
※長文です。お時間あるときにどうぞ。またブログ主の主観に基づくものですので、不快に感じられましても責任は持てません…。
スバルの新型スポーツセダン、WRX S4に試乗してきました。
まずは沿革から説明します。
先代までのWRXは、インプレッサのトップグレードとして君臨していましたが、今回のモデルから、WRXとしての独立したモデルになっています。(厳密には先代から独立しかけていましたが…)
開発自体はWRXが先行して行われ、WRXのフロントセクションをそのまま流用してワゴンにしたのが、現在売れまくっているレヴォーグです。
したがって、レヴォーグの走りはWRX直系と言っても過言ではないと思います。
かつてランサーエボリューションワゴンというのがあったと思いますが、あれと似た感じですね。
さて、今回のWRXから、明確に3ペダルと2ペダルで車種を分けています。
・WRX STI → 6MT
・WRX S4 → CVT
そしてそれぞれに、ノーマルとtypeSという上級グレードがあるという、ごくシンプルなラインナップ。
それぞれの諸元表は以下です。
・WRX STI(379万円)
4595*1795*1475
WB:2650mm
トレッド:1530/1540mm
車重:1480kg
エンジン:EJ20 308馬力(6400rpm)/422Nm(4400rpm)
燃費:9.4km/L
タイヤ:245/40R18
・WRX S4(334万円)
4595*1795*1475
WB:2650mm
トレッド:1530/1540mm
車重:1540kg
エンジン:FA20 300馬力(5600rpm)/400Nm(2000-4800rpm)
燃費:13.2km/L
タイヤ:225/45R18
本日試乗したのは、WRX S4の方なので、重さは1540kgと昨日試乗したCクラスからすると100kgほど軽い状況。それに300馬力のエンジンを積んでいますから、遅いはずもありません。
まずは運転席ドアを開けて乗り込みます。
運転席ドアは軽いです。開閉時の質感は、残念ながらベンツには届いていません。
おそらくスカイラインくらいと同列だと思います。
閉めた時の剛性感がイマイチに感じられてしまう音です。残念ポイント。
運転席は至って普通です。
ステアリングが小径のDシェイプなのは、結構スポーティに感じられます。
右スポークのボタンは、アイサイトのクルコン制御と、SIドライブ(エンジン特性の変更)のスイッチです。
メーターの真ん中の表示切替のスイッチは左スポークの下に見えている奴ですね。
センターコンソールの質感も、プラスチッキーな感じで、スバルが目指した上質には届いていない感じ。
Pブレーキは電子式で、使い勝手は良さそうです。
さて、エンジンをかけます。
最新のスバルのボクサーサウンドは、実は物凄く静かです。
かつてのようなドコドコ音はありません。
エンジン始動後でも、ほとんど聞こえません。
WRX S4という車が、STIと比較して上品なイメージで売ろうとしている為だと思われます。
BLレガシィからの乗り換えを狙っているようですし、それなら静粛性は大事ですからね。
ディーラーから出て幹線道路へ出ます。
速度域が高まるにつれて、ロードノイズが大きくなりました。
風切り音などは抑制されていますが、ロードノイズはベンツやスカイラインに比較すると入ってきます。
車体剛性は非常に高いようで、軋み音などは一切ありませんでした。
足回りは非常に柔らかいです。
ベンツのエアサスの、COMFORT・SPORT・SPORTプラスのうち、SPORTを選択した時のような感触。
ふわふわと揺れることはないけど、路面への当たりは非常にソフト。
背が高いので、ロール感も結構あります。
試乗車はtypeSじゃないので、ビルシュタインダンパーが付いていません。
KYBのダンパーがついているモデルなんですけど、これはビルシュタインを付けないと初期のBL乗りからしたら、足が柔らかすぎると思われるでしょう。
私の前車↑は先代のWRX STI(GRB)なので、それより明らかに柔らかいです。
STIサスペンションキットを入れた私のGRBは、R35GT-RのMY13のCOMFORTよりわずかに柔らかい程度ですから、結構固かったんですよね。
エンジンは文句なく力強いです。
踏むとCVTのシャーーーンという音とともに、直列とも違う水平対向4気筒の音が響きます。
でも、比較的静か。
CVTと直噴ターボの相乗効果で、加速は素晴らしいです。
踏み込み量が多いと、CVTの無段変速じゃなくて、わざとステップ変速のような制御もしています。
…それなら最初から多段ATにするかDCTを開発すればいいのに、と思わなくはないですね。
何故なら、レヴォーグでも見られた悪癖ですが、パーシャルスロットルでの速度維持が結構難しい。
慣れで解決する問題かどうか分かりませんが、多分慣れなんでしょう。
コーナリング中のパーシャルスロットルで加速しすぎてしまう悪癖は、怖いですね。
