私のE46は、リアサスペンションの挙動にやや癖があります。
基本的には乗り心地は良く、サスペンションのしなやかなストローク感もありますが、路面状況に応じて両極端な顔を見せます。路面の状態の良い国道での乗り心地は感動するほど極上なのに、舗装の良くない凹凸が続く道では途端にリアがバタバタと暴れます。まるで空気圧をかなり高めたような感じで、視線が暴れてドッと疲れます。
この理由をじっくり考えてみました。思い当たる節はいろいろとあります。
まず、Koni Special Activeのバンプラバーは安全マージンを多めに取った長めのものです(FETに確認済み)。ちなみにバンプラバーの長さはMスポーツ用も非Mスポーツ用も同じです(これもFETに確認済み)。車高を下げた場合にはバンプタッチの可能性が高まるため、必要に応じユーザ責任で切り詰める必要があるというのがKoniのスタンスです。
次に、Koniショックの圧側減衰は少なめです。また、Mスポーツ用は伸び側減衰はノーマル用(非Mスポーツ用)より6%高めです。つまり、「縮みやすく伸びづらい」ショックです。
Special Activeは車高を下げると「減衰力が弱まる」傾向があるとされていることの理由は、車高を下げることでバンプタッチ領域に入りやすくなることにあると考えられます。実際にはストローク開始位置によって減衰力そのものは変わらないけれども、バンプタッチという外部要因を加味すれば、減衰が弱まるように感じられることもある、ということだと思います。
Koni Special Activeのパーツレビュー
http://minkara.carview.co.jp/userid/2269102/car/1765381/13149972/parts.aspx
他のサスペンション構成要素にも目を向けます。
次に、Fukazawa Modify製のトレーリングアームピロブッシュは、純正のゴムブッシュと比べて撓まないので、トレーリングアームの上下動への抵抗がほぼゼロです。スプリングレートそのものを下げた訳ではないものの、初期入力に対する抵抗が減り、実効的に「柔らかく感じる方向」に作用しているはずです。
ピロブッシュのパーツレビュー
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次に、Fukazawa Modify製のRAC46(リアサブフレームマウントブッシュの上下の隙間を埋めるカラー)を導入したことにより、タイヤが荷重を受けてサスペンションが縮んだ際にスプリングを支点にしてサブフレームをシーソーのように引き下げようとする動きが減った(つまり圧縮時の力の逃げが減った)はずです。
実際、RAC46導入前は、連続して大きくうねるような路面では、サスペンションの動きにやや遅れて、リアの方でなんだか重い物がゆさゆさと揺れ続けるような気持ち悪い感触があったことをよく覚えています。RAC46導入によりそれは消え去りました。
それぐらいの変化はあったので、RAC46は実質的にスプリングレートを上げたのと同じ効果を持つはずです。
(RAC46の写真)
一方で、サブフレームに固定された2ヶ所のスタビライザーブッシュの位置もサスペンションの動きに対して独立性を高めたことになるので、結果としてRAC46は同じサスペンションの動きに対してスタビライザーの捻じれ量を増し、スタビライザーの有効作動量を上げたような効果、あるいは効き初め初期の立ち上がりがシャープになる効果を多少は持つはずです。スタビライザーの効きが強まる、あるいは初期の立ち上がりが機敏になるということは、凹凸に乗り上げたときの左右サスペンションの相互干渉度合いが高まる、あるいは神経質になるということになります。スタビライザーブッシュの材質がもしOEMのゴムではなく硬いポリウレタンだったりすれば、立ち上がりはさらに鋭くなるでしょう。
(サブフレームの写真)
次にRogue Engineeringのリアショックマウント(RSM)は、RSMを中心としてダンパーロッドが円弧状にスイングする動きをあまり妨げないので(つまり、純正に比べ、スイングに伴ってゴムブッシュを撓ませるための力が小さく済むため)、ダンパーロッドにかかるフリクションロスが減り、減衰が遅滞なく正確に立ち上がるようになり、ショックアブソーバーの有効減衰を上げたことになります。
