
今回の【雑談】はデザインの話です。古い話が多く、40代後半以降の世代以外は何を言っているのか分からないかもしれません(笑)。
本題に入る前に、私の認識の中に「悪意のある摸倣」と「そうでない摸倣」があって、曖昧ながら私の独自基準というか境界線も存在していることを最初にお断りしておきます。もちろん私独自の基準なので、異論もあるでしょうし、人によってはちょっと嫌な気分になっちゃう人もいるかもしれません。あくまで個人の考えなので気分が悪くなっちゃった人は読まないようにしてくださいね。私が「パクリだ」と思っているクルマに乗っている/乗っていた人も世の中に居るわけで、その人を悪く言うつもりはありません。
私の考える「悪意ある摸倣(以下、パクリと称します)」は、同一カテゴリーのクルマで、ほぼ同時代~1代ないし半代後に「うんと安くて同じデザインですよ」というカタチで出てくるクルマです。
私の考えるパクリは、たとえば、イヴォークについて言うと、
なんとか汽車のGX6とかいうパクリのパチモノ↓が存在します。
ご丁寧に内装までパクってます。これは酷い。

ちなみにGX6はイヴォークの三分の一の価格だそうです。
こんな感じの劣化コピーにしか見えませんけどね(笑)。
一方、悪意はなくとも結果的にそう見えてしまうような商行為もあります。あまり気分よくないですが、ある程度までは、そのような商行為を容認しなければ、クルマという工業製品の切磋琢磨による発展は無いと言えますし、同一価格帯、同一層を狙った勝負であれば、意匠の類似性はやむを得ないかも知れません。程度の個人差も大きいので、単純に良識とか常識を持ち出す議論が難しい部分もあります。最近の記憶で言うと、ホンダのストリームに対するトヨタのウイッシュがソレで、
こちらがホンダストリーム
で、こちらがウィッシュですが、
販売台数だけで判断すると、前者が開拓した市場に新規参入した後者が完全に前者を圧倒してしまったのは御存知の通り。しかし、この勝負によって、両者(車?)のクオリティが向上して、結果的にその層の市場が活性化したのも事実ですもんね。
微妙で難しい話はこれくらいにして、
パクリではなく、当時の日本人憧れの欧米のデザインを取り込もうと頑張った、60~70年代の日本車の【学習意欲を感じる摸倣】をちょっと振り返ってみます。
まずは、スポーツタイプのクルマ。
いわゆるケンメリです。1972年のスカイライン。
これは1969年ダッジコルネットに代表されるアメ車のマッスルカーと呼ばれる巨大な2ドアクーペのデザインの影響を強く感じます。(※当時、マッスルカーという言葉は無く、マッスルカーは80年代から使われるようになった言葉だそうです。)
次は1973年のトヨタセリカLB(リフトバック)。
それと同じく1973年の三菱コルトギャランGTO
これらも当時、日本人が憧れたアメ車のマッスルカー、1965年のフォードマスタングファストバックの影響を強く感じます。
高級セダンのデザインも見てみましょう。
こちらは1967年の日産グロリア。重厚感が良いですね。
で、こちらがお手本と思われる1965年のポンティアックGTO。・・・よく見るとセダンじゃないですね。
もう一度。今度は1975年の日産グロリア。
これは異論があるかもしれませんが、1967年の高級車の代表格、マーキュリー・クーガーのフロントデザイン処理の影響を強く感じます。
今度は日本の誇りとも言える1967年のトヨタ2000GT。
このクルマのかっこよさのエッセンスは、おそらくイギリスのジャガーEタイプ(1960)のものだと思われます。2000GTはボンドカーにも使われましたしね。ジャガーEタイプのかっこよさをうまく取り込んでいますよね。
こんな風に、60~70年代の日本の自動車は、デザイン力の乏しい当時の自動車メーカが憧れの外国車デザインエッセンスを必死に取り込んでいた時代だったと思います。その取り込み方もかなり秀逸で、トヨタ2000GTを見て「パクリ」などという人は居ないと思います。
うまく学習している日本の自動車メーカーですが、残念ながら「これはパクリと言われても仕方ないかも(個人の感想です)」と感じるクルマもあるにはあります。
例えば、2代に渡ってBMW7シリーズを摸倣したと感じる三菱ディアマンテ。「BMWみたいでかっこいい車がお安く買えますよ」という商売にしか見えず、どうしても好きになれませんでした。冒頭のイヴォークと中華GX6の関係に限りなく近いものを感じます。
三菱ディアマンテ(1990)
三菱ディアマンテ(1995)
BMW7 E32(1986)
BMW7 E38(1994)
もう一つ。もうこうなると笑うしか無いのですが、より「そっくり」に見せるパーツまで出てたミラジーノ(1999)のミニライトスペシャル。
ローバーミニ(1959~2000)
しかし、ダイハツはMINIではなく、自社のコンパーノのオマージュと言い張ってましたね。
ダイハツ・コンパーノ(1963)
・・・全く説得力を感じません。(個人の感想です)
他社ではなく自社の歴史を振り返って、先代のデザインをオマージュする「自己摸倣」というか「リバイバル」もたくさんあります。
VWビートル(1938)
60年後のVWビートル(1998)
フィアット500(1957)
50年後のフィアット500(2007)
ローバーミニ(1959)
42年後のBMWミニ(2001)
シボレーカマロ(1968)

