エキスパンション・タンク交換 その1 Expansion tank exchange 1 of 2
目的
修理・故障・メンテナンス
作業
DIY
難易度
中級
作業時間
3時間以内
1
必ず避けては通れないメンテにも拘わらず,日本はおろか,USのサイトにも交換記事が見あたらなかったので,ここに,ぼちぼち記す。
ただし,かなり困難で無理矢理かつ後戻りできない方法なので,お勧めできない。PC(ポルシェ・センター)ではエンジンをずらしたり,インジェクター回りを外して行っているそうだ。チャレンジのさいは,自己責任で願います。サンプル車体はカレラ2,2001年後期モデル。
I had been able to find no instruction to
exchange "Expansion Tank" of liquied cooled 911 on the WEB sites.Though it's absolutely necessary maintenance.So,I'll try to write also in Japanglish.The sample was 2001 year model(later version),carrera 2 3.4L.
Caution! : It's not easy.I'll explain not proper way. So,if you try, please DIY by your own risk!
PORSCHE 911 996,Liquid cooled,Water cooled,Expansion tank,Reserve tank,Reserver tank,LLC
2
先ず,上に延びている,黒いプラスチック製のエアクリーナーのダクトを外す。パイプ接合部の左右(進行方向では前後)にノッチが付いているので,径を水平方向に縮める要領でロックを外す。冬季はエンジンが暖まって,プラスチックが柔らかい状態で外すのが無難。
冷えた状態で,タンクのキャップを外し,LLCを抜く。細いチューブでサイホンの要領がお勧め。
燃料ラインのナットを緩め,ラインを外す。外した箇所にはテープを巻き,ゴミが入らないようにする。ナットはかなり堅いので,フランジ側を,捻ったり,捻じ切らない様に,オーバー・トルクに細心の注意を。またベースの金属パイプは,3本のインジェクターとの接続のみで支えられているので,過度の力は厳禁。
一見,ラインの上側の接続ポイントは,ゴム・チューブがバンドなしに,接続されているかのように見えるが,これは罠で,1本の軟質プラスチックのパイプに,保護ラバーが被っているだけ。ゴム・チューブは抜けないし,抜こうとするのは厳禁。
タンクに接続されているホースを全て抜く。太いのが上下2本。オーバーフロー用の細いのが1本。
水量センサーのコネクターを外す。回してロックを解き,センサーを引き抜く。
タンク手前のナットを外す。なお,スタッドボルトは車体に溶接されており,抜くのは不可。
3
ここでエキスパンション・タンク(以後タンクと略)の固定箇所について説明する。
左画像で1の黒いブラケットの爪と,2のタンク上部の爪が噛み合うようになっている。3のナットを外してから,タンクを右方向にずらして噛み合いを外してから,タンクを下方向にずらせばホルダーから外れる。
エンジンがない場合は極めて簡単だが,実際にはあらゆる部分と干渉しまくる。噛み合いはなんとか外せるが,そのままではタンクの抜き出しは不可能。具体的には4のパイプが最も邪魔してくれる。
そこでタンクを抜き出す前に4のパイプを切る。ついでにホースのホルダー5もカットする。
ちなみにタンクを抜くには,上の黒いホルダーを先に外す必要がある。上の黒いホルダーの取付けボルトを外すにはタンクを先に外す必要がある。タンクをずらすにはインジェクター・ラインが邪魔。インジェクター・ラインにはタンクを外さないと,全く手が入らない。
・・・というように矛盾の塊で,蛙と蛇とナメクジの三すくみ状態。なお,製造時はタンクを取付けてから,エンジンを入れるので矛盾は起こらない。実際のラインでは,置いたエンジンに車体が上から降りて来て合体している。
