ドコモの携帯電話の2012年夏モデルから、従来型のケータイが姿を消し、全てスマートフォンになった。
スマートフォン(略してスマホ)に対して、従来型の携帯電話の事を、フィーチャーフォンとかガラケーとかiモード携帯とか呼ぶ。
新製品の発表、発売は年2回であるが、今後、従来型の携帯は年に1回とすると言ってるので、冬モデルには新たな機種が出るかもしれない。
ともかく、世の中は
スマホでなければ時代遅れのような様相である。
シニア向けのらくらくホンまでタッチパネルのスマホになった。
ところが、この
スマートフォンはカーナビとの相性がよろしくない。
カーナビにもいろいろあって、最近では安いPND(Personal Navigation Device)と呼ばれるポータブルタイプが増えてきたし、スマホ自体がカーナビにもなるので、従来型の高価なカーナビはその市場を奪われつつあるとも言われてる。
しかし、高価な最高級のカーナビも常に進化してる。
前にも紹介したカロッツェリアの
サイバーナビの最新機種になると、カメラで撮影した画像にルート案内を重なるだけで無く、フロントガラスごしにレーザーで投影した画像での案内もする。
しかも単なるルート案内だけでは無く、車線逸脱や前走車との車間距離、信号や速度標識なども画像認識して、ドライバーに注意を喚起する。
そんなカーナビと携帯電話の関わりは、まず
ハンズフリー通話が上げられる。
カーナビと携帯電話はBluetoothにより無線でリンクし、車側のマイクとスピーカーで、携帯電話に手を触れる事なく通話が出来る。
言うまでも無く、運転中に携帯電話を手にしての通話は交通違反であり、見つかれば警察に捕まるが、ハンズフリーでの運転中の通話は認められてるのである。
またカーナビが必要とする、渋滞情報や行き先に関する検索情報や観光情報などは、ネットに接続されなけばならず、携帯電話の
データ通信機能を利用してきた。
私は今だに従来型の携帯、ガラケーを愛用していて、
それも最新の機種(F-02D)に、この3月に変更してる。
私は元々、偏屈であるが、ガラケーを使うのは、
それなりの理由があるからだ。
なお、
ガラケーとは、ガラパゴス・ケータイの略称で、日本独自の仕様で発展してきた携帯電話を、世界から孤立して進化をとげたガラパゴス島の生物に例えて、そう呼ばれる。
私のそのガラケーを、車に持ち込んで、エンジンをかけると、たとえ携帯をバッグに入れたままでも、一切何の操作をする事も無く、自動的にカーナビとリンクし、渋滞情報をネットから取得し、ハンズフリーモードで待機する。
もし、運転中に電話がかかると、カーオーディオが自動的に消音し、携帯で設定した相手別の着信メロディが車側のスピーカーから流れ、カーナビの画面にも誰からの電話か表示されて、ハンドルにあるリモコンを押すと通話が出来る。
相手の声は車のスピーカーから、私の声はステアリング近くにあるカーナビのマイクが拾ってくれる。
電話をかける時も、携帯の電話帳をカーナビに転送してあるので、カーナビのマイクで、電話をかけたい相手まで音声指示出来る。
またCDをカーナビにセットすると、その音楽が再生されると共に、そのCDが初めてカーナビにセットされたものであるならば、自動的にカーナビのハードディスクに録音が開始される。
次回からはそのCDをセットしなくても、その音楽を聴く事が出来るのである。
CDにはその仕様上、曲名やアーチスト名が記録されてない。が、カーナビのハードディスクには予めその情報が入っていて、曲名などを表示してくれる。
しかし、新しいCDの場合はそうはいかず、ネットに接続して検索する必要がある。
その時も、携帯電話のデータ通信機能を利用する。
ところが、このような便利な機能が
スマートフォンにすると、うまく機能しないのだ。
まず、スマートフォンのBluetoothにはデータ通信のためのDUNプロファイルが無いのである。
Bluetoothはカーナビと携帯電話をワイヤレスでリンクさせるための近距離無線通信の規格の事である。
そのBluetoothのデータのやりとりの方法として、ハンズフリー通話を行うためのプロファイルHFPなどがある。
なぜか、
ガラケーのBluetoothにはDUNプロファイルがあるのに、
スマートフォンにはそれがない。
DUNはDial-Up Networking Profileで、Bluetoothを使って、インターネットに接続してデータ通信をする機能のこと。
おそらくテザリングとの関係と思われる。つまり、スマートフォンなどの携帯端末を利用して、パソコンなどをネットに接続する事を、最近になって通信会社が認めた経緯がある。
それも現在は、USBによるケーブル接続やWi-Fiによる方法で、Bluetoothによるテザリングはまだ認めていない?
