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米連邦準備理事会の議長が上院で承認された。
弁護士出身のパウエル氏は財務次官、米投資会社カーライルGの共同経営者などを経て2012年5月からFRBの理事を務めてきた。

このパウエル氏、2月3日に1期4年の任期を終えるイエレン議長の後任として第16代議長に就任する。
引き継ぐ内容は金融危機から9年以上経て底堅さを増す米経済。
実質成長率は17年4〜6月期から3％を超え、失業率は4.1%の低水準。イエレン議長は景気回復への自信を深め政策金利の引き上げと保有資産の圧縮を「緩やかな」ペースで進めてきた。

パウエル氏も現行路線を踏襲するとみられる。
問題は上振れと下振れのリスクが見え隠れする事だ。

トランプ政権が10年間で1.5兆ドル【約165兆円】の大型減税に踏み切ったため、
予想以上の景気過熱や物価上昇を招きかねないとの声も出ている。

FRBは18年のシナリオとして3回の利上げを見込むが、引き締めペースを速めるのではないかと言う。
想定外の急激な利上げを追えば、株高に沸く世界経済への打撃は避けられない。

逆に物価や賃金が伸び悩み、引き締めペースを落とす可能性も残る。
個人的に市場は急な変化を嫌うと思う。


また空席の副議長や理事の顔ぶれにも注視する必要もある。
パウエル氏のような「非エコノミスト」が議長に就任するのは40年振り。
トランプ政権は金融政策に精通した2人目の副議長を送り込みたい考え。
理事ま含めた人選次第で利上げに慎重な「ハト派」と積極的な「タカ派」のバランスが変わり得る。

トランプ政権はFRB議長の色を「リベラル」から「保守」に塗り替える事に執着し、
低金利と緩い規制を期待してパウエル氏を指名。
政権に意のまま動くという印象を与えればFRBの独立性を保てなくなる。