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2021年12月28日 イイね!

トヨタのBEV戦略についての感想と妄想

業界の実情も経済も全く知らないおっさんの、単なる「感想」と「妄想」である。

トヨタがEVを2030年までに30車種350万台にするという目標と、16車種のコンセプトモデルを発表したというニュースについての感想。
ホンダも既に方針を発表しているが、やはり日本社会に与えるインパクトの違いは歴然である。
ネットでも関連した記事が連続して多数アップされているが、概ね予想通りというのが大勢のようだ。

「エンジンを作らないホンダなんていらない! ?いったいホンダは何処へいくのか?」 文/清水和夫 ベストカーWeb 12/27(月) 7:00配信
「今年読まれた記事と、全力で止めたい超小型EV「C+pod」」(池田直渡) ITmediaビジネスONLINE 12/27(月) 7:55配信
「「業界の救世主」だった豊田章男社長はなぜ「EV推進派」に変貌したのか」 NEWSポストセブン 12/27(月) 16:15配信

東京都知事が「脱ガソリン」宣言したのが去年2020年の12月、ちょうど一年前である。
このときも書いたが、これは結局欧州と中国が仕掛けたゲーム・チェンジを受けて立つこと、彼らの土俵で闘うことが決定しただけのことだ。
グローバル資本主義で最も重要なのは世界の自動車市場であると共に、世界の金融市場である。都が発表した、というより政府が方針を決定したのは世界に対するプロモーションであり、そしてそれは言うまでもなく業界の意向である。つまりこの時点でトヨタを含む日本メーカーの方向は決定していたのであって、あれからちょうど一年、トヨタからこのような発表があったことは極々当たり前、全ては予定通りだと言っていいだろう。

EVそのものに関して言えば、現時点では航続距離、充電時間、充電場所、価格、どれをとっても何らメリットがない、何の魅力もないと言っても過言ではない。
だからこそ「環境問題」あるいはせいぜい静粛性かむりやり高級感を最前面に押し出す以外ない(スポーツ性も意外に高いようだが大衆には不要)という状況である。
更に日本に関して言えば、少子高齢化で市場は縮小し、更に実質賃金の低下でクルマの価格は相対的に上昇し、ただでさえ軽しか売れない状況であり、そこに高い(価格が)、遅い(充電が)、走らない(長距離は)では、誰もEVなど買うはずがない。そんな中でEVを売るには、もはや誰もが判っていることだが、政府の補助金以外にないのである。
もちろん現在の欧州や中国も、基本的には全く同様に政府の補助金によって市場が形成されていると言ってもいいだろう。結局これが自動車業界にとっての新たなビジネスモデルであるというのが、現時点における世界の結論なのである。
このような結論に達したからには、環境問題に対する正論など全く無意味であり、トヨタとて抗う必要性は全く無い。全世界がEV化を正義と認め、それ以外を悪と認めたのだから、もはや議論の余地はなく、むしろ堂々とEVで勝負するだけのことだ。
ここから先は、自動車メーカーにとっては技術力の、政府にとっては補助金政策の、世界との純粋な勝負ということになり、むしろ迷いがなくなったとも言えるだろう。
ただ、内輪では根回しや忖度ばかりしているくせに世界が相手のゲーム・チェンジ、戦略的仕掛け、裏工作が全く下手くそな日本政府、日本メーカーだけに、またどこかでルール自体をひっくり返されるときのことは考えておく必要があるというのがトヨタの本心、というか当然の戦略だろう。
そもそも環境問題等々もっともらしい正義を振りかざすのは有史以来シャーマンの専売特許であり、「本当の技術」の対局にあるこれもまた重要な「技術」である、ということは今回は触れずにあくまで本当の技術が社会に何をもたらすのかを考えてみる。

少なくともおっさんがまだ子供だった40年前から、いずれはバッテリーEVか燃料電池車だと言われていた。
が、それが未だに実現しないのは、技術的には偏に「電池」の問題である。
それは必ずいつかは解決できる、いつかは500km走るのに5分で充電できる日がやって来る、そういう性質のものではあるが、それが未だに実現しないのは、一言で言えば、化石燃料が最も優れているだからだ。優れているというのはあくまで便利で安価だということであり、その点においてそれ以上のメリットがなければ、若しくは何らかのデメリットがメリットを上回らなければ、わざわざ別なものを追求する必要がない。技術とはそういうものである。
地球温暖化というデメリットは長くて20年、というよりほんの10年の間に急に取り沙汰されるようになったものであり、まして今のユーザーにはほとんど実害を感じない、無関係と言ってもいいのである。
これは今の日本で言われる脱ハンコと同じことであり、色んな意味でこの方が良いなどと言われても今特に困っていないのであれば、世の中は動かないし、誰も技術など必要としない。
自動車で言えば、いよいよ化石燃料が手に入らなくなるか、本当に地球温暖化の被害が深刻化するまで変わらないだろう。