このような事情のため、カーナビの
「携帯電話接続可否一覧表」において、例えば現行の
「最新カーナビにおける接続一覧表」でも、
スマートフォンのインターネット接続の項目は一様に×か-で、その理由として「データ通信機能がない」と書かれてる。
最新のカーナビでは、スマートフォンによるデータ通信を諦めて、データ通信モジュール(USB型データカード)を接続出来るようになっていて、
通信料3年分付きで同梱されてる機種もある。
しかし、出来ない事を可能にするのがソフトで、有料だったりするアプリのPadNetやCobaltBlueがBluetoothのDUNプロファイルの代わりをするようだ。
スマホでこれらのアプリを事前に立ち上げておくと、カーナビでデータ通信が出来る。
しかし、スマホの機種やカーナビの機種によりダメだったり、2回目以降の接続がダメだったり、CDのタイトルを取得するGracenoteに接続出来ないとかの不都合もあるらしい。
スマートフォンのBluetoothにDUNプロファイルが無いために、それをカーナビで利用しようとする多くのユーザーは苦労を強いられてきた。
ガラケーで当たり前に出来た事がスマホだと出来ないのである。
他にもスマートフォンは不都合がある。
先の
「携帯電話接続可否一覧表」においても書かれてるように、
電話帳が一括転送出来なかったり、読みが転送出来なかったりする。
この事は、携帯側で電話帳の追加をした場合、それを覚えておかないと、カーナビ側を一括で更新出来ないし、読みが転送出来なければ、カーナビへの音声指示で、相手を指定して電話をかける事も出来ないのだ。
さらに、電話がかかって来た場合、
着信音が1回しかならない。しかも確認音だけ
という不都合なスマホも多いようだ。
しかし、ドコモのこの夏モデルのスマートフォンのうち、
富士通の機種に一つの変化が見られる。
なぜか、
富士通のスマートフォンの新機種全てに、BluetoothのDUNプロファイルが搭載されたのである。
まだ、その製品の紹介ページの中に、さり気なく記述されてるだけで、特に目立ってセールスポイントとしてるわけでもない。これがミスプリントで無い事を願うのであるが。
これは大きな一歩の前進である。
ガラケーは前述のとおり、ガラパゴス・ケータイと、日本独自に進化して来た携帯電話を揶揄する、あるいは卑下した、悪しき呼び名であるが、
しかし、現在のスマートフォンは少しずつ、ガラケーのいい面を取り入れて来てるのである。
日本のそうしたスマホをガラスマなどと呼ぶらしい。
私がまだスマートフォンにしない、もう一つの理由は、
スマホでは2in1が使えないからである。
2in1は1台の携帯で、2つの電話番号とメールアドレスを使い分ける機能である。
これもスマホのアプリで、2in1の契約をそのままにして、Bナンバーで発信する機能だけは実現出来るらしい。
が、A、Bいずれの番号からかかってきたかはわからないらしい。
ガラケーの2in1は、Aナンバーモード、Bナンバーモード、両方のデュアルモードと使い分け出来て、
例えばAナンバーモードでは、Bナンバーへの着信や電話帳そのものを隠す事も出来る。
つまり、完全に異なる2つの携帯電話として、使い分けが出来るのである。
電話帳そのものにAナンバーで発信するか、Bナンバーで発信するか登録しておけるので、間違ってかけてしまう事もない。
1台の携帯で、仕事用とプライベート用を使い分ける事も出来るのである。
もっとも、これを浮気用のステルス・ケータイとして利用する人も多いらしいが。
我々、車好きは、
車を中心に考えるけど、今時の若い人達の中には、スマホには関心があっても、車に関心がないか、所有すらしてない人も多いようだ。
私も本当は早くスマホにしたい。しかし、それによって、車との関係が不便になるのは許せないのである。
そして、スマホの事を「多機能携帯」なんて言うけど、ガラケーだってほとんどの事は出来る。
むしろ、スマホに出来ない事のほうが多いとも言える。
私の現在のガラケーF-02Dは、タッチパネルで使えるし、Wi-Fiでネットにつなぐ事も出来るし、スマートブラウザでPCサイトも見れる。
カメラの画素数は1630万画素で、最新の夏モデルのスマホ(まだ発売されてない)F-10Dの1310万画素より上だし、3Dでの表示や撮影も出来る。
現行のスマホ(F-05D)に無い指紋センサーや温湿度計も備えてる。
ガラケーが決して時代遅れではないのである。