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2026年08月21日 イイね!

クルマデザインを「様式史」として眺める試み(1970年代)

クルマデザインを「様式史」として眺める試み(1970年代)







今回は1970年代の日本車デザインを「様式」として眺めてみます。

以前、「80年代にファセット様式が確立した」とまとめましたが、この「ファセット様式」が生まれる前夜、日本車はどんな美学を追いかけていたのか。

自分の少年時代の記憶と、様々なデータを照らし合わせながら整理してみると、“二重構造”の時代だったのではないかと感じました。

少年時代の記憶をたどると、当時の日本(特に若者)は本当にアメリカデザインに憧れていたように思います。
マッスルカーの佇まい、太いCピラー、サーフィンライン…。あの“おおらかで強そうな雰囲気”は、クルマ好きの若者の心を一発で持っていく力がありました。

一方で、性能志向の人たち、今で言う玄人系のオタク層は欧州車を見ていたように思います。
BMWの端正さ、アルファロメオのシャープさ、ポルシェの流麗さ。フェラーリやランボルギーニが主役のスーパーカーブームもありましたし、「本物のスポーツは欧州だよな」という空気は、子供の自分でも感じていました。サーキットの狼に夢中になっていた小学生は、免許も持てないのにスーパーカー消しゴムを弾きながら「コルベットは直線が速いだけだよなー。やっぱりコーナリング性能はロータスだからなー。」なんて言っていた記憶があります(笑)。

つまり
70年代の日本車は、文化的にアメリカを見ていた層と、性能的に欧州を見ていた層があった。

言い換えると、
「日本車はアメリカを見ていたし、欧州も見ていた」。

この二重構造がそのままデザインに反映されていた時代が70年代だったのだと思います。

当時の一般的な日本人の感覚としては、
アメリカ車=高性能
アメリカ車=優れたデザイン
アメリカ車=憧れの対象

という認識が強かったように思います。豪華装備、マッチョなプロポーション、ロングノーズ、太いCピラー、装飾的なラインなど、アメリカ的な要素を積極的に取り込んでいたのも自然な流れだったのでしょう。

同時に欧州ではすでに、
VWゴルフ(コンパクトハッチの原型)
BMW・メルセデス(セダンのフォーマット確立)
ポルシェ・フェラーリ・ランボルギーニ(スーパーカーの造形言語)

が確立していました。性能志向の人たちは、こちらの美学を強く意識していたはずです。

1980年代に日本車が「ファセット様式」という独自の直線基調デザインを確立するまでの約10年間、1970〜80年は「模索と吸収」の時代だったと考えています。
欧米のデザインフォーマットを必死に取り込みながら、技術的制約と市場の価値観の中で独自の造形を探っていた時代。(これを「パクリ」と言う人もいますが、当時の日本は悪意ではなく、欧米の技術力に少しでも追いつこうと“学習”していたのだと思います。)

1970年代の日本車は、今日の基準で見れば動力性能が必要十分とは言えないモデルが多く、坂道や高速道路では「辛い」と感じるスペックが一般的でした。だからこそユーザーは“性能”を強く意識していたはずです。
「お金を出せば性能が手に入る(高級車=高性能車)」
「性能こそが魅力」
「スペック競争こそブランド価値」

という価値観が社会全体に浸透していた。結果として、デザインは性能を引き立てる“器”として扱われ、欧米の高性能車のイメージを借りることが重要だったのだと思います。

デザインの細部で言えば、1970年代の車は現代のように「フロントフェイスがボンネットへ回り込み、サイドへ連続し、一体化したマスクとして成立する」というデザインはまだ存在せず、フロントフェイスが完全に独立したパーツでした。ヘッドライトも丸型シールドビームが唯一の選択肢で、2灯か4灯、グリルの中に置くか隣接させるかしかなく、この制約が当時の“顔”のデザインを大きく規定していました。

ボディタイプも、当時の日本では
2ドア=ノッチバッククーペ
4ドア=ノッチバックセダン

という明確な認識があり、ボディタイプそのものがデザインのキャラクター付けと強く結びついていました。ハッチバックはトヨタでは「リフトバック」と呼ばれ、実用車というよりクーペの派生としてのファストバック的立ち位置で、欧州のゴルフのような“コンパクトハッチ”が日本に根付くのはもう少し後になります。

ここで、70年代の具体的なデザイン例を挙げてみます。

● トヨタ カローラ Levin / TE27(1972–74)

