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2020年10月31日 イイね!

ニッサンの国有化についての感想と妄想

学歴もなく経済も社会も全く知らないおっさんの、単なる「感想」と「妄想」である。

コロナショックでANAが大幅なリストラや路線の集約などの改革を行うというニュースがあったが、それ自体はもはや当然のことであり今後は経営そのものが焦点となるのは間違いない。ただ見方を変えればANAはいち早く明確な対応を示したとも言え、一方今回もJALにはそれができないあるいはその気がないと言ってもいいだろう。そしておそらくJALは10年前のリーマンショックの時と同様、再び国有化されることになるのではないかと勝手に思っている。
そしてそのJALを彷彿とさせるのが先月の「ニッサンに政府保証」「過去最大規模の1,300億円」というニュースだが、その後追加の情報が全く出て来ないのは、当然情報もマスコミ自体もコントロールされているということなのだろう。最終的には一時国有化ということで間違いないと思われるが、ニッサンとアライアンスを組む仏ルノーはそもそも国策企業だし、先月ホンダが提携を発表した米GMも10年前リーマンショックを機に経営破綻し一時国有化されていた。米国ではデトロイトがトランプを生んだと言われていることもあるし、やはり国内経済、牽いては政治への影響が大きいということについては間違いなく、これまで日本、そして世界経済を牽引してきた自動車産業の行く末は、言うまでもなく国家としても一大事である。 

というワケで先月の続き。
国家が民間企業を救済することは特に珍しいことではなく、また一方で、最近なら郵政(と言っても10年数前)、相当前には国鉄など、国営から民営化されるものもあり、最近ではあまり使われないが半官半民という言葉も昔はあった。
奇しくも最近docomoがNTT本体に統合されるというのがニュースとなったが、NTTも40年前電電公社から分割民営化されたものであり、おっさん世代が子供の頃国鉄と並び大ニュースとなっていた記憶がある。
当時の記憶では、国鉄については巨額赤字だから民営化するのだという理屈が最前面に押し出されており、子供でも何となくそういうものだと理解していたが、では電電公社もそうだったのかというと当然そうではなく、一体この違いは何なのだろうか、というハナシである。

鉄道は戦前まで交通、牽いては経済の主役だった。まさに国内の隅々まであまねく線路が張り巡らされ、それによって人、モノが動き、そしてカネが動いたのである。が、戦後は急速に発展した自動車にその座を奪われ、また経済の論理による都市一極集中と地方の過疎化によって、地方では完全に採算性を失うこととなった。実際おっさんが子供の頃の記憶では移動はクルマが中心で駅に行くことはほとんどなかったし、駅が街の中心というわけでもなかった。また鉄道とバスを比較した場合目的地が同じであるなら、時間は多少かかったもののバスのほうが料金は低く、駅よりバス停のほうが家から近かった。結局個人の移動目的であればクルマがダントツで、公共交通としてもバスのほうが利便性が高く、地方で人が減り、モノもカネも動かなくなったことで鉄道は競争力を失った。つまり収益悪化は当然なのである。
そもそも国鉄の経営が怠慢で、経営者が無能で、労働組合が傲慢だったとしても、そのことは一義的なものではなかったと言えるだろう。しかし事業として完全に崩壊するまで放置し巨額の赤字を積み上げたのは組織の責任であり、もはや解体する外ないというのが国鉄の民営化だったということになるようだ。もちろん国営であるからには政府、政治家にもその責任はあるハズで、国会議員が自らの地盤の利益誘導のため線路や駅を誘致するというのは全く珍しくなかったそうである。その意味で民営化は確かに英断だったということにもなるのだろうが、結果としてはやはり遅すぎたのであり、落ちるところまで落ちた組織のまさに典型である。まして民営化後も事実上地方のJRは実は国が支えているのが実態なのだそうだ。明らかに採算性がないものを民営化するというのは最初から経済の論理として成立しないのだから当然である。わざわざ不採算部門を分割する意味は、最終的にはそれを切り捨て採算部門を生き残らせるためであり、地方のJRは最初からいずれは捨てられる運命だったのである。あれから40年、地方の路線は一度自然災害に見舞われると復旧されることなく廃止されていくという状況だが、おそらくは国の支援も限界に来ているということであり、これまで存続しただけでも長かったということになるのだろう。

一方の電電公社についてはどうだろうか。
今回の統合のニュースよるとdocomo、NTT共に民間企業とはいえ巨大国策企業に変わりはなく(今回の統合にはこの辺の問題もあったようだが)、まして経営問題というワケでは全くないということであり、40年前も当然そうだった。
通信、電力、交通という経済基盤は何よりスケールメリットが必要であり、その整備は莫大な予算が必要なため、資本主義が生まれた時から国策の筆頭である。それらの利益は直接国家の財源となったし、言うまでもなく経済の発展が国家の利益であった。戦後、経済の回復、発展と共にそれらが一定程度成熟に至ると、それまでほど莫大な予算を必要とはしなくなるため、更なるサービスや技術の発展を目的として自由化、民営化されるというのが世界共通の流れである。当然日本もこれに習うこととなるが、それは自由経済を正義とするアメリカの圧力などもあっただろう。
地域電力会社や電源開発も、民間企業とは言え事実上の国策企業だが、ここ数年、自由化、送発分離に舵を切ったところである。