4
カットする前にノコ刃にテープを張り,露出する部分を最小限にする。これは周囲のパイプ類を傷つけないための予防措置。
4のパイプと5のブラケットを切り落とす。4のパイプは極力根元から。
ストロークも最小限にして,注意深く刃先を目視で確認しながら切り進んでゆく。特に下にあるアルミ・パイプを傷付けないように,切断の最終段階では,タンクとアルミ・パイプとの間に金属板を挿入し防護する。
5
タンクを右方向にずらして,爪の噛み合いを解除し。タンクを下に下げ,ブラケットとタンクを分離する。隙間を作り奥のボルトから外す。
対角10mmのボルト2本を緩めて外し,黒いプラスチック製のホルダーを車体から外す。
ここで1つ目の山場となるが,奥のボルトがとにかく外しにくい。手が入るスペースがミニマムで,ラチェットのストロークも取れない。ちなみにレンチは低抵抗でギヤ数の多いファコムの1/4インチ72歯,コマは指でも回し易いハゼットだが,ず太い腕とぶ厚い掌も災いして,とても往生した。
こういう状況ではいつも,次に生まれ変わる時は絶対,液体金属人間にと思う。
ブラケットを外すと,タンクを傾けて捻ることが可能となる。それによりやっとタンクが抜き出せる。
ただし燃料系のパイピングが邪魔して,抜きにくいが無理は禁物。知恵の輪の要領で優しく徐々に。
インジェクター基部のパイプは3本のインジェクターとの接合部で支えられているので,絶対に無理な力を加えないように。破損するとエンジンを降ろす羽目になりかねない。
6
1.取り外したタンクのリーク箇所は大きくは4箇所あった。最初はタンク右側の2箇所(画像2)で,エポキシ・パテで応急修理で塞いだが,すぐに裏側のクラックも大きくなった。かなりの圧力が常時かかるので,1箇所を塞いでも連鎖する。
新旧のタンク比較では,タンク左側面を始めとして,各部がリブで補強されている。膨張/収縮のストレスに耐えられず,クラックが入るようだ。
3.ちなみにセンサーはこのような形状。タンク内にマグネット付きのフロートがあり,リード・リレーのセンサーをオン・オフする。センサーを抜いても水は漏れない構造。
4.オリジナルのボルトでは実質締め付けが不可能なので,新たなボルトを用意する。
5.先端のネジ部はオリジナルと同一長になるよう,ナット2個をねじ込み,ロック・タイトを塗布して確実に締付ける。注意は先端のネジ部が長すぎたり,このナットが緩むと,ボルト先端が車体外板を押し出して,ボディーに膨らみを作りかねないので注意。
6.長さは締付後に頭の表面がブラケット面と同一になるようにする。オフセットしたメガネ・レンチで締められるように。注意は表面が出ていると,バウンド時にタンクを傷つけるし,陥没していると締付けられない。
こうする理由は,新しいタンクのホース取付けパイプは切り取る訳にはいかないからだ。タンクとブラケットを合体したまま,エンジンルームに入れなければならず,そうするとボックス・レンチを使えるスペースが無くなるためだ。苦肉の策で,色々な案を考え出したが,この方法が最もシンプルだった。
7
1.ボルトは長いのを現物合わせでカットし,オリジナル同様に,先端を入れやすいように細く削る。
ネジ山を目立てヤスリで整える。「スレッド・マスター」等のネジ山補正器具があれば,それを使う。
2.スペシャル・ネジをホルダーの奥側(進行方向で左)に差し込み,落ちないようにガム・テープで止める。
3.ロアー・ホース・バンドは極めて挟みにくく,かつ力の入れにくい位置にある。先の曲がったラジオ・ペンチでも不可能。先がコの字型のクランプでも作れば,リリース可能かも知れないが,いずれにせよ次回取り外し時にも極めて,挟みにくい。
私はステンレスのネジ式のホース・バンドに換えた。ただし均一に締まる出来の良い奴でないと漏れやすい。
4.もしネジ式のホース・バンドに換える場合は,タンクのパイプ内側に,全く隙間無くきっちり入る金属パイプの挿入を強く勧める。オーバー・トルクでクラックが入るのを防ぐため。ここのバンドは蒸気圧が高いので,かなり締付けないと漏れる。
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