”the Failure story
of
NAGABETA Seabed Road”
* * *
『そして僕らは
ほこり
埃にまみれた
服を払った』
そして今日も私は旅に出る。
【関西国際空港】7月23日
今回も飛行機に乗ります。
関西国際空港から阿蘇くまもと空港へ。
目的地は熊本。一泊二日の旅。
そして今回の旅の目的は、
ながべたかいしょうろ
・長部田海床路
(「大分むぎ焼酎 二階堂」のCMのアレ)
おこしき
・御輿来海岸の砂紋
(さいきん、読売新聞の日曜版で写真のってて行こうと思った)
あともうひとつは、
・アニメの聖地巡礼で芦北町へ。
なんの作品かは、前回の拙ブログで。
お手すきの方はごらんなってください。
地図にすると、こんな感じ。
個人的に行きたい名所が3つかさなった。
これはもう、行くしかないですね。
一ヶ月まえに飛行機のチケットはおさえておきました。
阿蘇くまもと空港到着が15時。
そこからハイヤーで直行すれば夕方の海岸に間に合うはず!
JRに乗って関空へ。
(↑前にうまく撮れたからまた同じ構図で、ということを映画監督もよくやるらしい)
第1ターミナルへ。

そのままフードコートに直行する。
「とんかつのKYK(ケイワイケー)」のお店をみつけ、メニューをのぞく。
ちなみに関西でとんかつのKYKといえば、超がつくほど有名で、関東でいえば崎陽軒のシウマイ弁当にあたる。いやちがうな。
ところが先に入店したお客さんに、店から「15分ほどお待ちいただいてます」との声がきこえたので、(混んでるのか)と思い、ほかも探してみる。
すると出発ロビーにもフードコートがあり、

ウロウロしてみると、このようなお店をみつけた。

一品料理をえらべる食堂みたいなスタイル。
こんなお店が関空にあったのか。
これはもう目移りしてしまう。
とんかつが食べたいけど、鶏の唐揚げも捨てがたい。
サバの塩焼きで自分を見つめ直すのもわるくない。
いや、ちょっと待つがいい。
一品料理だからといって、なにもほんとうに一品だけたのむ必要はないんじゃないかな。
値段がお値打ちぶん、二品えらんでもいいんじゃないのか。
『おのれの欲望に正直な定食』
とんかつ&からあげ、ご飯大盛り、ポテトサラダつけて1,200円。
ぜいたくをしてしまった。
高楊枝きぶんで、意気揚々とカウンターにノコノコあらわれる。
さあて、サクサクっとチェックイン済ませるかあ!と思ったら、

エッ?
ウソだろ、おい・・・。
うあああああああッーー!!
熊本便に遅延でとる!
13:50が17:50に。
4時間も遅れるのか!。
(のちにさらに事態は悪化して18:20になります)
おいおい、ちょっと待てよ。
頼むから、勘弁してくれよ。
この時点で旅のプランがガラガラと積み木のように崩れ去る。
ダメだ。もう撮れない。
シートにへたり込む。
その場で2時間ほど考え込む。

どうする。
もう、キャンセルするか。
1ヶ月まえからの旅の計画をこの場でムザムザすてるのか。
そもそもキャンセルできるのか?
帰りの便だけキャンセルするか。
もう一泊して九州新幹線で新大阪行きさくらに乗って帰るか。
宿はもう一泊できるのか。
宇土市内のタクシーにも電話しないと。
なんて言う?
そもそもおれはどうしたい?
対局中の棋士のように頭のなかで目まぐるしく手筋を考えるが、そもそも考えて答えをでるようなことではない。
空港内を歩く。
何度か関空にくるうちに、歩けることを知った。
ていうか、ウォーキングコースになってる。
歩き回っていいんだ。
ああ、前回はpeachで快適だったのに。
Jetstarめ・・・!

ここまできたけど、ぐるっとまわってきたけど、おのれを信じて汗かいてきたけど、さして良い風景とはいえず。

展望公園で優雅に飛行機撮ってるひとたちがいた。

第2ターミナルまできて、バスでもどる。
サイコロの目は、ふらなきゃ出ない。
もう、ふってみるしかないだろ。
チェックインをすませ、さっきの食堂にふたたび寄る。
もう、ビール飲んじゃえ!
まーた唐揚げ食っとる!
いよいよ搭乗口へ。

う、うらむぞ!Jetstarめ!
飛行機の旅は、到着日はフリーにしておかねばならないのが鉄則のようです。
座席は19A。
有料で特等席を指定した。
が、天気の悪さもあいまって、いっこうに気分は盛り上がらない。

トーイン・バック。タキシング開始。

クリアフォー・ランウェイ。

ランウェイは24L。南風だ。

離陸。このときの腰のあたりがスーッとなる感じがたまらなく好きだ。このまま天国まで連れてってくれないかな。

あれにみえるは、もしかして和歌山の紀ノ川かな。

やはり、そうだ。和歌山市を上空から。

紀淡海峡をぬけ、(友ヶ島?)

