車種別のカテゴリーがめちゃくちゃですね。
早急に正しいカテゴリーとグレード分けがされることを望みます。
ゴールドウイングには
GOLDWING(2018〜)
バガースタイルのリアトランクのないモデル、従来のSC68のF6Bに相当するマニュアルモデル
GOLDWING DCT(2019 〜)
2019年モデルより追加されたバガースタイルのDCTモデル。
GOLDWING TOUR(2018〜)
リアトランク付きの6速MT搭載モデル。エアバッグ無し。
GOLDWING TOUR DCT AIRBAG(2018〜)
DCT AIRBAG搭載のフル装備モデル。
…の4種類がありますが、私の車両は2018年のみに発売されたピンストライプ入りのパールホークスアイブルーです。
乗ってみた印象は、車重が旧モデルより40kg程軽くなり、且つパワーは20馬力も上がっているため、走りはまるで違います。
旧モデルに比べるとカウルの前面投影面積もかなり小さくなり、正面顔は見た目にも明らかに迫力は落ちましたし、小型化したカウルのせいでライダーにある程度の走行風が当たるようになりました。
足元も、ちょっとニーグリップを緩めたら膝下には常に走行風が当たります。
60km以下では雨が降ってもライダーは濡れないと言われた従来モデルの考え方とは違い、風を適度に取り入れ風を感じながら走ると言うバイク本来のテイストが戻って来ています。
なので、雨が降れば少し濡れちゃいます。
巨大だったウインドシールドは半分近くまで小型化され、BMWのRT系のような電動で任意に昇降する形に変わりました。
一番下まで下げればネイキッド並みにヘルメットが風切り音を立てますが、一番上まで上げればヘルメットには風が当たらなくなります。
ただし、一番下まで下げてもカウル先端まで伸びたヘッドライトASSYが切り裂いた風は、常にカウルとシールドの隙間を通りメーター上部を経てライダーへと流れを作ります。つまり、シールドはどの高さにあってもカウルから浮き上がった構造になっており、従来モデルでは熱が溜まってしまったライダーの上半身周囲に、風の流れを作り、これはこれでバイクのくせにダラダラ汗をかいた旧モデルの不満は解消しているとも言えます。
エンジンはフラット6を継承してはいるものの、全くの新設計となっており、排気側のみロッカーアームを介したシングルカムの24バルブ。
6本の長さと太さを変えることによって重低音にもこだわったと言うエキゾーストは、従来モデルとは違い完全に外部に露出していて、今モデルには従来存在した「アンダーカウル」はフロントを除き存在しません。
電気的に開閉されるスロットルは、SPORTS,TOUR,ECON,RAINの4モードのフィーリングが選べ、左から順にアクセル開度に対するスロットル開度が弱く鈍く変化します。それと連動し、ダンパー減衰力とブレーキフィーリングが変わると言う味付け。
SPORTSモードで全開くれてやろうものなら、1速2速でフロントを持ち上げる程の、先代とは異次元の吹け上がりを見せますが、HSTC(ホンダ セレクタブル トルク コントロール。駆動輪のトラクションコントロールの事)のおかげで尻を振り出すような破綻は起こりません。HSTCはメーター中央に配置されたディスプレーを介し、任意に切る事が可能ではあるものの、これをオフにするメリットは微塵も感じられません。
左右に張り出したシリンダーはプラスチック製カバーには覆われているものの、従来モデルに存在したエンジンガードが消えています…が、実は消えたのではなく、フォグランプ取り付け位置をぐるりと取り囲むようにカバーの内側にエンジンガードを格納してしまった為に、BMWのRTシリーズのようにシリンダーだけが突き出しているように見えるのですね。
ここでもわかるように、従来モデルはシリンダーヘッド先端までサイドカウルが張り出していたのに、今モデルからはシリンダーヘッドだけが車体左右にはみ出しているように見えるんです。インテークマニホールドさえも露出しており、かつてのGL1200を彷彿とする外観ですね。
それだけカウルをスリム化してしまったせいで、強い押し出し感は感じられないどころか、シャープさとスポーティーな感じさえ受けます。
逆に言えば、少々押し出しが弱く迫力に欠けるフロントビューとなってしまっているが、上下二段の吊り目LEDハイローヘッドライトは、流行りのオラオラ顔を印象付けます。が、個人的にはGLは他のバイクにケンカを売るようなバイクでは無いので、ここまでオラオラ顔で威圧する必要があるのかなぁと、ちょっと気に入らない部分でもあります。
シートですが、こいつめちゃくちゃシートが固いです。
GL1500やハーレーのウルトラのような、フカフカのソファーに座っているような安心感はありません。
座った瞬間に膝の内側にぐっと力が入るようなバイクで、先代のようなアップライドなドライビングポジションではなくシートに深く腰をかけると体はやや前傾姿勢となる完全なネイキッドか、ロードモデルのポジションか、或いはそれ以上のライディングポジションとなり、オプションで用意されているバックレストなどをつけたとしても、日本人の体型では間違いなく背中が当たる事は無いと言う前傾スタイル。
やはり北米市場を念頭に置いたライディングポジションとなっているのだろうか?