41年後のシボレーカマロ(2009)
この勢いで?シトロエンの2CVあたり新型が出ないですかねー。
日本でも似たような試みは存在していて
1967年のホンダN360
45年後のホンダN-ONE(2012)なんて言うのもあります。

トヨタ86なんて言うのもありますが、名前だけでAE86を全く踏襲していないので割愛します。
よく考えると、リバイバルしてほしい日本車ってあまり思いつきませんね。
それでも頑張って考えてみると
いすゞのベレット、ピアッツァ、ジェミニ・・・・
マツダのRX-7、コスモ・・・
スズキのカプチーノ・・・
うーむ、どれも商業的に成功しそうにない(笑)。
ところで、デザイントレンドといえば最近のデザイントレンドの1つに巨大なフロントグリルがありますよね。これはアウディが開祖と思ってますが、そのあとから三菱のジェットファイターグリル、レクサスのスピンドルグリルが登場しました。ここで三菱のジェットファイターグリルを再模倣したアウディのテスト車の紹介をしようと思ったのですが・・・上手く探せなかったので、面識ないので怒られそうですが、Googleで見つけたみんカラのアクア ランサー Ralliartさんのブログを(勝手に)ご紹介しておきます。https://minkara.carview.co.jp/userid/227005/blog/14511422/
(このアクア ランサー Ralliartさんのブログの中には、「強烈な摸倣性」を感じるMITSUBISHI Concept-ZT なるものの紹介もありました(笑)。2ちゃんねる風に言えば、草生える、大草原、って感じのものです。これはひどい。)
おっと、話が脱線しちゃいました。
巨大なフロントグリルは更にどんどん巨大になっているのは皆さん御存知の通り。もはや全面グリルみたいなミニバンもたくさんありますよね。その巨大グリルが大いに気に入ってしまったデザイナーが同時期に2社に存在したようで、ほぼ同じ処理をしている普通車と軽自動車があります。これはデザイナーとしてはかなり恥ずかしいことなのではないかと想像しますが・・・その後も止まらないところを見るとあまり恥ずかしくないのかな(笑)。
ダイハツムーブカスタム2015
三菱アウトランダー2015
どんどん拡大するミニバンのフロントグリル。最近は、フロントシールドを除く全投影面積の9割くらいがフロントがグリルになってる感じですね。明らかにやりすぎです。
デザイントレンドといえば外せないイヴォーク。このデザインは全世界的に影響を与えてますね。
LR-X(イヴォークコンセプト)2008
コイツが世に出てからと言うもの、例えばトヨタのハリアーさんは
トヨタハリアー2003
トヨタハリアー2013
こう変身しましたし、
デザイントレンドに敏感(笑)な三菱もアウトランダーさんを
三菱アウトランダー2005
三菱アウトランダー2012
こんな風に変身させました。
あと、これはジョークの類だと思うのですが、
イヴォーク2011
ハスラークーペコンセプト2013

こんなのもありましたね。初めて見た時は笑ってしまいました。その後も発売していないところを見るとやはりジョークだったのでしょう。
以上、デザインの雑談でした。とりとめもない雑談にお付き合いくださいましてありがとうございました。
追伸:
ここまで書きながら、ふと思い出しました。
唐突ですが、BMW i8って「いかにも」な未来カーデザインですが、どうして「いかにも」って思えるのかなと考えたら、この手の未来カーデザインはマセラティでもやってましたね。
BMW Vision Efficient Dynamics (2009年)
BMW i8 Concept (2011年)
マセラティ・バードケージ 75th(2005)
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Posted at
2017/09/02 21:27:30