アルファロメオ・ジュリアの影響を強く受けたと考えられるモデル。
シャープさを出しにくい時代に、塊感を巧みにまとめた。
欧州スポーツの端正さを日本流に翻訳した初期例。

● 日産 フェアレディZ / S30(1969–78)

ロングノーズ・ショートデッキというスポーツカーの理想形。
当時のプレス技術では異例の流麗さ。
“日本車が欧米を模倣しつつ、ついに追いついた”瞬間。

● マツダ サバンナRX-7 / FB(1978–85)

シンプルな線と面で構成されたファストバッククーペ。
リアのガラスハッチが特徴。
ポルシェ924に酷似し「プアマンズポルシェ」と呼ばれた。

● トヨタ セリカ / A40(1977–81)

トヨタUSAデザインによる直線基調。
直線だがシャープではなく“大味”。
次のA60でファセット様式へ進化。

● 三菱 ギャランΣ / A121(1976–80)

シンプルな直線基調のシャープなデザイン。
飾り気のないスタイリッシュさ。
後のファセット様式の萌芽。

● マツダ コスモAP(1975–81)

“高級車=アメリカ車”という価値観を体現。
微妙な曲線を多用した秀逸な造形。
日本車がアメリカ的ゴージャスさを本気で追求した例。

● 日産 スカイライン / C110(1972–77)

“ケンメリ”。
太いCピラー、サーフィンライン、丸型テールランプ。
アメリカンな雰囲気と塊感が強く、後のスカイラインのアイデンティティを確立。

これらの車種は、70年代の日本車が欧米の様式をどう受け止め、どう翻訳しようとしていたかを象徴するモデルだと思います。

以前、勝手に命名した80年代の「ファセット様式」が“直線と面の明確な構成”だとすると、今回の70年代はどういう様式と言えるか。
私としては「プレ・モダン曲面様式」という名前を付けてみました。

曲面を作ろうとしているのにエッジが曖昧。
面の切り替えが弱く、結果として塊感が強い。
当時の量産プレス技術の限界でメリハリが出ない。
そして欧米の様式を日本の技術で翻訳した結果の“混成感”。

この様式はさらに二つに分けられる。

米国系(American‑Influenced)
文化的憧れがそのまま形になった系統。
太いCピラー、ロングノーズ、サーフィンライン、マッチョな雰囲気。
代表例はケンメリ、コスモAP、セリカA40。

欧州系(European‑Influenced)
性能志向の人たちが見ていた欧州の美学を、日本流に翻訳した系統。
端正なプロポーション、シンプルな線と面、ファストバックの多用。
代表例はTE27、RX-7 FB、ギャランΣ、フェアレディZ S30。

これら様式が複雑に絡み合い、曖昧な曲面と塊感が支配する“吸収の時代”だった、と結論づけてみました。

そして80年代に入ると、日本車はついにファセット様式という独自の直線美を確立します。
欧米模倣から脱却し、日本車が自立する時代が始まる。その前夜としての70年代を「プレ・モダン曲面様式」の時代として整理してみました。

日本車デザインの流れが、少しクリアに見えてきた気がします。
皆さんはどう感じますか。
Posted at 2026/08/21 20:35:59 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2026年08月15日 イイね!

【非クルマ】マスカルポーネ・オ・アグリュム

【非クルマ】マスカルポーネ・オ・アグリュムマスカルポーネ・オ・アグリュ厶(Mascarpone aux Agrumes)って、聞いたことない名前だと思います。オリジナルなので勝手に命名しました(笑)。
見た目ただのチーズケーキです。
が、クリームチーズとサワークリームをベースにガツンとチーズ味と香りで勝負?する王道のチーズケーキに対して、マスカルポーネと生クリームベースに風味付け程度のオレンジ(とオレンジキュラソー)を使って、(最近のクソ暑い)夏に食べたくなるような爽やかさと上品さを感じられるようなものを作ってみよう、ということで実験的に作った「試作品」です。
ベースのチーズケーキは、ちゃんとしたマスカルポーネと生クリームを使って、160℃の低温でじっくり焼き、デコレーションというかコーティングの生クリームは、軽やかさとクリーミーさを両立させるために生クリームにマスカルポーネを加え、さらにオレンジ果汁とオレンジキュラソーを風味付に使って「ん?なんか普通の生クリームと違う...」という感じにしてみました。
実験結果としては、満足できる出来になったと思います。クリーミーさと爽やかな柑橘系の風味。王道のチーズケーキに対して変化球ですが、こういうのもアリだと思いました。とくにコーティングのクリームはアレンジが効きそうなので、今度はアールグレー(紅茶)とブランデーを使ってみようかななどと考えています。
夏休みの自由研究、自由工作みたいですね(笑)。
Posted at 2026/08/15 08:21:19 | コメント(0) | トラックバック(0)
2026年08月13日 イイね!

