ロータス・セブンはF1参戦していたのか？

吉田拓生氏がGENROQでのセブン・スプリント試乗記の中で、「ロータス セブンはヘッドランプとフロントスクリーンを外しただけの状態で1回だけではあるがF1グランプリに出走している。1962年の南アフリカ、キャラミ・サーキットだ。」と記載していますが、もう少し深堀りして調べてみることにしました。


・・・というのも、普通に1962年のF１グランプリの戦歴を調べても出てこなかったのです。





■ロータス・セブンに乗っていたドライバー、ブロシュ・ニーマン



ロシュ・ニーマン（Brausch Niemann）は、1939年1月7日生まれ、南アフリカ出身のレーシングドライバー。

F1、フォーミュラジュニア、エンデューロモーターサイクルレースなどに参戦。
この人がロータス・セブンでF1に参加した唯一のドライバーです。


■ブロシュ・ニーマンが乗っていたロータス・セブン



1958年製ロータス・セブン・シリーズ1。1957年にセブンがデビューしてすぐに使われていることがわかります。

エンジンはフォード109Eを1475ccまでボアアップし、スペシャルなカムシャフトとヘッドを装着。キャブレターはアマル社製キャブレター4基搭載。

F1のレギュレーションに合わせてシャシーを縦半分にして2インチ縮小。

フロントブレーキは1958年のメルセデス180のフィン付きドラム、リアアクスルはオースチン製に変更。

LSDがないため、コーナーでのホイールスピンを止めるため、運転席側にフィドルハンドブレーキが採用されていたそうです。



F1参戦時は前後フェンダー、フロントウインドウ、ヘッドライトは取り外されていました。


■ロータス・セブン戦歴1「1962年Rand Grand Prix」

1962年12月15日、南アフリカのキャラミ・サーキットで開催されたF1のノンタイトル戦。F1ルールに準拠したモーターレースという位置づけです。どうりで普通に戦歴を調べてもでてこないわけですね。もちろん、グランプリとしてはノンタイトルとはいえ、F1マシンが走るレースにセブンが走ったことは間違いありません。



先程紹介したブロシュ・ニーマンがロータス・セブンで参戦。



予選32番手、決勝10位という見事な記録が残っています。



ちなみにこの時、優勝したのはチーム・ロータスのジム・クラーク。こんなマシンとガチで争って10位は立派としか言いようがありません。


■ロータス・セブン戦歴2「1962年Natal Grand Prix」

続いて、1962年12月22日に南アフリカのウエストミードサーキットで開催されたF1のノンタイトル戦。1回だけではなく2回参戦している記録が残っていました。



先程のブロシュ・ニーマンがロータス・セブンでヒート1に参戦し、予選21番手、決勝は残念ながらリタイヤとなっています。


■ロータス・コンポーネントのオフィシャル資料



「Lotus Components / Grand Prix Seven」

この資料では、セブンが参戦するグランプリを見ていたコーリン・チャップマンは「世界で最も速いロータス・セブンに違いない」と言ったと記載されています。

セブンは公道を走れるフォーミュラなんだなと改めて思ったのでした。

ではまた！