この経済の主役、そしてその利益を享受するのは国家ではなく民間企業であるという考え方によるものの一つ、というか最後で最大の事例が「郵政民営化」である。事業としては十分健全、というより莫大なカネがそこにあったからこそ、自由経済の原則によってそれを独占することは許されない、ということになるようだ。ただこれも時代の波が押し寄せていることは明らかで、通信の発展によりそもそも郵便物は今後消える運命にあることは間違いない。ただ実際は郵便事業そのものではなく銀行と保険という本来であれば付帯サービスであるハズの事業から巨額の利益を得ていたのであって、実際これらの収益により地方の不採算郵便事業も存続しているということになるそうだ。経済が発展するに連れ、というよりそもそも経済の実権を握っているのはモノづくりや物流などではなく金融や保険などの虚業であるということに、誰もが気づいた出来事だった。

ただその金融ですら、ここ数年危機感が高まりつつあるというハナシである。
バブル期までは国により絶対的に守られていた銀行も、バブル崩壊で北海道拓殖銀行は潰されその結果地方経済への影響も小さくなかったと言われているし、その後銀行の不祥事も数えきれないほどあったと記憶している。そもそもバブル自体銀行、金融がその主犯であり、そして日本全体をそのまま失われた30年に陥れ、ここ数年地方銀行なども再び存続の危機なのだそうである。銀行自体金融政策によって生き延びているのか逆に翻弄されているのかその辺はおっさんにはよく判らないが、肝心の審査能力が低下しているというハナシもあり、経済の実権を握っているハズの銀行がこの体たらくではますます将来暗澹たるものである(そもそも審査能力とは何なのか、昔はそれがあったのかは大いに疑問ではあるが)。
このような状況で行われた郵政民営化に、日本経済にとって何らかの現実的な好影響などあるハズもなく、まして「かんぽ」は全組織ぐるみの巨額詐欺事件を起こしたところである。

要するに民営化とは、経済の論理として当然のことであり住民サービスや国民のために行われるワケでは全くないし、事業の効率化も経営の改善も、全く関係がないということである。国鉄がJRとなり経営やサービスが改善したわけでは全く無いし、駅員の対応が良くなったということはほとんどなかった(最近でこそ常識的水準にはなったが、それは単に時代の流れだろう)。郵便事業も、最近土曜日の配達をやめるというニュースもあったところであり、これからサービスが向上してくことはないだろう。
まして組織の論理によって全てが劣化しガバナンスが崩壊していく日本においては、国営であるということの規制が緩んだだけとなり、巨大利権を狙う経済原理主義者達がそこに群がる結果となるだけであって、一部の人間以外に何のメリットもないのである。件の「かんぽ」事件などはむしろ国営、民間双方の悪い部分を併せ持ったハイブリッド悪徳経営者とハイブリッド腐敗組織を生み出したいい例である。結局組織の誰もが経営能力もなく、実務能力もなく、責任も取らず、間違った方向に進んで後戻りできず、最後に組織が崩壊し、しかしゾンビの如く生き残り、腐敗を拡散させ、皆がゾンビとして生きるというのが現在の、そして今後の日本の姿なのである。
負の遺産を処理することなく放置してきた結果、それが止めどなく積み上がって崩壊する、それを避けられないのが社会の法則であり、社会の支配者たちはそれを判っている、そういうものだと認識している、そうなってから考える、ということなのである。これらはいわゆる「緩慢な死」というヤツだそうで、この事自体はリーマンショックの時から言われていることであり、結局何も変わらないのだ。死の神シヴァは、再生の神でもある。真の再生は破壊無くしてありえないということは、世界中の神話が示しているとおりである。

そしてここでニッサンにハナシが戻る。
本来企業として自分の力だけではいよいよダメだとなったとき、周りからその実態を見極められたうえで、少しでも得るものがあればどこかの誰かが助けてくれるし、誰も相手にしてくれなければ破綻するだけである。その前になんとかするのがフツーであり、であれば助けてもらうのがルノーがいいのか、国内メーカーがいいのか、国がいいのかというハナシでしかない。
現時点ではホンダは「No」を突きつけたワケで、トヨタは事実上既にダイハツ、マツダ、スバル、スズキまで面倒を見ている状態である。ルノーは助けてくれるというより全部を持って行かれることになり、それはだけはイヤだと考えているのが日本政府(の一部)、ということになるのだろう。
かつて栄華を誇った液晶産業を見る限り、経営破綻しホンハイ傘下になったシャープ、一方国が前面に立って誕生したJDI、どちらがいいかは明白だろう。しかし、実際どちらの選択肢を取るかは分かれたワケで、我々から見る結果と、「彼ら」の目的はそもそも違うのだと考えるのがより自然だろう。再三言うようにそれは現在の日本の経営者と呼ばれる者達の中に、企業を経営しようとする意志のある、そしてその能力のある人間は、既にいないということなのである。ただそれは我々素人の考えであって、「彼ら」にとってはそもそも意味がないのだ。組織の論理が完成に至り、責任などというものが組織のトップに一切不要となったのだから当然ではある。おそらく経営陣の不正蓄財の責任はうやむやのまま、ニッサンは国有化されるしかないのだろう。ニッサンはそもそも民間企業だが、歴史を辿れば立派な国策企業であり、ここまで書いた通りもはや巨大組織に国営も民間もない。資本主義にとって巨大企業は国家と表裏一体なのである。

