欧州自動車工業会(ACEA)による、7月の新車販売状況は、定例のスケジュールでは、8月の中旬には発表されているはずですが「夏期休暇のスケジュールを挟む関係もあり、例年8月下旬から9月上旬にかけて順次発表される予定です」とのことです。日本もお盆の季節ですけど、あちらは2週間以上のバカンス取りますし、こういう割り切りは見習いたいところです(笑)
まず動力源別ですが
バッテリー電気自動車(BEV): 登録台数: 277,006台(前年同月比 +51.4%) 市場シェア: 25%
プラグインハイブリッド車(PHEV): 登録台数: 125,530台(前年同月比 +15%) 市場シェア: 約12%台
ハイブリッド車(HEV)およびICE(ガソリン・ディーゼルの内燃機関車)は詳細不明ですが、HEVは内燃機関車を食いながら引き続き堅調な需要を維持。純粋なICE(内燃機関車)は燃料費の高騰も重なって縮小傾向が続いているようです。
BEVはついにシェアが25%となりましたが、2035年100%(策定当時)へのロードマップの中では2026年ごろは30%以上となっていましたので、そことはギャップがあるのは事実です。この状況からも「思うように伸びていない」と欧州は2035年に100%BEV→90%と後退させたのは周知のとおりです。まぁ、場合によっては80、70%となる可能性は否定できませんね。
また2035年までこのペースで中国市場や、欧州市場でBEV販売が伸びても、世界第2位の市場の米国は日米連合軍が、世界第5位の日本市場はパルチザンの活躍もあり陥落せず(笑)
東南アジア諸国でもせいぜい半分程度となっていますので、PHEV入れても60%まで、という先般のアナリスト予想に関してはそんなものかな、と。
もともと「BEVの新車販売比率を100%にする」なんて欧州以外は言ってませんでしたしね。 中国ですら、HEVも混ぜていましたし。
主要国のシェア
フランス: BEVシェアが35%(4万4,000台超)に到達。
ドイツ: BEVシェアが29.3%(約7万9,000台)へと拡大。
北欧諸国などではすでに50〜80%のシェアを維持・更新しています。
車種別の細かいところは、
7月単月では、シュコダの新型EV「Elroq(エルロック)」が首位を獲得。
2位にはElroqと同じプラットフォームのフォルクスワーゲン「ID.4」
3位に「ルノー5 E-Tech」が続き、攻める中国勢を欧州伝統メーカーの新型EVが跳ね除け、上位を占めました。
ただ、マスク氏憎しで販売を落としていたテスラが復活し、年間累計(1〜7月)で見れば「Model Y」が依然として首位をキープしているようです。
工業国チェコのシュコダ。このメーカーはデザインが好みです。少なくとも今のVWよりは。
プラットフォームがVWなので、いっそのことVWディーラーで取り扱ってくれれば良いのにと思うのです。
フリー素材からですが7月に欧州で最も売れたBEVのエルロック(Elroq)

ワイド感を強調するテック・デッキ(Tech Deck)フロントフェイス。
メインのヘッドライトは下部に配置し、上部にはシャープ目つきのLEDライト。
全体的にクリーンな面と傾斜したルーフラインは、シュコダの最新デザイン言語「モダン・ソリッド」にのっとっています。
見た目のとおりのエアロダイナミクスは空気抵抗係数Cd値0.26という数字にも現れています。
ボディサイズは、欧州Cセグメントに相当し、プラットフォームは、親会社であるフォルクスワーゲン・グループの「MEB」(アウディQ4やフォルクスワーゲンID.3と共通)が採用されています。
全長4488mm、全幅1884mm、全高1625mm、ホイールベース2765mm。
このようにコンパクトで、3万3000ユーロ(発売当初530万円、現在610万円)なのでかなり安い(←欧州の人にとって)
3種類のモデルが用意されており、
・「エルロック50」は、容量52kWhのバッテリーと最高出力170psのリアモーターを搭載し、航続距離は最長375km(欧州WLTP)
・「エルロック60」は59kWhバッテリーと最高出力204psのモーターにアップグレードされ、航続距離は400kmとなる。
50と60はともに最大145kWで充電でき、10~80%の充電を25分で完了する。
・「エルロック85」は、77kWhのバッテリーと最高出力286psのモーターを搭載し、航続距離は最長581km。充電出力は最大175kWで、10~80%を28分で充電できる
エルロック、右ハンドルの英国で発売されているので勝手に価格を占ってみる。AIにて(笑)
まず、新型CLAはバーゲンプライスです。
