タイトルはその②ですが、先ほどのナフサ話から、話は飛びますが(出先でも書ける話(笑))、
中国は、このホルムズ海峡危機も今回は涼しい顔。この機会に、資源人質外交、再エネシフト、原発シフト(日本海側に原発銀座を爆裂構築中)とNEVカーシフトを計画的に確実に進めています。
まず、中国の自動車産業戦略の状況です。と言いつつ、再エネなどはまた今度で、この自動車の話題しか書きませんが(笑)
中国自動車工業協会(CAAM)が発表した、2026年1〜5月期の新車販売状況ですが、「中国メーカーのシェア7割超え」が統計データとしてはっきりと裏付けられる結果となりました。
1. メーカー国籍別シェア:
2026年1〜5月の乗用車販売における国籍別シェアでは、中国ブランド(中国自主ブランド)が71.0%を占め、ついに大台の7割を突破しました。2025年通年のシェア(69.5%)からさらに数字を伸ばしています。これに対して、日本車をはじめとする外資勢のシェアは軒並み下がっている状況です。
国籍・ブランド1〜5月期市場シェア
1.中国ブランド 71.0% (7割突破)
2.ドイツ系10.4%
3.日系(日本車)8.7% (1桁台へ後退)
4.米国系7.0%
5.韓国系1.6%
2. 全体の販売状況と動力源別の動向
1〜5月の中国全体の自動車販売台数は、1,220万7,000台(前年同期比4.2%減)でした。国内の消費マクロ経済の影響などで全体の台数自体は微減していますが、その中身(動力源)の入れ替わりが進んでいます。
1~5月のNEV(新エネルギー車)の累計販売台数: 580万2,000台(前年同期比3.5%増)
シェア(浸透率): 総販売台数の47.5%(5月単月ではNEVの割合が62.9%)
5月の中国全体の自動車販売台数は、前年同月比2.1%減の262万9,000台(国内販売+輸出の合計)。
内訳を見ると、内需(国内販売)が約2割減と落ち込む一方で、輸出が約7割近く急増しており、「海外市場が全体を支える」という構図が強まっています。
動力源別で見ると、以下の通り「新エネルギー車(NEV)」へのシフトがさらに加速しています。
新エネルギー車(NEV:EVやPHVなど):
国内小売市場におけるNEVの浸透率が62.9%と過去最高を記録(卸売ベースでも初めて60%を突破)。つまり、中国国内で売れる乗用車の6割以上がすでに電気自動車やプラグインハイブリッド車になっています。
ガソリン車:
燃料価格の上昇やNEVへの買い替えが進んだことで大幅に低迷。月間の乗用車販売トップ10からガソリン車が消滅するほどのインパクトとなっています。
3. メーカー別の動向
中国市場のトップ争いにも大きな変化が起きています。
BYD(比亜迪):残念ながら?(笑) 5月の販売台数は38万3,500台に達し、長年トップに君臨していた外資合弁大手の上海汽車集団(上汽集団)を抜いて中国首位に返り咲きました。
第二世代ブレードバッテリー搭載車の生産が軌道に乗ってきており、買い控えていた層への販売もあがってきました。韓国はじめ、一部の国では売れすぎて受注停止に追い込まれています。
その他の中国勢:
長安汽車や、ファーウェイ(華為技術)が展開する「鴻蒙智行(HIMA)」、新興EVの蔚来汽車(NIO)なども好調を維持しています。
4. 「日本車(日系メーカー)の現状
トヨタ、ホンダ、日産の大手3社ともに5月は前年同月比で減少幅が拡大しています。
ホンダにいたっては前年同月比48.7%減の2万8,279台。これで実に28カ月連続のマイナスとなり、ほぼ半減という単月戦績となりました。1〜5月の累計でも17万3,344台にとどまっています。
昨年度は61万台で、この数字は5年前の179万台から66%減と、歴史的大敗を喫しています。昨その昨年度からも半減しているという、もう退場も考えなくてはならない状況になってきました。
「EV全振りが失敗したのではなく、EVにシフトできなかった」のが敗因です。
(まず、現地合弁会社である「広汽ホンダ」の工場を2026年6月に休止、もう一つの「東風ホンダ」の工場も2027年に休止)
日系では比較的踏ん張っていたトヨタも、この5月は前年同月比31.7%減の10万2,300台となってしまいました。1〜5月の累計販売台数で見ても、前年同期比14.8%減の57万9,400台と、はっきりと右肩下がりのトレンドに入っています。