とはいえ、今はとにかくコロナである。ANAのニュースが示す通り、あらゆる経済活動が相当のダメージを受ける中、自動車業界だけあるいは一つの会社だけを救うというのは、難しいかもしれない。平時なら、大丈夫な誰かが大丈夫じゃない誰かを救えるが、それができなくなるというのが自然災害や疫病の恐ろしいところである。これまで国家によって守られていたモノ、利権を得ていたモノの中には、切り捨てられるモノも数多く出るだろう。
バブル崩壊もリーマンショックもあらゆる経済活動にダメージを与えたことに変わりはない。が、コロナの場合は特に交通、運輸、観光というところが直撃を受けることになり、そちらの救済が重視されると同時にやはり厳しい目が向けられることになるのだろうと思う。MRJの事実上の凍結というニュースもあったが、これについては相当な国費が使われた上全く結果を出すことができず、むしろコロナを理由にヤメることができてラッキーだったという見方もできるかもしれないし、それ以外にも例えばリニアモーターカーなどそもそもとても採算が取れるとは思えず、最終的には技術の輸出まで含めてというのが現在の理想なのだろうが、コロナによって事業も技術も確立することすら難しくなるだろう。当然JR各社も軒並み大幅減益を発表しており、今後は誰が国に助けてもらうかという競争になるのかもしれない。
10年前はなぜJALだけ税金を投入するのかというハナシに当然なったのだが、それは言うまでもなく破綻と救済どちらがいいのかということであり、そしてそれは誰かが客観的理論的に判断するものではなく、全ての利害関係者の力学によって結果として決まるのである。バブル崩壊、リーマンショック、そしてコロナとダメージの大きさがどれ程違うのかはよく判らないが、もしかしたら今回はJALだけを救済するということにはならないかもしれないし、それでもやはりJALだけが救済されることになるのかもしれない。
そんな中、「100年に一度の変革期」まではまだ自動車業界の問題とも言えたのだが、そこにコロナというのは、ニッサンにとってはまさに命運尽きたということになるのではないかと思っている。

コロナにより、世界は今人が動かなくてもいい時代を目指している。
が、人には移動したいという欲求があるのも事実であり、それ自体がなくなることはないだろう。遅くても数年後にはワクチンと治療薬が普及するだろうし、そうすれば他の疫病同様「克服された」ことになり、世界はコロ前に戻るだろう。その時が来れば観光需要は戻るハズだし、コロナのことなどすっかり忘れるに違いない。
とは言え、全てが元に戻ると思っているのは日本人だけかもしれない。
ファクターXによって日本は欧米に比べダメージが少なかったと言えるが、これによって世界での競争が有利になるということは全く無さそうである。また欧米では「ニューノーマル」が加速しようとしているし、むしろそれをビジネスへと転換しようとするだろう。日本はダメージが少なかった分そのような発想が希薄であり、時差出勤もテレワークも東京の「解除」、その後の「GOTO」などによりあっさりどっかへ行った。お上はと言えば、感染者が再び増加すると「”引き続き”対策を講じた上で」と言って何でもかんでも実行する、「誰も緩めていいとは言ってない」「お前ら何勝手に緩んでんだ」というのがお約束である。とにかく忘れるのは早いのが日本人であり、何事もうやむやを好み、お上の言うことは聞いているフリをするのが得意である。そして世界が新たな基準によって動き出した時、またしてもついて行けないことになるのは目に見えている。そもそもコロ前から新しい分野は何一つ世界について行けていない日本に、どう考えても未来はない。現在も世界に誇る産業用ロボットといえど80年台からの遺産である。時間は決して後戻りしない、あらゆるものは歳をとる、そして起こったことは消えてなくなるワケではないのだ。

最後に、特に気にもならないがニュースをひとつだけ。
今月初めにホンダF1撤退のニュースがあった。
その事自体についてはこれまで何度も書いてきた通りなので改めて触れるものはない。
が、おそらく2021年はホンダF1史の最後となるだろう。
そう考えると確かに少し寂しさを覚えるし、それは単なるおっさんの郷愁に過ぎないのだが、せめてコロナがある程度収束し、最後の年の日本グランプリが鈴鹿で開催されることを願っている。
Posted at 2020/10/31 06:55:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ

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