ただ逆に言うと、そこまで追い詰められたときには、技術の進歩は一気に進むことになるのが歴史の常である。
もし仮に電池の技術が劇的に向上すれば、そもそも自動車というよりエネルギー問題のブレークスルーにもなり得ると言っても過言ではないだろう。
そういう意味では、一つの技術に全世界が集中するというのも、少なくとも技術的には、一概に悪いこととは言えないのかもしれない。
そして、単純に一つの技術を追求しようとする時、日本メーカーにはその力があると、過去の栄光を振り返れば思うことができないこともない。
またそもそもモノとしてのEVとは何かといえば、まずは自動車であることは言うまでもないだろう。勘違いしている向きもないではないようだが、スマホとバッテリーにタイヤをつければEVになるワケではないことだけは間違いない。それこそクルマとしての100年の蓄積があって、そこに10年か20年のITと、未だ特異点に至らないバッテリーの問題がその後に来る、ということになる。
もちろんこれまでに比べれば誰でも作れるようになるのも間違いではないし、そもそも日本人のようにクルマ=移動手段であれば、そしてもし価格が現在の半分になるのであれば、スマホとバッテリーにタイヤが付いたモノで充分だということになるかあるいは経済的にその程度のものしか買えなくなる可能性もある。
とは言え少なくとも欧米を基準としたこれまでの「クルマ」として考えれば、フツーに考えれば技術的には既存の自動車メーカーに圧倒的な優位性があるのは間違いない。
本気の技術勝負であれば、トヨタを中心とした日本メーカーにも当然勝算はあるだろうし、多くの日本人はそう思っていることだろう。

ただ本当の問題はそういうことではない。

自動車メーカーというものは元々一つの企業でクルマの全てを生産していたワケではない(もちろん正確には現在もそうだ)。
あまり詳しくはないが、自動車の黎明期には「エンジン屋」という概念があった。BMWやダイハツの名前の由来がそうだし、ヤマハなどもそうだ。また車体メーカーを意味する「コーチビルダー」という言葉もかつては存在したし、高級車やスポーツカー、レースの分野では今でもそのような形が残っている。それが大量生産時代の到来と自動車産業の成熟につれ、エンジンメーカー=自動車メーカーという形に落ち着いていったということになる。
これはおそらくエンジンが自動車の要であったからこそだと考えられる。なぜなら走行性能、燃費、静粛性その他の質感等々、クルマとしての重要な要素が詰まっているからであり、いいエンジン=いいクルマとも言えるからである。
当面、EVにとって最も重要なのは「バッテリー」である。
航続距離、充電時間、動力性能、そして価格と、重要な要素が全て詰まっていると言って間違いない。
今までは、自動車メーカーがバッテリーを開発することはなかった。技術的には別であるため生産するより調達したほうがコストが安いことと、クルマの性能に対してそれほど大きな影響がなかったためである。
ということは、もし自動車産業が完全にEV化すれば、バッテリーメーカーが自動車産業の上流になるのはほぼ間違いない。
現在もエンジンメーカー由来ではない自動車メーカーも存在するし、自動車産業の上に鉄鋼メーカーがあり、その上に鉱物、エネルギー産業があるように、それ自体は特段フツーのことではあるが、企業の形としてバッテリーメーカーが自動車メーカーになるといった業界の再編、というより地殻変動となる可能性も充分にあるハズだ。

もしこの流れが本当だとすれば、逆に言えば新たな時代の黎明であるとも考えられる。
そうだとしたら、本来なら、無数のエンジン屋やコーチビルダーが存在した自動車黎明期のように、無数のバッテリーメーカーが生まれ、新たな産業革命となるハズだ。もう一つの重要部品であるモーターについても、とうに枯れた技術だと誰もが思っているだろうが、もしかしたら新たな時代が来るかも知れない。
そのような時代にあって、フツー、歴史的に見て、「このピンチをオールジャパンで」などという発想になるだろうか。
勝者総取り、四騎士が生殺与奪を握るIT界といえど、そもそもその技術はどこかの国がオールなんとかで作り上げたワケではおそらくないだろう。
本来であれば、日本にいくつものバッテリーメーカーが犇めくというのが技術的にも産業的にも理想であるハズだが、どうやら現在の日本の産業界ではとてもそういう発想にはならないようである(バッテリーの技術が如何に高度であるかなどということはおっさんには全く判らないが)。
つまりこのままでは世界に勝てないという日本人の技術力、というより技術に対する発想が既に終わっているのである(バッテリーの技術が如何に高度であるかなどということはおっさんには全く判らないが)。
これは日本の企業、大学、教育、社会、全てが組織の論理に収斂した結果だろう。若しくは、というよりそもそも日本が技術で世界をリードしてきたという認識すらも、戦後日本がたまたまそうなっただけ、ただの幻想に過ぎないと言ってもいいだろう。