中国市場は「国産NEV(EV/PHV) vs 外資ガソリン車」の勝負が完全に決着しつつあります。
なぜ、これほど普及しているのでしょうか。
これは、ガソリン価格の高騰により外資(日系・ドイツ系)が得意とするガソリン車・HEV(ハイブリッド)の市場自体が急速に萎んでいる一方、維持費の安いNEVに消費者が一気に流れているからです。
また、中国企業の圧倒的な開発スピードと企画力があります。
各社には、世界から優秀な技術者が集まり、日本の数十倍いる理系学生が毎年入社。そして24時間三交代で研究開発を進めています。
そのため、BYDや奇瑞(チェリー)などの中国勢は、次々と新しいNEVモデルを投入し、サプライチェーンの現地化(内製化)も相まって価格競争でも外資を圧倒しています。
輸出の大爆発: 国内需要が停滞する中、中国メーカーは海外輸出を劇的に伸ばしています(1〜5月のNEV輸出は前年同期の2.1倍に急増)。これが全体のシェアをさらに押し上げる要因となっています。
5.日系メーカーの 「得意な戦場」自体が消滅しつつある
中国市場では、かつて主要な戦場だった「ガソリン車」および「通常のハイブリッド車(HEV)」のシェアが、凄まじい勢いで縮小しています。
トヨタは中国において、ガソリン車や「カローラ」「カムリ」などのHEVで圧倒的な強さを誇っていましたが、中国の消費者の関心は完全に「プラグインハイブリッド(PHV)」や「純電気自動車(EV)」へ移っています。狙っているパイ自体が激減しているのが最大の痛手です。
2. 中国勢による猛烈な「価格戦」
中国の国内メーカー(特にBYDなど)は、PHVやEVの価格をガソリン車以下に引き下げる、文字通りの「破壊的な価格競争」を仕掛けています。
これまで「価格は少し高いけれど、信頼のトヨタ」と選んでいた中低価格帯のユーザー層が、安くて速くて装備が豪華な中国産のNEV(新エネルギー車)へ一気に流れてしまいました。
3. EVシフトへの対応の遅れ
トヨタも中国市場向けに「bZ(鉑智)」シリーズなどのEVを投入し、5月は合弁会社の広汽トヨタが展開するEVが約1万台売れるなど健闘はしていますが、全体の落ち込みをカバーするには全く足りていません。次世代EVの開発や投入のスピードが、週単位で進化する中国メーカーに追いついていないのが実情です。
だが、心・配・ご無用?
ここのところずっと中国が日本よりも大票田でしたが、トヨタ自動車(レクサス等を除くトヨタ単体ベース)の2026年1〜5月期の販売台数は以下の通りで、【結果】日本市場 > 中国市場となりました。
・中国市場:約 57万9,400台 (前年同期比 14.8% 減)
・日本市場:約 61万4,000台 (前年同期比 約 15% 増)
・(参考)北米市場:約 98.5万台(レクサス含 前年同期比0.3%減)
中国市場での大幅な落ち込みに対し、日本市場が力強く回復したため、数年ぶりに「日本市場の方が売れている」状態へと逆転。
5月単月でも大躍進: トヨタの2026年5月の国内販売台数は11万2,016台(前年同月比12.6%増)と大幅に伸びており、コロナ禍以降の5月としては過去最多の販売戦績を記録しています。
つか、国内普通乗用車市場はトヨタ一強体制。
バックオーダー(受注残)の解消: 長らく続いていた半導体不足や、一部車種の認証不正問題に伴う生産停止からのリカバリーが進み、溜まっていた注文分の出荷(登録)が一気に進んでいます。
世界的に見てもガソリン価格は安く、トヨタの強みが100%活きる環境が維持されています。
参考の北米市場は、まさにガソリンからハイブリットへの電動化開花期を迎えており、5月は57%に達しています。わずか数年前は4%でしたので、激伸びです。この爆裂的な伸びは、北米市場におけるハイブリッド車比率が、8割程度に達するまでは、トヨタ車はわが世の春であるといえます。その春の期間にどれだけの手を打てるか?ですね。
市場規模そのものは中国市場の方が圧倒的に大きい(日本市場の約5倍)にもかかわらず、ブランド別の販売台数でも中国勢が7割に達したという事実は、現在の中国市場がいかに異次元のスピードで変化しているかを物語っているといえるでしょう
Posted at 2026/06/15 17:23:30 | |
トラックバック(0) |
ちょっとビジネス寄り | ニュース