それを解決するために、おそらくSIドライブが活躍します。
Iモードは燃費重視、Sモードはリニアな加速、S#はアクセル開度最大です。
実用上は、Iモードで十分パワフルです。
Sの必要性は正直分かりません(^_^;)
S#にすると、CVTの無断変速から、8段ATのような擬似ステップ制御になります。
こうなると、ステアリングについているパドルシフトで変速が可能です。
変速スピードも結構早くて、R35のノーマルとRモードの中間くらいでしょうか。
十分実用になると思います。
総括すると、非常によく出来た車です。
車内の高級感は今一歩ですが、走りに関する部分では、手を抜いていません。
車体剛性などの部分では十分ですね。
残念ポイントとしては、ロードノイズが速度で結構大きくなること。
後述しますが、ホイールが内股。
足回りがもう少し硬くならないか。
このくらいですね。
お値段のほとんどを走りにつぎ込んでいる面は好感が持てます。
おそらくアイサイトの使い勝手も非常に良いようですし、国産で良いセダンは?と聞かれたら、まず挙げる車にはなるでしょう。
個人的には、刺激が足りないと感じました。
これはやはりWRX STIを試乗しないと分かりませんね。
今日行った店舗には無いそうなので、今度探して行ってきます。
以下、写真蔵。
エクステリアは、ほぼレヴォーグです。
リアセクションのデザインのやっつけ感は減点ポイントですね。
小さいリアスポがついていますが、あれでゼロリフトを達成しているとか。
意外に優秀なデザインみたいです。
デカ羽も付けれまして、それを装着するとダウンフォースが発生するとか。
ヘッドライト。
ロービームはLED4灯。凄く明るいらしい。
ハイビームはハロゲン。本当に残念過ぎるポイントの一つ。
ウインカーはフォグの上です。
WRX S4のオーナメント。
S4の赤色とか、凄くアウディとかぶってますけど、ロゴ的に大丈夫?
凄くシンプルなリアコンビランプ。
フロントタイヤと拡大されたフェンダー。
ホイールからのエアアウトレットが装備されていますが、実はこれも残念ポイント。
見た目だけで、実はどことも繋がっていません!
これは先代型から同じでした。
せっかく付けるんだから、穴開けようよ…。
ミラーには左右にウインカーを点灯していることが分かるように、内側に切り欠きがあります。
必要?
前席・後席全景。
フロントシートは、スポーツバケットシートになります。
標準がファブリック、typeSが人工皮革+アルカンターラ、オプションで本皮です。
形そのものは変わりません。
写真はファブリック。
すわり心地は中々良いです。サポート性もまずまず。ベンツのAMGラインよりは少し弱い感じ。
シート座面が、スカイラインやベンツCクラスに比較して、やや小ぶり。
長距離走った時に、これは結構効いてくるかも。
試してみないとなんともいえませんが。
後席の居住性は、正直いって、ベンツCクラスより良いです。広い。
前席・後席ドア。
レッドステッチと人工皮革で質感を上げようと頑張っています。
でもまだまだプラスチッキーな所が目立ちますね。
実はBMWの1シリーズもこの程度です。
全ての窓が完全オートなのは素晴らしいです。
先代は前席だけオートでしたからね。
メーターとダッシュボード。
メーターはレッドで280km/Hスケール。
勿論180でリミッターかかりますよ。
デザインは結構スポーティです。
真ん中の液晶も使い勝手良さそう。
ダッシュボードのマルチファンクションディスプレイも、色々な表示が出来るみたいです。
試乗時は、加給圧が表示されていました。
DOPのナビを装着すると、この一等地に右左折の表示などが出るようです。
ベンツやBMWのヘッドアップディスプレイほどではありませんが、目線移動が少ないのは安全に対しても良い事です。
ダッシュボードはカーボン調加飾パネルが装着されています。
偽物丸出しはどうかと…。
個人的花丸ポイント。
中央の肘置きですが、前方にスライドしてくれます。
非常に自然に左肘を置くことが出来ました。
見た目上の最大の残念ポイント。
内股。
全幅を15mm拡大しておきながら、トレッドもタイヤサイズもレヴォーグと同じなんです。
つまり、相対的にタイヤが内側に入り込んだように見えます。
WRX STIだと、245/40R18のタイヤなので、15mmの拡幅など問題にしない程度になると思うんですが、WRX S4の場合はそうはいきません。
見た目上、かなり貧相になっています。
スペーサーが大活躍する気がします。
同僚に、WRX S4が気になっている人がいるので、またもやスバルのセールスマンとなって、売り込みをかけようと思っています。
その人はフォルクスワーゲンのシロッコに乗っていますが、私のセールストークによって、「WRXカッコいいわー」と陥落寸前です。
ぜひ買って頂いて、乗せてもらおうと思います。
以上です。
読んで下さりありがとうございます。