• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2024年11月06日

EV入門編その⑱ バッテリー編

EV入門編連発。EVは情報が少ないので・・お許しを(笑)
今回はバッテリー編です(前回はバッテリー素材編(笑))
と言いつつ、モーターに続き、バッテリーについても私は素人ですので、バッテリーの現在地を一緒におさえましょう(笑)

中国自動車市場は2035年の販売規制まで残り10年あまりを残して、(中国自身が掲げている)新エネルギー車、いわゆるNEV(BEV、PHEV、CEV)への移行が猛スピードで進んでいます。
(私も勘違いしていましたが)また、中国は新エネルギー車には含めてはいませんが、意外な事に2035年以降もハイブリット車(HEV)の販売はOKです。
ですから、純内燃機関車は、NEVとHEVに挟撃されて、スーパーカーや、USトラック等、富裕層が乗るジャンル以外は急速に縮小していくでしょう。
勘違いといいますか、最近のCATL関連のニュースを見ていて、もう一つわかったことがあるのですが「REEV」いわゆる、レンジエクステンダー付きEV、中国語で「航続距離延長型電気自動車」も中国が定義する新エネルギー車に入ることがわかりました。

「2024年9月、中国国内の新エネルギー市場の浸透率は53%に達し、3カ月連続で50%を突破しました。新エネルギー車のうちわけはPHEVが32%、REEVが11%で、合計43%を占めています。このようにPHEVは「ガソリン車から電気自動車への転換」過程における移行製品という位置付けではなく、独立したカテゴリーとして認識されています」

まぁ、日本も自身で定義したHEV(ハイブリット車)が新車販売(軽自動車除く)の50%を既に超えていますけどね。
中国としては、要は国家戦略的に戦略製品に定めた「バッテリー」を大容量で搭載する車の製造販売を奨励し、他国がハイブリット車に進むにしてもどのみち使用するバッテリー産業において圧倒的優位なポジションを取らせる戦略だったようですね。

さて、日本においてはカー雑誌以外、ハイブリット車の種類を理解していない報道が多く、ストロングハイブリット車、プラグインハイブリット車、レンジエクステンダー付きEVの区別がついていないようですが、TDKさんのHPに以下の図と説明がありました。さすが、TDKさんは、CATL設立にいっちょ噛みし、モバイルバッテリーで世界最大手のATL(100%子会社)を傘下に持つだけありますね(笑)

図中、上がハイブリット車。バッテリー容量も小さく、バッテリーへは外部充電機能がない。よって、EVだけでの走行は数キロ分
alt
図中、下がプラグインハイブリット車。バッテリーが空になったら、エンジンも動力として使用。バッテリー容量も小型BEV並みに大きい為、EVのみの走行距離も、比較的大きく現在の主流は100km前後。バッテリーへは外部給電も可能。
そして、NEEV(レンジエクステンダー付きEV)は、エンジンは動力に使用せず、発電のみ。ここまでは日産のe-power搭載車と同じ。バッテリーも大きく、中国が新エネ車に含めるものは外部給電も可能。
alt
この中国の新エネ車であるPHEVとNEEV用に、CATLが先月凄いバッテリーを投入してきました。
「10月24日、CATL(寧徳時代)はREEV(レンジエクステンダー付きEV)とPHEV(プラグインハイブリッドEV)市場向けに「※驍遥(ぎょうよう)超級増混電池」)を発表。このバッテリーは、REEVとPHEVの需要に合わせて専門的に開発・設計されたものであり、EV航続距離は400km以上。4Cレートによる超急速充電が可能で充電時間も大幅に短縮するという」
※「驍遥(ぎょうよう)超級増混電池」は、フリーヴォイ スーパーハイブリッド バッテリー(Freevoy Super Hybrid Battery)


「EVモードで400キロも走るなら、BEVで良くね?」と言う声もあるようですが、安価で高効率大容量バッテリーの開発により、エンジンをおまけにつけても、安く、そして軽く(従来比)できる、と言うところを読み落としています。
また、日本のネットでよく現れる「一回の給油(充電)で2,000キロ以上走らなければ実用車とは言えない!」に応えるジャンルです。冒頭の方で記したように、中国で普及の進むPHEVやNEEVは、もはやBEVへの移行製品ではなく、恒久的な一つのジャンルになっています。
最後に、まとめとして、CATLで現在発売されている主力バッテリーを3つ並べてみます。
①「麒麟」バッテリー。
エネルギー密度は三元系電池版で255Wh/kg、安価なリン酸鉄リチウム電池版でも160Wh/kg。72%の体積利用率を実現したことにより、1,000キロの走行が可能。また世界初の電池セル冷却技術により、※10分間の急速充電で10‐80%までの充電に対応。また5分間での急速ホットスタートにも対応している。
既に、Zeekr 009、Zeekr 001、 ファーウェイのAITO(問界)ブランドの新モデルや、ニュルブルクリンクで4ドア最速タイムを叩きだしたシャオミ(小米汽車 Xiaomi Auto)SU7の「MAX」と「Ultra」に搭載されている。
※日本の充電インフラでは、無理(笑)