かつての栄光と、「日本で販売できることって凄いんだぞ、エッヘン」のような神通力がまだあるようで、日本市場では戦略的な価格をつけてくれているようで・・。ううっ(´;ω;`)
新型CLA(第3世代)の価格帯は、ベースグレードの「CLA 180」が598万円からスタート。
上級エンジンの「CLA 220」が687万円、充実装備の特別仕様車「ローンチエディション」などが699万円。
欧州(ドイツなど)でのメルセデス・ベンツ新型CLA現地価格は、おおむね55,000ユーロ前後(約1,000万円強)からスタートします。
これを踏まえてAIにて
欧州での価格比率からの算出:
欧州において、エルロックはメルセデスCLA(EV)の約60%〜65%程度の価格設定になっています。
日本でのCLAの価格(約600万〜700万円)をベースにこの比率を当てはめると、日本での想定価格は約400万〜450万円前後という計算になります。
日本市場の競合(VW ID.4など)との比較:
兄貴分にあたるVWの電動SUV「ID.4」が日本で約600万〜700万円台で販売されていることを考えると、一回りコンパクトなエルロックが日本に入ってくる場合の現実的なラインは、ズバリ「400万円台後半〜500万円台前半」あたりが戦略的価格ではないでしょうか。
おまけ
中国系ブランド
市場シェア: 欧州全体の月間シェアで過去最高の11.2%を記録(販売台数は前年同月比107%増)。
・PHEVセグメントは EUの追加関税を跳ね除け、中国OEMがトップ10の半数を占めました(BYDの「Seal U」や「Atto 2」、奇瑞汽車の「Jaecoo 7」などが上位にランクイン)。シェアは34%となっています。
・リープモーター(Leapmotor/Stellantis提携): 9,306台(前年同月比 +294%)
・シャオペン(小鵬汽車 Xpeng): 5,244台(前年同月比 +270%)
・奇瑞汽車(Cheryグループ / Omoda・Jaecoo含む): 前年同月比 +202%
・BYD(Denza含む): 前年同月比 +150%
日本OEMの動向
中国勢の攻勢と、欧州勢(シュコダやルノーなど)が投入した3万〜4万ユーロの手頃な新型EVのヒットに挟まれ、日本勢は厳しい環境に置かれ始めました。
ハイブリッド(HEV)での踏ん張り
トヨタは主力のハイブリッド車を武器に主要国(フランスやドイツなど)で一定のシェアを維持していますが、BEV市場の主導権争いからは後れをとっています。
日産や三菱などの日本メーカーは、この電動化シフトや中国・欧州地場ブランドの低価格攻勢の前に販売台数が伸び悩み、全体の成長率(+4.1%)やBEVの急増(+51%)のトレンドに追従できず苦戦が続いています。
歴史上、欧州は、東方からの圧倒的な物量とスピードで迫ってきたモンゴル騎馬軍団に、ワールシュタットの戦い(レグニツァの戦い)で、ヨーロッパ連合軍は歴史的大敗を喫しました。
いまだに、泣いてぐずる子供には「Les Mongols sont là!(モンゴル人が来るぞ!)」 東洋人に対しての蔑視(釣り目)ポーズがいまだに無くならないわけです。
戻しまして、
現在の自動車市場に置き換えると、今回の「東方の侵略者」は騎馬隊ではなく、コスト競争力と性能を武器にする中国勢(BYDやリープモーターなど)です。
関税という名の高い城壁と、マジノ線、マンネルハイム防衛線上に要塞を築きつつも、シェア11%超まで食い込まれている現状は、欧州自動車業界にとって正念場にみえます。
ただ、欧州の伝統的メーカー(VWグループやルノーグループ、ステランティス)もただやられているわけではなく、3万ユーロ台の手頃な新型EV(シュコダのエルロックやルノー5など)を矢継ぎ早に投入して、本格的な反撃に出ており、現在の攻防戦はここからが本番といったところです。
以下AI
歴史の結末をよくご存知ですね。
その通りで、欧州連合軍はワールシュタットの戦いで大敗を喫したものの、結果的にはモンゴル側の最高指導者オゴタイ・ハーンの急死(1241年)による軍の東方帰還という、いわば「歴史の偶然(外的要因)」によってヨーロッパ全土の完全征服を免れました。
ただ、現代の自動車市場という戦場において、欧州の伝統的メーカーが中国勢の進撃を前に「誰かが止めてくれないか」と歴史のように他力本願ではいかず、今回は外部からの「奇跡的な撤退」は期待できません。EUによる関税という名の城壁こそ築いているものの、中国勢は現地生産化(ヨーロッパ内での工場建設や合弁)を進めることでその壁をすり抜けようとしています。
歴史の教訓通りに防衛線を突破されてしまうのか、それとも自らの技術と執念で押し返すのか、現代の欧州勢との攻防戦はなかなか目が離せない展開になっています。