この記事は
わかっているようで実はわかっていない!バネレートとレバー比と固有振動数(等)の記事の一部です。
ここからアクセスされた方がいましたら、上記のリンクから他の項目の方も見ていただけると嬉しいです。
・プリロード
よく聞く話だと
全長式はプリロードはかけてはいけない
ネジ式はプリロードでしか車高をいじれないから買わないほうがいい
等と、プリロードをかける=悪みたいな噂が蔓延っています。(笑)
はいそれ。間違いです!w
じゃあそもそもプリロードってなんぞや?って話です。
いわゆる0G状態(足回りがフリーになっている状態)である程度バネを潰すこと。
1Gで100ミリ縮むバネに40ミリプリロードをかけておけば、1Gになったときに60ミリしか縮まない!ってことができます。
例えば車高調を組んだけど少しの段差ですぐ底付きしてしまう。
減衰をいじったり車高を調整したが改善しなかった。
だからこのメーカーの車高調はクソ!っていう人を見たことがありますが、それは車高調が悪いのではなく
正しいセットアップができないあなたが悪いだけです。
まず自分の車についているバネレートとレバー比を調べておきます。
例えば1Gでバネから50ミリ縮み、ショックのストロークが70ミリあると過程。
ということは
ショックのストローク-1Gでのバネの縮量=残りストローク量(以降有効ストローク) が出ますので
70mm-50mm=20mm
有効ストロークは20mmです。
つまり折角70ミリもあるストロークのうち、実際に縮み方向に使えるストローク(有効ストローク)は20ミリしかない!ということ。
少し考えればわかると思いますが、1Gで50mmも縮むということは、それのおよそ半分の0.5Gほどの入力があればすぐ底付きする、非常に乗り心地の悪い車の完成です!w
そこで予めバネを潰しておきます。30mm程プリロードをかけてみましょう。
1Gバネ縮み量-プリロード量=最終バネ縮量(実縮量)
50-30=20
実縮量20mm
更にさっきの計算式
ショックのストローク-1Gでのバネの縮量=有効ストロークを使用し
70mm-20mm=50mm
有効ストローク50mm
プリロードをかけたとこにより
20mmしか有効ストロークがなかったのに50mmまで増やすことができました。
トータルとしてみればバネは50mm縮んでいますが、実際に1Gになって20mmしか縮まない。その分余力が生まれる!って事です。
ちなみに1Gバネ縮量50mm 有効ストローク50mmなので2G位の入力がないと底付きしません!
なぜかみんなが忌み嫌い0にしたがるプリロードを掛けたことにより、乗り心地がだいぶ改善されるのではないでしょうか!?
ちなみに1Gバネ縮み量とか有効ストロークって名は勝手に僕がつけた名前です。
逆に0G〜1G分のストロークは(勝手に?)伸びストロークって呼んでます。
なのでこの場合の伸びストローク=1Gバネ縮量なので、
プリロード0では50mmあった伸びストロークは
プリロードを30mmかけたことにより20mmまで減ってしまいます。
※伸びストロークも重要なので全くの0になるくらいプリロードをかけるととんでもない乗り心地になりますw
・プリロードも加味した車高調整
フロント 10k レバー比1.2 プリ0mm ショック有効ストローク90mm 800kg
リア 12k レバー比1.4 プリ10mm ショック有効ストローク80mm 400kg
から
フロント16k+8k(密着ストローク50mm)
リア 20k+3k(密着ストローク60mm)
に変更した。
有効ストロークをフロント50mm 対してリアは伸びストローク40mmになるように調整し、車高はそのままになるように調整する。
まず使用する計算は
スプリングと
ツインスプリング時のレート計算と
レバー比の計算
の3つです。大掛かりですw
現状の確認をフロントから。
バネレート/レバー比/レバー比=実行レート
10/1.2/1.2=6.9k 実行レート6.9k
荷重/バネレート=実バネ縮み量
400kg/6.9=58mm 実バネ縮み量58mm
実バネ縮み量-プリロード=バネ縮量
58mm-0mm=58mm バネ縮量58mm
ショック有効ストローク-バネ縮料=ショック残りストローク
90mm-58mm=34mm 残りストローク34mm
変更後
メインレート*サブレート/(メインレート+サブレート)=合成レート
16k*8k/(16k+8k)=5.3k 合成レート5.3k
バネレート*密着ストローク=密着重量
8*50=400kg 密着重量400kg
バネレート/レバー比/レバー比=実行レート
5.3/1.2/1.2=3.7 実行レート3.7k
荷重/バネレート=実バネ縮み量
400kg/3.7=108mm 実バネ縮み量108mm
ショック有効ストローク-実バネ縮量=ショック残りストローク
90mm-108mm=-18mm 残りストローク-18mm
必要伸びストローク量+残りストローク量=プリロード
50mm-(-18mm)=68mm
プリロード量68mm
ここまでは有効ストロークに合わせる計算。ここから車高をあわせる計算を行う。
バネ変更前実バネ縮み量-バネ変更後実バネ縮み量=ショック調整量
58mm-108mm=-50mm ショック調整量-50mm
車高を合わせるために-50mmショックを縮める=50mmショックを伸ばす。
最終的にフロントは
プリロードを68mmかけ、ショックを50mm伸ばすことで
前と同じ車高のまま、有効ストロークを50mm確保することができました!
続いてリア。
変更前
12k/1.4/1.4=6.1k 実行レート6.1k
200kg/6.1k=32.8mm 実バネ縮み量32.8mm
32.8mm-10mm=22.8mm バネ縮み量22.8mm
80-22.8mm=57.2mm 残りストローク57.2mm
変更後
20k*3k/(20k+3k)=2.6k 実行レート2.6k
3k*60mm=180kg 密着重量180kg
※サブスプリングが車重以下の重量で縮んでしまうため、一度計算から外す。
200kg/20k=10mm 実バネ縮み量10mm
※残りストロークがでたところで、再度サブスプリングの計算を行う。
実バネ縮み量+サブスプリング密着ストローク=実実バネストローク
(ややこしいw)
10mm+60mm=70mm 実実バネストローク70mm
そして今回必要なのは伸びストロークなので
実実バネストローク-必要伸びストローク=プリロード調整量
70-40=30mm プリロード調整量30mm
22.8mm-70mm=-47.2mm ショック調整量-47.2mm
ショックを47.2mm縮める
最終的にリアは
プリロードを30mmかけ、ショックを47.2mm伸ばすことで
前と同じ車高のまま、伸びストロークを40mm確保することができました!
もちろんプリロードはショックが底付きしないようにするためのものとか、そういう意味ではないですが、全く意味のないものではない。
むしろすくバンプタッチや底付きしてしまうのを軽減するのにも役立つものだということがわかっていただけだでしょうか?
底突きやバンプタッチによる乗り心地の割さに困っている方。
ものは試しにプリロードかけてみましょう!
更に自分で計算していい感じの車高にしちゃいましょう!