②「神行」バッテリー
安価なリン酸鉄リチウム材料を使用した4C超急速充電電池。700キロ以上の航続距離を可能とし、充電性能は10分間の充電で400キロ分の航続距離を実現。
前出のシャオミSU7で言えば、Proがこの「神行電池」を搭載。
ちなみに、SU7のノーマルはBYDのLFPバッテリーを搭載。

③「驍遥」(フリーヴォイ)バッテリー
EV航続距離は400km以上。4Cレートによる超急速充電が可能で充電時間も大幅に短縮されている。フリーヴォイにはCATLのナトリウムイオンバッテリー技術が搭載(混載)され、摂氏-40度までの極寒環境下での放電能力、摂氏-30度までの充電能力を達成。摂氏-20度まで常温に匹敵するシームレスなパフォーマンスを
2025年から吉利(Geely)や奇瑞(Chery)のPHEVを始め30モデルへの搭載が始まります。
EVガー。マイナス35度対応までもう一歩(笑)

この航続距離の1,000kmやら700kmやら400kmやらの根拠(何kWhのバッテリーで?)が見えないですが、ちょうどSU7がグレード別に異種類のバッテリーを搭載しているので、そこから航続距離を逆算してみると、
MAXの麒麟バッテリーの電池容量は101kWhで航続距離は810km。
PROの神行バッテリーの電池容量は94.3kWhで、航続距離は830km。
しかし、上記は中国独自のCLTCモードですから、WLTC換算(21.7%悪化)810kmは、634km。830kmだと650kmですかね。
まぁ、SU7のMAXはシステム総出力が673ps(495kW)/838Nm。0→100km/h加速2.78秒、最高速265km/hの車として、WLTC換算の航続距離634kmなら、まぁ、良い方かと。

リチウムイオン電池については、ノーベル賞を受賞した日本の吉野彰博士が、1985年に安全で実用的にする決定的な発明をし、現在のリチウムイオン電池の基礎を築きました。その為、リチウムイオン電池は日本企業が先行し、しばらくは日本企業の独走状態でしたが、その後、韓国勢が台頭。そして2015年には中国勢が日韓勢を抜き、現在はバッテリー生産のみならず、サプライチェーンの上流から下流までも抑えていて独走体制に入っています。
その先行、独走している中国でさえ、リチウムイオン電池から、ナトリウムイオン等、リチウムを使用しない電池への移行を初めています。
リチウムは、200年分以上の埋蔵量がありますが、実はオーストラリアとチリの2か国で81%もの産出量を占めています。その為、中国勢とて、戦略的にナトリウムイオンバッテリーへの移行を進めていく必要があります。
これは、中国でさえ調達に不安があるコバルトを使用しないLFPバッテリー普及で克服している動きにも似ており、戦略的に動いているのが見てとれます。

ちなみに、何度か記していますが、CATLは、日本のTDKが無ければ、少なくとも今の形のものは存在していなかった、と言うのが、日本人として一つ溜飲が下がるところです。

「1999年、エンジニアのロビン・ゼン氏が設立した※アンペレックス・テクノロジー社(ATL)が2003年にアップルからiPod用バッテリーの製造委託を受け、急成長を遂げました。その後2011年、ATLのEV用電池事業は、CATLにスピンオフしました」
※ATLはTDKの子会社。

昨日の結論と一緒ですが、バッテリーの進化も1年ひと昔のスピード。
無尽蔵にある資源を利用できるナトリウムイオン電池も、密度、重量にまだまだ克服すべき課題があり、ようやくリチウムイオンとナトリウムイオンの良いところ取りの混載として「驍遥」(フリーヴォイ)バッテリーが登場してきた所。
また、世界で競争が繰り広げられている「自動車用全固体電池」もコストが克服できておらず、ここはメルセデスベンツが先行しているようですが、このような高級な車からの搭載で進むことが予想されます。
普及型は、莫大な研究開発費を注ぎ込み続けているCATLとBYDの2強が市場を引っ張り、そしてその体制がしばらくは続くでしょう。
ブログ一覧 | BEV入門 | クルマ
Posted at 2024/11/07 12:10:46