おそらく日本では、自動車メーカー自身が(もちろん既存の電機産業を巻き込んで)バッテリーの開発に最大限注力することになるだろう。そしてトヨタがこのような発表をしたということはおそらくその枠組みの中で一定の勝負ができる、というより勝算があるというところまで来ていると考えるのがフツーだと思われる。
ただ、仮に日本の自動車メーカーがEV化において世界との勝負に勝ち残ったとしても、それは自動車メーカーにとっての勝利であって、日本の産業や雇用、労働者の賃金の勝算ということでは全く無い。
そもそも企業は雇用を守るために存在するのではない。企業の利益を追求するために存在するのである。企業にとって、労働者は企業の利益のために存在する。それは資本主義を標榜するからには当然のことであり、現在の資本主義社会は結果として成立しているに過ぎない。現在の日本の雇用と賃金がどうなったか、日本の電機産業を見れば判ることだ。つまり自動車産業もいずれそうなることが確定したと言っていいだろう。

80年代、少なくとも日本の政治家は、労働組合を潰すことに成功した。そしてそれ以降日本は賃金が低下し続けているが、日本の企業の内部留保、そして配当は増え続けているということであり、その原因が「生産性」の問題ではないことは明らかである。
そして組織の論理が社会の隅々まで行き渡った結果、単純な論理的思考力を捨てること、組織の論理に徹すること、組織の論理に選ばれた人間が社会を動かしていること、そうではない人間は社会の運営に参加できないこと、このことを大多数の人々が当然のこととして受け入れているのである。
そのような社会にあって、人々の意識を変えることによって社会を変えようなどという期待は全く無意味であり、歴史上もあり得ない。それが社会の法則であることはこの30年間を見るだけでも充分判る通りだ。
社会が変わるには、ひたすら落ちるところまで落ちるか、物理的に破壊される、つまり戦争か疫病しかないのだが、基本的には今後はそのようなことは起こらないハズだと考えるのがフツーだろう。つまり戦後のような時代は、日本人にはもはや半永久的に訪れることはない。

クルマの一つの時代が終わるとき、ようやくトヨタというメーカーの重要性を認識することができたように思う。
今ならまだ、トヨタが動けば日本が動く、そういう力、そして責任を持った企業だと思うことはできるという部分は確かにある。
ホンダが日本を捨てようとしているのも企業の選択肢としては正解だと思うが、トヨタの姿勢は、企業としては(少なくとも現時点では、あるいは少なくとも対外的には)、とりあえずは評価に値するだろう。

クルマの一つの時代が花開くとき、確かにホンダのようなメーカーは魅力的だった。
その花が枯れるのを見るのは寂しいものでしかないし、どうせなら美しいまま儚く散ったほうがいいとすら思わないでもない(というより手の届かない高嶺の花となり、自分は捨てられたという現実を認めることが哀れなおっさんには難しいというだけだ)。
F1のドライバーズチャンピオン獲得は、ネットや新聞等では一定のニュースになったようだが、テレビではほとんど取り上げられなかったようだ。
来年発売される新型ステップワゴンでは、現行型最大のウリだったワクワクゲートはどうやら廃止され、そして廃版となったオデッセイユーザーもカバーするため高級路線、相当強気の価格設定になるだろう。
おそらくは今、ホンダにとっていよいよ日本市場に別れを告げる時が来たのである。
日本のユーザーもまたホンダとは距離ができてしまったのだから、これはお互いのためなのだ。
あとのことはトヨタに任せて、自由に羽ばたくことこそがホンダらしさだと言っても何ら問題ないだろう。
我々が求めているのは、かつてのホンダのようなメーカーがクルマ界に現れることであって、ホンダがかつての姿に戻ることなどないことは判っている。
今、元ホンダ好きのおっさんの心に浮ぶ言葉はまさに「ありがとう」、そして「さようなら」である。
Posted at 2021/12/28 06:37:59 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ

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