一方で、サスペンションが縮み、トレーリングアームが上へスイングし、ショックとトレーリングアームの間の角度が鈍角に振れ、ダンパーロッドがRSMの許容する円弧の端の方(フロント側)にまで近付いても依然としてRSM起因のフリクションが小さいので、バンプタッチに至るまでの抵抗が減ることでバンプタッチの発生可能性を高めていると考えられます。
(Rogue RSM+Koniの写真)
Rogue RSMのパーツレビュー
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「奥まで縮みやすく伸びづらい」サスペンションでは、路面の細かい凹凸が数Hzあたりで連続すると、サスペンションがまず縮んだ後、1G状態へ戻りきる前に次の圧縮荷重が加わり、結果として、軽くバンプタッチしたままの状態になっていると想定されます。
バンプタッチすると反発力は指数関数的に高まるので、Rogue RSMにより実質的に伸び減衰力が高められたMスポーツ用のKoniショックをもってしても、伸び方向への暴れを制御しきれなくなるはずです。
なおバンプタッチしているとは言っても、腰に来るようなドシンという鋭く強い突き上げが来ることはKoniでは皆無です。これはきっと、通常は軽く当たっているだけで、かつ、Koni独自のバンプラバー形状(半分は円筒状で、残り半分はテーパー形状)により、柔らかいテーパー部分がふんわりと潰されるだけなので鋭い反発にはならないからだと思われます。
(Koni Special Activeのバンプラバー形状が分かる写真)
加えて、Eibach Pro-Kitスプリングはフロントよりリア車高が高めになるので、リア荷重が相対的には不足しているはずです。路面の凹凸が連続したときのリアの暴れを車重が無理やり押さえつける効果が不足している側面もあると考えられます。ましてや、私のE46はダミーサンルーフ導入などで比較的軽くなっていますから。
Pro-Kitスプリングのパーツレビュー
http://minkara.carview.co.jp/userid/2269102/car/1765381/12832890/parts.aspx
また、バンプタッチ時の反発力による伸び方向への暴れは、スタビライザーを通して反対側へのサスペンションへの干渉となり、リアがサブフレームを中心に左右にシーソーのように振られる動きにも繋がっていると考えられます。RAC46によりスタビライザーの初期の立ち上がりが鋭くなっていることが、この動きに輪をかけていそうです。
これら全ての組み合わせにより、路面の細かい凹凸が連続すると、リアタイヤの接地圧が安定せず、トラクションのかかり方も安定せず、数Hz程度の周期でリアが細かく上下左右に揺すられ、視線が揺すられて疲れる結果に繋がっていると考えられます。繰り返しますが、路面の良い国道では極上の乗り心地で、ロードノイズも小さめで、トラクションのかかりも良好なんです。高速コーナーでの安定性・接地感・安心感も高いです。
リアの暴れは、重いSpider Spoke 151ホイール(実測10kg)で無理やり押さえつけて幾分は緩和できているものの、それでもバンプタッチ自体を防げる訳ではないので、根本的な対策には全くなっていないと思われます。
(Spider Spoke 151ホイールの写真)
ここまでをまとめると、リアが「自由に、速く、深く、奥まで動く方向」になるように「改良」し続けた結果、それを止める側(圧側・レート・ストローク余裕)が不足し、数Hzあたりの連続入力でバンプラバー領域に入りやすくなっている状態に陥っていると考えられます。
かといって、RAC46による車体の一体感のある引き締まった動きや、トレーリングアームピロブッシュにより容易になった遅延感のない微妙な速度コントロールや、Rogue RSMが下支えするショックの遅延のないたっぷりしたしなやかな減衰感は、全てそれぞれに捨てがたいもので、捨て去ることはできません。
