
昨夜10月13日のNHK「クローズアップ現代」は
「避難の情報が伝わらない 検証 台風12、15号」でした
大津波や記録的豪雨。大災害の危険が地域に迫ってる事をいかに迅速に対象地域の住民に伝え、人々の安全を確保していくのか。
各市町村のトップは災害の危険性が高まった時、「災害対策基本法」にもとづいて、避難勧告(できるだけ早く避難を)や避難指示を(ただちに避難を)住民に出さなくてはいけない事になってます。
台風12号、15号による大きな被害が出ましたが、市町村が避難勧告や指示を出しても、住民にそれが伝わらない地域が多かった事がわかってきました。
台風12号で63人の死者が出た紀伊半島では、避難勧告や指示が出なかったり、出ていても伝わらなかったり、遅かったりして、逃げる猶予が無かった地域に死者が集中してます。
台風15号の直撃を受けた名古屋市は109万人に避難勧告を出しました。
住民への伝達手段は、防災無線(同報無線)によるスピーカー、ホームページ、地域住民代表による連絡網、そして、
名古屋市が最も有力な手段として期待してたのが「エリアメール」です。
名古屋市を流れる庄内川沿いの新興住宅地である守山区の下志段味地区は9月20日の豪雨で最も被害が大きかった地域の一つです。
庄内川が氾濫し、1階が水没する建物が続出しました。事前に避難勧告が出されてましたが、多くの人が逃げ遅れ、130人がボートで救出される事態となりました。
名古屋市は2000年の東海豪雨の教訓から、川の水位や雨量などで、予め地区ごとに基準を定めていたので、次々と避難勧告を出して行き、109万人がその対象となりました。
しかし、その情報は住民に十分伝わっていなかったのです。
情報伝達手段の一つ「同報無線」は対象地域のスピーカーを一斉に鳴らします。名古屋市は東海豪雨の後、新たに170箇所にスピーカーを設置してきました。
しかし、その音は雨にかき消されてました。下志段味地区でのNHKのアンケート調査では、130人中、スピーカーの音が聞き取れたという人はゼロでした。
地区を回って避難を呼びかける広報車の音声は、それが認識出来た人は、車が通った道沿いに限られ、広報車に気付かなかったか、気付いても何を言ってるのか聞き取れなかったという人が多数を占めました。
地域の住民の代表に連絡網を作ってもらってましたが、これも仕事などで不在の人が多く、機能しませんでした。
「エリアメール」は名古屋市が6月に導入したばかりのサービスです。
NTTドコモのその地域にいる携帯に一斉に伝えられます。対応する携帯を持ってれば、誰でも自動的に受信できます。
避難勧告をどのよう知ったかというNHKのアンケート調査では(複数回答可)
エリアメール..........27%
広報車 .............21%
知人などからの連絡 ....18%
学校・幼稚園からの連絡..15%
なんとエリアメールが3割を占めます。
ただ、その文面で、対象地域が「守山区の一部地域」とか書かれていて、自分の家がそれに該当するのか、判断に困ったという住民の男性。
メールには「詳しくは名古屋市の公式サイトをご覧ください」とありましたが、アクセスが集中して、見る事も出来なかったのです。
結局、その男性は家に水が迫って来たのを見て、避難を決断しましたが、道路は既に腰の高さまで冠水してました。
名古屋市では、エリアメールに対象の地域を小学校の校区単位で列挙するなど、わかりやすい表現を検討してます。
番組では、エリアメールを受信した携帯の画面が何度も映し出されてました。
いわゆるガラケーの携帯です。スマートフォンの多くは対応してないのでしょう。
ドコモのサイトでは、現時点で最新の夏モデル6機種のみの対応となってます。
それ以前のスマホも、OSの更新で対応させるとか聞いてましたが、どうなってるのでしょうか。
マスコミを含め、今の世の中、スマホでなければ時代遅れのような事を叫んでますが、このように重要なサービスを継承してから、スマホを勧めるべきではないでしょうか。
エリアメールは、ドコモの従来の携帯の多くが受信可能なのですから。
10月2日に放送されたNHKスペシャル・巨大津波「その時ひとはどう動いたか」でも、津波で6人に1人の700人が犠牲になった宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区の住民への大規模な聞き取り調査から、地震の発生後、住民は避難するどころか、部屋の片付けなどをしていた事が明らかになりました。
そして1時間10分後に到達した津波にのまれたのです。
地震直後に停電がおき、テレビなどから情報を入手出来なかった事が大きな理由ですが、この時にもし、「エリアメール」による避難勧告があればと悔やまれます。
この大震災の時点で、宮城県で唯一「エリアメール」を導入済みだった気仙沼市では、携帯の基地局などは震災直後もバッテリーで機能していたものの、市役所が停電で情報を発信出来なかったそうです。
和歌山県のように、自家発電装置を備えて、24時間体制で「エリアメール」の発信準備をしておくべきでしょう。
この震災後、エリアメールを導入する自治体が一気に増えてきてるそうです。
Posted at 2011/10/14 21:52:16 | |
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