フロントブレーキはもちろんダブルディスクの6ポットキャリパーで、軽く握っただけで地面に突き刺さるような強力な制動力で止まります。
ゴールドウィングは代々そうなのですが、フロントブレーキを握っても右フットブレーキを踏んでも、前後同時に制動がかかるシステムです。
ですが、今モデルからは、フロントブレーキをかけるとフロントが強く、フットブレーキを踏むと、リアが強めにと言う味付けに変わっており、より最小旋回時などにフットブレーキを引きずりながら安定した旋回ができるようになりました。
メーター中央に配置されたマルチインフォーメーションディスプレイはとにかく多機能で、本当に60、70のおじいちゃんたちが好んで乗るバイクなのに、これらの機能を覚える&使いこなせるのだろうか?と言う疑問がふつふつと湧いてきます。
iOSと連動した「Apple Car Play」に対応しており、iPhoneを持っている方なら大変便利な「Siri」をも使うことができるため、手元のトークスイッチ押してSiriを呼び出し道案内を頼むと、そのまま画面には地図が表示され、目的地まで誘導してくれます。
止まらずに、グローブを脱がずに、スマホを操作せずに1連の作業ができると言うのはこの上なく便利です。
これらは全て走行したまま行えるので、特に高速道路走行時など、停車することができない場合はありがたい装備となるでしょう。
デュアルトリップメーターとオドメーターが切り替え式、燃料残量よりこの先航続可能距離の計算などもされメーターに表示されます。
瞬間燃費や積算燃費などもインフォメーションとして表示され、下手な車よりも装備が充実しているものの、果たしてこれらを臨機応変表示を切り替え使えるおじいちゃんがいるのかなあ…と本当に心配になるほど多機能です(笑)
標準装備で前後タイヤの空気圧までもがメーター内に表示されるなど、至れり尽くせりのさすがは300万円オーバーのバイク。
ゴールドウィングの代名詞と言えば、サイドのパニアケースとリアのトランクですが、今モデルからは先代に比べはるかに容量が小さくなってしまいました。
大変残念なことではありますが、今までは3泊4泊程度の着替えをたっぷり積んで旅行することが可能でしたが、今モデルからは良いところ2泊3日の荷物程度ではないかと思います。
特にサイドのパニアバックの容量が激減したため、ほとんど何も入れることができない状態です。ジャンバー1枚入れたらもうパンパン…こんなんだったら最初からつけるな!と言いたい位のおまけ程度の広さしかありません。
ただ面白いところで、リアのトランクについては、脱着が可能で、取り外してバガースタイル(F6B的なやつ)にすることができます。
当然リアのスピーカーも外れてしまうため、フロントスピーカーのみとなってしまいますが、そういう楽しみ方もできると言うことで、1年おきにつけたり外したりして楽しむのも良いかもしれません。
全体的には先代よりも価格も大幅に上がっているものの、質感としてはかなり安っぽいプラスチックむき出しな部分が多く、価格に比べて所有する満足感は明らかに落ちてます。
ハーレーのウルトラと並べても2回りほど小さく感じてしまうスタイルは賛否両論でしょうが、風格で乗るゴールドウィングではなく、走りと居住性を求めたモデルへとシフトしているのが明らかです。
新しい層の取り込みを狙ったのかもしれませんが、この方向性の転換が吉と出るか凶と出るかは数年後にわかることでしょう。
いずれにせよ、年間500台の完全受注生産モデルとなってしまったゴールドウィング、over 300万と価格的にもそう簡単に出回るバイクではありませんが、軽快な走りを楽しむと言う面では、従来モデルからは数段向上しており、乗って楽しいバイクであることは間違いありません。