ここでもし、購入済みのSWIFT直巻スプリング(以下パーツレビュー)の導入によりスプリングレートを上げると、Koniショックの圧側減衰の不足を補う形になり、同じ荷重に対する縮み方向へのストローク量は減ることが予想されます。
SWIFTスプリングのパーツレビュー
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ただし、バンプタッチの起きやすさがどう変わるかは、レート増大による圧縮量の減少と、車高を下げることによる1Gでの縮み量の増大(=残ストローク量の減少)のバランスにより決まるはずなので、SWIFT直巻スプリングと高さ調整用カラーを一回組んで走ってみるまでは、バンプタッチが減るか増えるかは何とも言えません。
高さ調整用のカラーのパーツレビュー
http://minkara.carview.co.jp/userid/2269102/car/1765381/13733418/parts.aspx
それでもなお、スプリングレートを上げることにより、スタビライザーの相対的寄与が下がり、左右サスペンションの相互干渉度合いは減り、結果としてリアが左右に細かく揺すられる感じは確実に減ることが予想されます。
もし頻繁なバンプタッチをリア暴れの主犯と考えるなら、わざわざSWIFT直巻スプリングまで導入しなくとも、バンプラバーを少し切り詰めるだけで劇的に改善しそうです。
ただ、バンプタッチ問題の真因を、サスペンションが奥まで縮みやすいセッティング自体にあると捉えるなら、今よりもレートを上げたSWIFT直巻スプリングの導入から入りつつ、後からバンプラバーを少し調整する(切り詰める)ことも論理的な流れでしょう。
一方で、リア荷重不足をリア暴れの主犯と考えるなら、SWIFT直巻スプリングの導入により車高を下げることが改善策になりそうです。ただし、車高を下げた時点で、バンプタッチ問題までも新たに引き起こす可能性もあるので、バンプタッチの程度が少なくともこれまでと変わらない程度にまではバンプラバーを切り詰める必要もあるかも知れません。
これは感覚的な推測ですが、実態は恐らく、バンプタッチとリア荷重不足が、だいたい7:3の割合で複合して起きているのではないかと思います。
なぜ5:5ではないのかと言えば、もしリア荷重不足が5割以上を占めるなら、次のような兆候が出るはずです。
・高速コーナーでリアの落ち着きが悪い
・トラクションの立ち上がりが常に不安定
・路面が良くても「軽さ」が気になる
また、なぜ9:1ではないのかと言えば、バンプタッチの反発力を抑え込むだけの十分なリア荷重がもしあれば、視線が揺すられて疲れるほどのリア後部の暴れは今ほどは起きていないはずだからです。
仮にリア荷重が十分でも、バンプタッチ起因のスタビライザーによる左右のシーソーのような細かい揺れだけは残り得ますが、今起きているリア暴れは、どちらかと言えばリア荷重不足による(バンプタッチの反発力を車体が抑え込めていないことによる)上下の揺れが主だと思います。視線が揺すられて疲れる主要因も上下の揺れだと感じます。ただ、正直なところ、区別することは難しく、あまり自信はありません。
購入したSWIFTスプリングは、今のEibach Pro-Kitスプリングよりは多分レートが高く、かつ短いので、SWIFTスプリングへの交換は、バンプタッチ問題の真因へのアプローチ(の入口)にもなり、同時に前後重量配分をリア寄りにすることでリア荷重不足への対策にもなります。
スプリングが短くてもレートが高ければ、結果としてリア車高が落ちない可能性もありますが、スプリング長とレートは主治医のアドバイスに従って選んだものなので、絶妙な選定になっていると信じます。あとは高さ調整可能なディスクで詰めていける範囲内にあると信じます。
多分、いったんは何はともあれSWIFTスプリングに交換してしまい、様子を見ながらバンプラバーの調整に移っていく流れになると思います。
年明けにはSWIFTスプリングに交換してもらい、リアの下がり具合によってはアライメントも調整し直してもらい、そこから様子を見ます。
続く。