ここ、どこだかわかります?
淡路島みたいですよ。
明石海峡上空。

空はこんなに広いのに。
つまらぬことで悩んでるうちに、歳ばかり食ってしまうから。
おれは歩き続けるしかないんだろう。
50分のフライトで、阿蘇くまもと空港がみえる。

そのまま海にまで出て、旋回する。
東風なのだろうか?
街の灯りだ。

九州自動車道をフライ・パス。

無事、到着。

空港ではもちろんコイツがお出迎え。

小雨ふるなか、待っていたハイヤーに乗り込む。
(有)西田タクシーの西田さん、よろしくお願いします。
みちみち、西田さんからさまざまな話をきく。
熊本のこの前のこととか、4年前の地震とか。
宇土市の産業も。
大阪製鋼の大きな製鉄所があるらしい。
だから宇土市にはビジネスホテルが数件あるし、大阪から出張にやってくる人を乗せるのだと。

天草までの国道が、意外に整備されてて驚いた。
三角(みすみ)線、ローカル線ぞいの道なので失礼ながらもっと田舎道を想像していたらちがってた。
「もずくの工場があるんですよ」
全国のスーパーで売ってるもずくはここで加工されるという。
もずくはいいんですよ。もずくは。
もずく撮りにきたわけじゃないから。
立派なトイレのある駐車場に車を停める。
雨を吸った芝生に足元を濡らしながら暗闇をいく。
しまった。ライト持って来ればよかった。
ぜんぜん見えん。
やっと、ここまできた。
真っ暗だけど。
三脚をたて、長秒で撮ってみる。
そう、三脚を持ってきたんです。
シグマの重い望遠レンズを置いていくかわりに、三脚をもってきたんです。
前夜に夢をみて、見知らぬ海を撮ってる夢で、「三脚がない!」と大弱りする夢をみて天啓だと思ったんです。
あと、2時間早ければ。日没時間にまにあったのに。

車に戻ると、西田さんが、
「撮れました?」
と、熊本弁のイントネーションできく。「れ」にアクセントがくるのが九州の言葉だ。
「やれることはやった」
なんだかいっぱしの職人気取りみたいな言葉がポンとでた。
車が宿に向かって走りだしてから、
しまった。長秒で撮ったのはいいが、絞りをしぼって撮るんじゃないのかも、と思えてきた。
広島・呉で潜水艦夜景を思い出しながら撮ったんだけども。
もっと、ぼんやりボンボリ灯るように撮らなきゃいけないんじゃないか。
オレ、まちがえた?
そこからホテルはすぐそこ。
タクシー会社も近くにある。

「ホテル ベンデナート」
おぼえにくい名前だ。
おかげでホテル名をわすれ、西田さんに、「ベンなんとかにお願いします」と言ったらそれでもなお通じた。
部屋はこじんまり。でも悪くない。

チェックインが9時をすぎてしまった。
いまから外に食べに行く気にはなれない。
目の前のセブンイレブンで買ってくる。

コンビニ弁当たべるのも、10年単位のひさしぶり。
「土地の名物料理に舌鼓をうつ」
というのがブログ・ポリシーなのに。
こんなハメになるとは。なさけない。
また唐揚げ食ってるし。
* * * * *
翌朝。24日(金)
目が覚めると、朝からどしゃぶり。
雷もドーン!と落ちた。
ダメだ。
旅の女神はほほえまない。
この時点で芦北町での聖地巡礼も断念した。
朝食をいただく。
卵はどうしますか、納豆は食べられますかとまかないのおばちゃんにきかれる。
しまった。目玉焼きにしてもらえばよかった。
この期に及んでつまらぬことで悩む癖、なんとかならんか。
まわりは職人さんぽい男たちが慣れた感じでメシを食っている。
工場のお客がおおいという話はほんとうらしい。
すまんね、オレひとり観光で。観光できてないけど。
観光もなにも、聖地巡礼どころか
JR鹿児島本線が不通になってる。
熊本~八代のあいだで。
熊本発着の飛行機もバタバタ欠航になってる。
やばい。
和歌山に帰れないかもしれない。
ふたたび(有)西田タクシーをよぶ。
今日は西田さんじゃなくて、本田さん。
しかも風体がうりふたつ。
もしかしてドッキリカメラかと思ったが、それにしてはネタがうすあじすぎる。

空港に行く前に、最後に一枚撮らせてとお願いして行ってもらう。

トイレつき駐車場につく。
昨夜は暗闇でわからなかったけど、けっこう台数停められたんだな。
天よ、天。
頼むからこれ以上、この地に雨を降らさないでやってくれ。

『雨の長部田海床路』

傘をさしながら、静かにシャッターをきる。
ここへ来てわかった。
こんなにまでしてここに魅かれる理由がである。
海中より半身をさらして物言わずたたずむ姿が、
人をして人の生きざまに似て、
どこか物哀しいからだ。
カラスが一羽、
なにか言いたげな風情で
雨に濡れていた。
これにて撤収する。
* * * *
熊本市街から空港への幹線道路は、きれいな並木道で、バイカーに人気があるという。

「そこがアノ、再春館製薬ですよ」といわれ、おもわずオッと反応してしまう。
イヤイヤ。いつから史跡・名所になった。
でもヘタな名所よりはよほど有名だからこまる。
空港についた。
だが信じがたい話だが、出発までゆうに6時間ある。
すっかり顔なじみになってしまった(お土産なに買って帰るか時間をかけて物色してたためである)土産物店の女性に、
「どうやって過ごされたんですか」
と出発まえ最後にきかれたけど、
「スマホで本読んでました」
昼間からビールちびちびやりながら。
もうどうにもならないわー。
なに読んでたかといいますと、これ。
『夏への扉』 Kindole版

ハインラインって有名だから、いちどどんなのか読んでみたかった。
「夏への扉」はなかでも名作中の名作らしい。
読んでておどろいたのが、いままで見てきた映画・アニメの元ネタがギッシリ詰まっていたこと。
えー、ぜんぶここからかよ!?と仰天した。
さて、最後にご当地ラーメンでもいただいて帰りますか。

『熊本ラーメン』

これが熊本ラーメンか!
マー油がこうばしく香ってたまらない。

こんな感じで、今回は失敗の旅でした。
まあ、こういうときもあります。
ありがとうございました。
またお会いしましょう。
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Posted at
2020/07/25 19:04:17