っています。
それもそのはず。
パニックになっていた我々は信号無視に加えて、むちゃくちゃなコースを走っていました。
前途記述した通り、決められた走り方でコースを走らなければなりません。
それがもうなんだかわけの分からないコース取りになっていました。
迫り来るオジサン。パニック中の我々。スピードの出ないゴーカート。職員のオジサンに捕まるのはもはや時間の問題でした。
幼少僕(僕がなんとかしなきゃ)
この時すでに、追い付かれた職員のオジサンによってメガホン的な何かで頭をバンバン叩かれていたのですが、止まりなさいの忠告をよそにゴーカートは動き続けています。
アクセルやブレーキはもちろん運転席側にしかありませんので、僕にはもうどうすることもできません。
今思えばなぜイトコはアクセルを緩めようとしなかったのでしょうか?
薄れ行く意識の中で、一応決められたコースを走っていた(つもり)の我々の目の前には、突き当たりのガードレールが。
そこはT字路だったので、右か左に曲がらなければなりません。
イトコのお兄ちゃんを見ると、半泣きになって戦意喪失していたようでした。
幼少僕(お兄ちゃんはもうだめだ。僕がやってやる!)
かく言う僕も色んな恐怖が入り交じり半泣きだったのですが、やるしかありません。
助手席側のハンドルを握って備えました。
職員のオジサン「そやゆみあかえそやわんてねあしか!!!!!!」
何語なのでしょう。もうそんな事すら分からないぐらい極限にまで追い込まれていた僕。
そしてその時はきました。
幼少僕「よし、左や!!」
僕が左にハンドルを切った瞬間。
イトコ「み、右~~!!!」
イトコはハンドルを右に切りました。
この瞬間何が起こったかと言うと、僕はハンドルを左に、イトコはハンドルを右に切ろうとしていたので、結果ゴーカートは真っ直ぐ進みました。
幼少僕&イトコ「あ」
職員のオジサン「ばかーー!!!」
あ、バカって聞こえた!と思った瞬間、無惨にもゴーカートはガードレールへクラッシュ。やっとゴーカートは止まりました。
幸いにもゴーカートはそんなにスピードが出ないから大事には至りませんでしたが、怖い大人たちに散々説教され、涙目になって公園を後にしました。
また数日後に懲りずに遊びに来ると、あの時怒られた職員のオジサンに、次は気をつけて乗れよと優しく声をかけてもらいました。
それから自分が大きくなるにつれて、この公園には行く事もなくなり、現在に至ります。
最近ふと、この当時の事を思いだし、夕暮れ前にその公園を覗きに行きました。
公園はあの日とほとんど変わらぬまま、ひっそりとたたずんでいました。
あの頃は小さな子供たちやその家族で、多少なりとも賑わっていた姿は、今はありませんでした。
公園内に入って辺りを見回すと、あの頃遊んだ記憶が少しずつよみがえりました。
懐かしさもあり、少しスマホで写真を撮ってその場を後にしました。
町にある小さな公園。
みなさんにもそんな思い出の公園はありますか?