ディサービスから帰ると敬語に

今日も穏やかな暖かい、春らしい日だった。

朝は認知症の母をディサービスに送り出すのに、本当に時間に追われる。
子供を学校に送り出すのと同じなのか。

着替えも食事もトイレもモタモタしてるから、いくらでも時間がかかる。

夕方、母がディサービスから帰ると、いつもと違って、私に敬語で話す。
職員と区別が付かないのか。帰宅した事を理解しないのか。

かつては、帰宅すると、「（自分の）家に帰らなあかん」と繰り返していた。
今はそれはないけど、それでも「お袋はどうした？2階で寝てるんか」をよく言う。もう40年前に死んでるのに。

その日、その時により、いつも出来てる事が出来なかったりする。
トイレの場所を聞いたり、雨戸が閉められなかったり。
テレビに対しても、いつも怒鳴ってるわけでもない。大人しく見てる事もある。
ただし、常に何か話しかけてる。そこに人がいると思ってるのは違いない。

ぼ～としてくれてるほうが、ずっと扱いやすいのだ。
今日は、母がディから帰る前に、ほとんどの夕食の支度を終えていた。

夕食は骨を取ってある薄塩仕立てのサバ。
冷凍物を解凍して、焼くだけ。
それとヒジキ入りの大豆の煮たもの。袋から出すだけ。
後はいつもの汁物。マイタケ、エノキ、ほうれん草、豆腐、卵1個。

このサバは母は1枚、私は2枚。3枚セットだから。
こういう魚は母はあまり食べたくない。
まず、皮を剥いて、そのまま皿を遠くへ押し出す。
それを「これを食べろ」と言って、母の目の前へと押し戻す。
その繰り返し。

夕食後、私はすぐに食器を洗う。それから、母の血圧を測定するのに、上に着てるものを片袖だけ脱がせる。これも一苦労。
モタモタして一向に脱ごうとしないので、つい大声を出す。
すると、母は「私一人が忙しいにしてるのに何や」
私が「オマエは何をしてると言うんや」と言ってやると、
母は「食事の支度も何もかも、私が一人でしてるんや。アンタは何～んもしてへんやろ」
開いた口が閉まらない。ともかく、いつもこの調子で、私が言いたいセリフを母が言う。