
写真をやりだすと、こんなことまでやるのかと
自分でも驚いています。
樹齢三〇〇年の一本桜として全国に名をとどろかす
奈良・宇陀(うだ)にある瀧桜(たきざくら)。
通称、又兵衛桜をひと目見たくて
早起きして本当に行くんです。
【AM 3:30】
和歌山発。気温13℃。根来・岩出ICから京奈和道にのる。暗いのこわいよ。
【AM 4:00】
京奈和道唯一といっていい、かつらぎPAにて休憩。

ここをのがすとトイレはない。
(それにつけてもヘンテコな写真をとったもんだ)
【AM 5:00】
奈良・吉野を通過。ハンドル握りながら、昨年は吉野で桜撮ったなあと感慨にふける。今年はさらにその先へ行こうとしている。ヤバイ。東の空が白々と明けはじめた。夜明け前の寸前を撮りたいのに。
【AM 5:30】
目的地到着。すでに駐車場はエラいことに。もはや夜は明けきってしまった。遅かりしか。
周辺はこのように大賑わい。(のち、倍増する)

(スマホ。適当にとったからボケてる)
自分も撮影場所をきめてセッティングにかかる。
しばらくすると、
【AM 6:00】
陽がさしはじめる。

陽があたった場所から、淡い薄紅色がかがやきを放ち、
そして又兵衛桜は、そっと静かに語りだす。

SIGMA APO 70-200 DG OS HSM
105mm/絞り優先AE(F11 1/30秒)/EV-1.7/ISO100
息をのむほどうつくしい。
これほど見事な桜が世にあろうか。(東側の別角度から)

シャッターを切る音が山間にこだまする。
さて、ここでネタばらしふうに。
じつは、三脚買ったんです。とうとう買いますた。

SLIKスリック スプリント L110
・おもさ 1180g
・耐加重 2kg
・おねだん 1万ちょい
パイプ径が20くらい。トラベル用のつもりなので、とくに軽さにこだわった。重いカメラ機材はシグマのナナニッパでこりごりでございます。で、そのシグマつけると重さが2.2kgとなり、あっさり耐加重をオーバーしてしまうが、そこは三脚にがんばってもらいましょう。
三脚だと、ここではじめてライブビュー・モニターで桜を拡大して精緻なピント合わせが可能となった。これでシャッター速度にとらわれない撮影もできるし、とにかく世界が広まりんぐである。
周囲を見渡すと、それにつけてもみなさんゴツい三脚をお使いですね。

画面中央の黄色のNikonのベルトが私の。
手前のカメラ(レンズ)に注目。
左隣の男性。三重は鈴鹿からとのこと。

Nikon D610 そして、
ニコン純正のナナニッパ。うひょー。
私のシグマのナナニッパは上にあげた写真をみればわかるとおり、ニコン純正にかなり似せてつくられている。となりの鈴鹿氏も一見して見間違えたらしく、
「いっしょだ」といわれたが、むこうは30万円こっちはその3分の1という気恥ずかしさで、
「グヘヘ、それがちがうでごぜえますよだんな様」
と、卑屈な笑いをうかべ意味不明なこたえをする。
【AM 7:00】
陽もたかく昇りきったので、ハーイここで一服。
ゆず茶に草もち。
おでんやビールなども売ってて、車でなければ、朝でなければお茶ではなく酒でも一献やりたいふぜい。

ちなみに売り子は近所のおばちゃんたち。
だからおつりをかえす手つきがかなり不慣れであるけれども、むろんそれは諒とすべき。
ただ、買いにいくと、おばちゃんたちクーラーボックスを覗き込みながら、、
「アレッ、厚揚げがない!」
「なんでえ?」
という間の抜けた会話がきこえて吹いた。
そのおばちゃんとのはなし。
むかしから又兵衛桜は有名だったけど、やはり大河ドラマ効果は絶大らしい。
「大河で又兵衛が桜に馬をつなぐシーンでもあったの?」
ときくと、私もみてないがおばちゃんもはっきりしないらしく、
「さあ?」
と首をひねった。
「ロケはなかったけど、又兵衛役のひとはきた」
「まじで」
「鶴瓶さんと。家族に乾杯で」
「あ、それ見た!」
・・・戦国武将の後藤又兵衛は、大坂城入城前は京の河原で物乞いをするまで落魄した。
みかねた真田幸村が猿飛佐助をつうじて金子(きんす)をとどけさせるのだが、又兵衛は金子をのこらず高価な茶道具にかえてしまう。
それで時折くる客をもてなすのだが、河原小屋にそぐわない茶道具に客は肝をひしがれた。
来客には、諸大名の使者も多い。用向きは当然、
「ぜひ足下を千石で召しかかえたい」
というものだが、又兵衛は首をふって応じようとしない。
「では二千石」
というと、又兵衛は怒りだし、
「この俺の値打ちが」
タッタ千石、二千石か、と使者を追い返した。
「いかほどの所領を」
御所望なさるか、と使者が問うと、又兵衛、大口をあけて戞と笑い、言ったという。
「万石よ」
・・・そんな英雄豪傑肌の又兵衛が、たおやいだ桜の木にふと馬の手綱をつないだという、一種俳諧的な情景に、なんとも物さびた牧歌的なものを感じ、それが往時をしのぶ現今(いま)の人々の心を打つのだろう。
いま又兵衛桜のまわりにひとが絶えることはない。
今年も桜を満喫できました。
ありがとうございました。
またお会いしましょう。
Posted at 2017/04/17 21:04:10 | |
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