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

関連記事

BYD シール06DM-i 2
べたぶみさん

EQEは燃えているのか?その③
セイドルさん

トヨタの命運を賭けた「bZ3X」。
散らない枯葉さん

中国の世界最大手?
kimidan60さん

ボルボ&BMWのEV
セイドルさん

この記事へのコメント

2024年11月7日 17:53
日産は、全個体電池でエネルギー密度が2倍になり価格が1/2になると言っていましたが、九州のLFP工場の計画からやっぱり無理なのかと思ってしまう。そういえば、全個体電池のパイロット生産がそろそろかと?初めは順調な事を広報が発表してマスコミがそのまま伝える。

次期TESLAモデルYのRWDがCATLの6M(LMFP)採用との噂も有りますね。

バッテリーの進化はEV利用に限らず、スマホやPCや家電は勿論、再生可能エネルギーや船、航空機、鉄道なども進化させる可能性がある。中国勢は、会社のトップが10年以上前に可能性を見いだせてる。日本勢は、技術者が説明しても理解出来ない様な役員ばかりでバッテリー開発に対し必勝する覚悟を決めた予算を充てていない、今に成って大慌て、トヨタは佐吉の夢を追うと誓い、トヨタバッテリー株式会社を設立したけど、なんで今頃なの?と思ってしまった。
コメントへの返答
2024年11月8日 9:06
案の定、「EVに傾注したから」とか真反対の勘違いコメントであふれていますが、世界3大市場が定義する「EVにシフトできなかった」のが全てですよね。しかも、せめて北米でハイブリット車を投入できていたら・・。
全固体はマクセルさんが、産業用ロボットや心臓ペースメーカー等用に出していますが、大型自動車用となると、メルセデスとベンチャーが先行しているようです。おっしゃるように、今更中国に特許抑えられているLFPですし、迷走と言いますか、先行している時に、手を打っていなかったのが今の全て。
内田社長就任時、ちょうど同志社大学に行く用があって、(彼は神学部なので)神学部が盛り上がっていたのですが、神頼みも駄目だったようです(笑)
もっとも学部や学科なんかはどうでもいいのですが、トヨタの佐藤社長は、理工学部機械工学科であり、技術については経験と勘所がありそうです。トヨタの方は、原点に立ち戻り、佐吉さんの夢を追い、バッテリーで反撃。まだ期待できますね。

>技術者が説明しても理解出来ない役員ばかり・・

まさにそう。30年の低迷の原因です。私は技術者ではないですが、20数年前のウォルマートのDXシフト、アマゾンのEC革命に衝撃を受け、帰国してDXシフトを訴えましたが、誰も理解してくれなくて、愕然と膝をついてしまってからはもう起き上がれてはいません(苦笑)

そしてサラリーマン社長の内いった何人が人生をかけて挑戦しているのか・・。

シャオミの雷軍氏は
2021年3月末
「私の人生のすべての成果と名誉を賭け、シャオミの自動車事業のために戦う」

日本人が毎日、爆発、棺桶、自動発火装置、ギャヒーギャヒーと言っている敵の姿です。

プロフィール

「@べたぶみ さん 貿易、、WTOの精神がわかってないのが、政治家にもいるとは、、
立憲ミンスに珍しく得点入っているようですが、アメリカ人(一般)をワロエない、、」
何シテル?   04/30 18:47
No Mopar,No life! Buy Mopar right now!! 基本、爆音、マッスルカーが好き。でも住宅地での爆音は嫌い(笑) ポ...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/5 >>

     1 23
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

リンク・クリップ

【ありがとうございました】3310 COFFEE BREAK MEETING_04 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/05/05 09:12:14
バッテリー容量とか充電効率とかについて 消費電力及び電費詳細2024年5月9日 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/05/10 20:04:09
安価でロードノイズを制する方法 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/05/07 09:04:59

愛車一覧

メルセデス・ベンツ EQE メルセデス・ベンツ EQE
日本や中国(およびアメリカのいくつかの州)は10年後の2035年以降においても内燃機関搭 ...
いすゞ ジェミニ いすゞ ジェミニ
いすゞジェミニ+ユーロウィンカー+いすゞインパルス仕様+スピードガレージG5エアロ。 エ ...
ジャガー I-PACE ジャガー I-PACE
再びジャガーに戻ってまいりました。相変わらず忙しくしてまして・・画像はほとんどありません ...
BMW 7シリーズ BMW 7シリーズ
VW、アウディ以来の久々のドイツ車です。 色はソフィストグレー。色のブレンドにバイオレッ ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2008年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2007年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation