
3月14日(木)
山桜の盆栽の植え替えをした。
冬の芽が膨らみ、先に緑色がさして来たので。
新芽が展開し、新葉が出て来る頃になると、水揚げも多くなるので、そんな時に根を切るのはよくない。
最初の画像は植え替え後の姿。
この山桜も、私が子供の頃に、空き地に生えてた苗を持ち帰って38年目になる。
モミジと同じ年数、手元にあるが、幹の太りは少ない。
桜は根の伸びが大変早く、鉢植えでは毎年、植え替えて、根を切り詰め、用土を更新しなければならない。
植え替えた年の秋には、もう根が充満し、水の通りが悪くなってしまうのだ。
昨年から今年にかけての冬の間は、この木もずっと室内に置いていた。
毎年、モミジは凍て込みにより枝枯れが多数発生したが、今年はそれが一切無い。
ところが、
この山桜には幾つかの枝枯れが発生してる。
それは秋から鉢内に根が充満して水の通りが悪くなった事による「水切れ」が原因ではないかと思われる。つまり、冬を迎える前に、枝が衰弱してしまっていたのだろう。
そんな事もあって、この山桜はともかく毎年の植え替えが欠かせないのだ。
以下は植え替え前の土表面の状態。根が充満して盛り上がってる。水の通りを得るために、多数の穴を開けた跡がある。
以下は鉢から抜いた状態。この山桜も簡単には鉢から抜けない。周囲をカマやレーキで掘って、ようやく抜ける。
側面から外にかけての根の回り。白い根は最近になって伸びた部分。地上部の芽が動く前に、根は伸びてるのだ。
根を解す前に、先に鉢を洗って、穴を網でふさいだり、固定用の針金を通しておくなどの準備をしておく。

底の網は必ず針金で固定する。土を突き入れたりしてる時に網がズレたら、最初からやり直しなる。
底にはゴロ土と呼ぶ、粗い粒子の用土を敷いておく。

鉢底には水が滞留するので、水はけをよくしておく必要がある。
このゴロ土は5mmのフルイに残った赤玉土、桐生砂、富士砂を、2:1:1位の比率に混ぜたものに、炭も混ぜてる。
炭は用土の酸性化の防止と、内部に微細な無数の空間があり、有効な土中微生物(細菌など)の繁殖場となる。
用土(植土)を中央が高くなるように敷いておく。
これは木を据え付ける直前に高さを調整するのに入れ直す。
土の配合は赤玉土、桐生砂、朝明砂、日向砂(軽石)を、6:2:1:1 位に混ぜたものに、炭を加えてる。
その粒子は1.5~5mmで、それぞれの目のフルイにかけてあり、粉状の微塵は必ず抜いておく。
根をさばいていく。根本周辺は曲付きピンセットの先で丁寧に、周囲は1本爪、ないしは2本爪のレーキで大胆に掻いて行く。

幹の根本付近から出てる根は、それ自体が鑑賞対象となる大事な根張りなので、またその候補となる根も含め、傷付けないように気をつけなければならない。
周辺の根は切り詰めて捨てるので、大胆に掻いてもよい。
ある程度、周辺の根がさばけたら、底面の根を掻いていく。
ほぐした根を剪定した後。正面側。根本付近の泥をシャワーの水で洗い流してる。

実際の作業は、根をある程度、ほぐしたら、根を切り詰める。そしてさらに根をほぐして、また切り詰めるという繰り返しを行う事もある。
同じく、根の剪定後の裏面側。

長年、こうした根の剪定を繰り返してるので、
根本が座になっていて、これ以上の切り詰めは出来ない。
周囲には水分や養分を吸う活動根を残さなければならないから。
根の剪定後の底面。

底も周囲も、根の断面がわかる程度の太さの根には、その切断面に
トップジンMペーストを塗っておく。
それはオレンジ色をしてる殺菌剤。
桜などのバラ科は、傷付いた根に「根頭がん腫病」が発生するので、それを防止する意味で。
「根頭がん腫病」は根が異常な細胞分裂をして団子状になり、根本来の機能が無くなる病気。
先に準備してある元の鉢に木を据える。
この時、高さを底に敷く土の量で調整する。そして、鉢の中の位置や木の左右の向きなど確認し、針金で固定する。
以下は裏面。

こうしてみると、
鉢との周囲の間隔があまりない。
先に書いたように、根はこれ以上、切り詰められない。かといって、さらに大きな鉢では、幹の太さや高さから、バランスを欠く。
用土を入れていき、箸で突き込む。
この時、先に鉢の準備で敷いたのと同じ配合済みの用土に、さらにバーミキュライトを追加した。
フルイにかけて、粉状のものを抜いてから、適当に混ぜた。
これは山桜の根の回りが早く、水を欲しがる性質から、用土の水持ちをよくする意味で。
バーミキュライトは焼いて人工的に作られた用土で、粒子の中に空間が多く、そこに多くの水分が入り保水性が高い。
鉢に用土を入れたら、側面を手で叩いて、振動を与えて用土を落ち着かせる。
表面をハケでならしてから、化粧土を敷いて、さらにハケでならす。

化粧土は赤玉土と富士砂を1:1で配合した1.5~2mmの小粒の粒子である。
化粧土はその名のとおり、見た目を落ち着かせる意味もあるが、これが無く、表面の土の粒子が粗いと、表面がやたら乾いて、不必要に潅水が多くなってしまう。
ここに粒の粒子の用土を敷いて、落ち着かせるのと、表面に蓋をするような感じで、水分の蒸散を抑制する意味もある。
また、配合の色合いから、乾き具合がわかりやすくもなる。
それからホースの先にシャワーヘッドをつけたもので、たっぷりと潅水。鉢底から茶色の水が出なくなるのを目安に。
その後、
HB-101の1000倍液をじょうろで潅水し直して、終了。
一番最初の画像がその植え替え後の姿。
今回の植え替えでも、先のモミジと同様に、正面側の下枝の大事な芽を引っ掛けて折ってしまった。
夕方5時前になり、認知症の母がディサービスから帰宅するので、かなり焦った。
なんとか母の帰宅前に植え替えは完了した。
帰宅した母に手洗いさせて、服を普段着に着替えさせ、テレビを見させておいて、植え替えの後片付けをした。
今回、切除した根は以下のとおり。