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2021年02月28日 イイね!

1984年と団塊ジュニア

学歴もなく経済も社会も全く知らないおっさんの、単なる「感想」と「妄想」である。

2021年2月14日にNHKで放送された「『YOU』100回記念」というテレビ番組がとにかく衝撃的だったので感想。
1984年6月9日に教育テレビの深夜に放送された番組を振り返るもので、この頃まだ小学生だったおっさんにとっては番組名くらい(それもおそらく土日の再放送的なもの)しか記憶にないのだが、そうそうたるゲストの若かりし日の姿、発言内容等々、今から36年前、バブル崩壊の10年前、黄金の80年代絶頂期の空気感が非常に強く伝わってきてまさにタイムスリップしたかのような衝撃だった。

番組自体は若者がターゲットで毎回ゲストの話を聞くという当時の定番スタイルのようだが、100回記念特番のテーマが「気分はもう21世紀人」ということで、気鋭のクリエーター達が未来を語るというものだった。テーマやゲストが芸能、アート的な分野に特化していたとは言え、自分が今なぜそれをやるのか、今後何をやりたいのかということや、この世界は今後どうなるのかといった将来を見通していた発言が随所にあり、36年前に10代20代の若者からこうした発言が出ていたことにはただただ驚くばかりだった。
発信者の発言としては、「ウケたいとは思う」「ウケようとすると面白くなくなる」「自分は受け手でもある」「受け手の感覚をなくしたら終わり」「だから自分が面白いと思うことをやる」「自分と同じ考えの人を増やすことがウケるということ」というのが概ね若手アート系の共通認識だったように思う。
また時代、将来についての発言で印象的だったのは、細分化、行き詰まり、空気が薄い、未来へ続く太い道なんてなくなる、新しいも古いもなくなる、送り手と受け手の境界がなくなる、といった言葉が彼らの共通認識だったということである。この感覚が36年前に既にあったと思うと彼らの先見性に驚くばかりだが、それが事実だったということはむしろ彼らには自然にそれが見えていたということになるのだろう。「行き詰まり」という言葉も、日本にとってまさに絶頂期とも言える時代にあっては意外だったが、話の全体から見れば納得だった。
またコンピューター技師の「各家庭にコンピューターが入り、全てが通信で繋がって、何でも出来るようになる」という発言には、この時点で完全に将来が見えていたことに驚いたし、ビデオクリエーターなる肩書の人物の「テレビはデータベースとなり見たいものをコンピューターで引き出すようになる、だからこの仕事はなくならない、むしろ発展する」という趣旨の発言や、これを受けて「カネがかかること、それをやる人がいる限りCMもなくならない」というCMクリエーターのコメントもあり、将来というものは見えている人には自然に見えているものなんだなあと感心するばかりだった。

自分がこの番組を見て感じたのは、時代とは、そして過去とは、未来とは何か、ということである。

1984年をちょっとウィキペディアで見てみたところこんな時代である。
2月 サラエボオリンピック 北沢 欣浩が銀メダル 黒岩彰、マッチ・ニッカネン、カタリーナ・ビット・・・
7月 ロサンゼルスオリンピック 山下泰弘、森末慎二が金メダル カール・ルイス、フローレンス・ジョイナー・・・ 
9月 ホンダF1第2期初勝利 ウィリアムズホンダ ケケ・ロズベルグ
アップルがマッキントッシュを発売
邦楽シングルオリコン年間トップ10 わらべ、安全地帯、松田聖子、チェッカーズ、中森明菜、芦屋雁之助・・・
洋楽アルバムオリコン年間トップ10 マイケル・ジャクソン、カルチャークラブ、シンディ・ローパー、ヴァン・ヘイレン、デュランデュラン・・・
まさに日本(とアメリカ)にとって黄金の80年代だった。