【非クルマ】科学っぽい感じのする記事に注意

【非クルマ】科学っぽい感じのする記事に注意「XXXを食べると認知症になる、がんになる」という記事、よく見かけます。あっという間にシミ、シワが消える、宿便を排出するとか、・・・本当に目障りなこの手のWeb広告。いい加減、規制してもらえないかなといつも思ってます。




今日もスマホのスマートニュース記事で
【これでも「うどん、パスタ、ラーメン」を食べ続けるか…脳のバリアをこじ開け、認知症を招く"小麦"の恐怖】
なんて言う記事を見かけました。しかもこれ、「PRESIDENT Online」に掲載された医師の肩書を持つ人の記事。雑誌PRESIDENTといえば割と知名度のあるビジネス雑誌だし、医師の言うことだから・・・・と普通は思っちゃいますよね。

この記事、 「小麦を食べると認知症になる」、「脳のバリアをこじ開け、認知症を招く“小麦”の恐怖」なんて、かなり刺激的なタイトルで煽りまくってます。書いているのは本間良子氏という医師。

本間センセイは「小麦を食べると脳のバリアが壊れ、認知症につながる」と言っているのですが、どうも引っかかります。私は医学の専門家ではないので、生成Aiの助けを借りながら、お盆休みの暇つぶしに記事で引用されている論文についてちょっと確認してみました。

結論から言うと、
ちゃんとした実在する研究論文が引用されている
感じです。でも、引用論文が実際に証明していることと、記事にかかれている結論には、かなり差があります

たとえば、まず、小麦に含まれるグリアジンという成分が、ゾヌリンという物質に関係することは研究されているようで、ゾヌリンは腸のバリア機能に関係するそうです。さらに、ゾヌリンを培養した血液脳関門の細胞に作用させると、細胞の透過性が上昇したという研究もあるようです。つまり、この研究が示したのは、「培養細胞にゾヌリンを作用させると、透過性が上がった」ということ。
本間センセイの言う「人間が小麦を食べると血液脳関門が開く」なんてことは記載されておりません。
まして、「小麦を食べると脳に毒素が入り、認知症になる」ことを証明した研究でもありません。
医学の知見がなくとも、本間センセイの導出した結論がかなり飛躍しているということは分かります。

記事は、
小麦→グリアジン→ゾヌリン→腸のバリア→血液脳関門→脳の炎症→認知症
という長い長い因果関係を、一つのストーリーとして説明しています。
しかし、各段階?の個別の研究があっても、一連の因果関係については不明です。本間センセイが因果関係があると思って強引に結びつけているだけに見えます。

また、本間センセイは「脳もれ」という怖そうな表現を使って
「腸もれの症状がある人には、ほぼもれなく脳もれの症状が見られる」
という趣旨のことも書いていますが、これは論文による証明ではなく「私の臨床経験からすると」という話のようです。あえて引用を示さないのかもしれませんが、「それはあなたの感想ですよね?」というツッコミは不可避です。
(尚、『脳もれ』という言葉自体が医学の正式な病名なのかと思って調べてみたら、どうもそうではないようです。血液脳関門の透過性が亢進するという医学的な現象はちゃんと存在するようですが、それを一般向けに『脳もれ』と呼んでいるようです。なんだか『宿便』というエセ医学用語を思い出しちゃいました。)

医師の経験はもちろん重要ですが、それだけで医学的な因果関係を証明してることにはならないでしょう。

そもそもこの記事に「ん?」と思ったきっかけでもあるのですが、
素朴な疑問として、パンやパスタを日常的に食べている人は世界中にたくさんいます。もし、「小麦を食べ続けると血液脳関門が壊れて認知症になる」という関係が一般的に成立するのであれば、パンやパスタを日常的に摂取する、小麦の摂取量が多い集団ほど認知症が明らかに多い、といった疫学的な証拠があってもよさそうです。

グルテンフリーの話をブログに書いた時に例示したセリアック病など、小麦やグルテンを避ける必要がある人はいるようですし、菓子パンやインスタントラーメンを食べ過ぎる食生活が健康的だとも思いません。

でも、それを「小麦が脳を壊す」という話に単純化してしまうにはいくらなんでも飛躍しすぎです。

今回の記事はPRESIDENT Onlineに掲載されています。私はこれまで、プレジデントという雑誌を比較的まともなビジネス誌だと思っていました。調べてみると、PRESIDENT Onlineは、雑誌『プレジデント』の記事だけを掲載しているサイトではなく、独自記事も含む「総合情報サイト」だそうです。カテゴリーもビジネス、マネー、政治・経済、キャリア、ライフ、社会とかなり広い。
さらにプレジデント社自身が、「私たちは『記者』ではなく『編集者』です」、「最優先は『おもしろくて役に立つ』」
と説明しています。
つまり、新聞や科学専門誌のように、「この情報は本当に正しいのか?」を徹底的に検証して報道する媒体、ではなく、「読者が興味を持ちそうなテーマを、専門家や著者に語ってもらい、分かりやすく編集して届ける媒体」なんですね。それ自体が悪いわけではありません。ただ、医学や科学の話では、一般の人を煽れることを「おもしろい」こととして「科学的な証明」できそうもない記事を掲載することはいかがなものかと思うわけです。医学に限らず「オカルト」、「エセ科学」を「科学」と信じ込んでしまう層は一定数いますから、慎重にならなければいけないことが多いと思います。

今回、私が知りたかったのは、「小麦は安全か、危険か」ではありません。
「この科学っぽい感じのする記事が引用している論文は、本当に記事の結論を証明しているのか?」
ということと、
「執筆者の肩書を信じて記事内容を信じてよいのか?」
ということでした。
そして今回の私の結論は、
論文は実在する。そこから得られる科学的知見にも意味がある、が、
「小麦を食べる → 脳のバリアが壊れる → 認知症になる」
ということは根拠のある説ではない
(少なくともこの記事で引用されている論文からは、そこまでの因果関係は示されていない)。

私は本間センセイの記事が「◯ンチキだ!」と言うつもりはありません。

ただ、
医師の肩書を持つ人が、それっぽく、本物の研究、まだ仮説の段階の話、そして本人の感想をつなぎ合わせて、一つの確立した医学的事実のような記事を書いている。
ということには注意が必要だと思います。

そして同時に、
「プレジデントに載っているから」、「医師が言っていることだから」、それなりに確かな話だろう
という読み方も、しないほうがよい
、ということを今回あらためて感じました。まあ、「マツコが絶賛」、「XX番組で紹介」、「東大卒研究員が開発」という感じの◯ンチキ広告と記事の作り方という意味では大差ないな、と。

結局、「何を根拠に言っているのか」、「本当にそこまで証明されているのか」を見ることが大切なんだと思います。
そうじゃなきゃ、データも根拠もなしにいろいろ断言してくれる「占い」を信じるのと同じですもんね。

……というわけで、私はこれからも普通にうどんもパスタも食べます(笑)。

Posted at 2026/08/13 15:37:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2026年08月10日 イイね!

祝・みんカラ歴12年!

祝・みんカラ歴12年!8月16日でみんカラを始めて12年が経ちます!

「愛車」浪人継続中です。

考えてみたらこの一年、あまりクルマに関連するイベントやってないです。。。
Posted at 2026/08/10 12:58:23 | コメント(1) | トラックバック(0)
2026年08月10日 イイね!

【非クルマ】1st ガンダム

【非クルマ】1st ガンダム夏休みイベントですかね?
BS12で過去の映画ガンダムを毎週放送してくれる様です。むちゃくちゃ懐かしい(涙)。1stガンダム、思わず録画して観ちゃいました。

しかし、リアルに見てた子供の頃は全然気づいてなかったのですが、今見ると本当に良くできた作品だということに気付かされますね。全然子供向けではないですね。結構見入ってしまいました。こりゃ、毎週楽しみです。
Posted at 2026/08/10 12:46:42 | コメント(0) | トラックバック(0)

プロフィール

「クルマデザインを「様式史」として眺める試み(1970年代) http://cvw.jp/b/2266367/49259798/
何シテル?   08/21 20:36
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