番組出演者の年齢を調べてみたところこんな感じである。
糸井重里1948年生まれ今年73歳放送年36歳
坂本龍一1952年生まれ今年69歳放送年33歳
竹中直人1956年生まれ今年65歳放送年29歳
鴻上尚史1958年生まれ今年63歳放送年26歳
なんきん1959年生まれ今年62歳放送年25歳
戸川純1961年生まれ今年59歳放送年23歳
原田知世1967年生まれ今年54歳放送年17歳
河合美智子1968年生まれ今年53歳放送年16歳
当時の40歳は今年76歳、30歳は今年66歳、20歳は56歳、10歳は46歳、0歳は36歳だ。
おっさんの属する団塊ジュニアと呼ばれる世代は当時10歳前後である。そしてちょっと意外な感じもするが糸井と坂本の二人はいわゆる団塊世代、つまり親の世代ということになる。

番組では、彼らはいわゆる「クリエーター」として作品や仕事を通じて自分を表現し、自分を生きるということを示していたように思う。彼らは自ら発信する側の人間であり、自分というものを表現する能力には長けている。自分を持っているということは、やはり言語化できること若しくは何らかの形として表現できるということが重要なのだと思う。その作業を繰り返すことで自然と自分自身で自分を発見し、理解し、定義していくのだろう。

と、ここまでがこの番組を見て、希望に満ちた、浮かれまくった黄金の80年代、小学生の頃に戻った自分の感想である。
そしてここからは今、斜陽の時代に、おっさんが思うことになる。

将来が見えているからと言って別に彼らが社会全体を最善な道へと導いているというワケでもなんでもないということは言うまでもない。
所詮この番組自体「テレビ」であることに違いはなく全てを真に受けるものではないし、彼らは業界の論理で選ばれし者達であることもまた事実だろう。糸井や坂本は当時はまだまだ若いとは言えその「太い道」を歩んできた人間だろうし、音楽や美術の世界であっても所詮は「業界」であり才能だけで生きていける世界でもないだろうとも思う。傍から見ている人間からは、彼らは自ら望んで、希望に燃えてその道を選んだように思い込んでいるが、詰まるところ彼らの生まれがそういう環境だった、またはそうするしかなかっただけということもあるのかもしれない。または結果として彼ら自身の性質がその世界に特化していた、カネの匂いに敏感で、世渡りのセンスに恵まれていたということなのかもしれない。コピーライター、CMディレクターなどという肩書はおっさんには未だにピンと来ないが、やはり経済の頂点界隈にいて初めて存在し得るものだろう。CMと言って真っ先に思いつくのは、去年「電通案件」として炎上し、オリンピックからコロナ対応まで日本経済のあらゆる場面で暗躍する巨大資本である。
まして芸能界など表面的な華やかさや美談で語れる世界とは程遠いことは、おっさんくらいの年齢になって、またこのようなネット時代になってようやく誰にも解ってきたことではある。3歳から泣きながらピアノのレッスンや芸の練習を親にさせられてきただけということも現実にはフツーにあるようだし、逆に複雑な家庭環境や貧困によって子供や青少年が搾取されること、反社とのズブズブの関係、一攫千金を夢見る人間が集まる世界であるというブラックな裏側があることは昔からなんとなく判っていた。事務所との奴隷契約や性被害が今頃になって問題となっていることも周知の通りである。

当時トップクリエーターと呼ばれた人間達、文化や精神的側面において新しい時代を代表し牽引していくかに見えた人間達が、何か社会を変えたのかといえば、この36年間を見れば判ることだろう。中には現在大学で後進の指導に当たる者もいるが、教育や大学が36年前に比べて新しい時代を迎えているかといえば甚だ疑問である、というよりむしろ後退しているようにしか思えない。
そして現在、このようなテレビ番組は全くなくなった。
黄金の80年代だろうと失われた30年だろうと、社会には常に弱者も強者もいる、それ自体は永遠に変わることのない自然の法則である。が、それでも自分を生きるということが可能であること、そのために何をするのか、それ自体が生きるということなのだということを彼らは示していた、せめてそう考えるのが前向きな意味では唯一の正解となるのだろう。

とは言え当時の雰囲気を一言で言えばやはり「高揚感」だったというのが団塊ジュニアであるおっさんの感覚であり、おそらく多くの日本人に共通するものだろうとは思う。故に現在の「閉塞感」はその反動、というより単に相対的なものでしかないのかもしれない。

その高揚感が蘇った衝撃についついまとまりのない感じになったが、この番組についてもう一つ言いたかったコンピューター関係のハナシはまた改めて考えてみることにしたい。
Posted at 2021/03/01 06:02:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ

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