かっぽちゃんのブログ一覧

昼下がりの阿蘇外輪山を分厚い雲が覆い隠し始めた。
ＧＴ－Ｒのメーターパネルの中で、いつの間にか外気温マイナス2度との警告灯がオレンジ色の光を鈍く放っている。





俺は、駐車場にＲを滑り込ませると、無意識に鋭くなる眼光を敵に悟られないようレイバンを手に取った。獣の気配を押し殺し、助手席の女の肩を抱きかかえて足早にカウンターに向かう。


そこには手持ち無沙汰を隠そうともしない老女がひとり座っていた。
俺はコートの襟で口元を隠しながら、押し殺した声で聞いた。

「部屋は空いているか？」

（3秒間、時間停止）

「・・・え？」

「部屋は空いているかと聞いてるんだ。早くしろ。」

「え・・・？　早グソがなんだって？」


「チッ、もういい！おい、空いている部屋で今夜の計画を練るぞ。」
俺は荒々しく女の手を取った。
剛腕に引っ張られた女の上体を追いかけるように、長い髪がフワッと宙に舞った。

運よく部屋は空いていた。

↓こ～んな素敵な部屋です♪






中略（気持ちよい温泉で体の芯まで温まった我々は阿蘇山上へと向かいました。）




↑きれいでしょ？





高度が上がるにつれ、景色が刻々と変わっていく。
いつの間にか周りは白銀の世界へと変貌を遂げていた。
路面では吹き飛ばされた雪が煙となって渦状に舞っている。
４駆とは言え、ＧＴ－Rのパワーはミューの低いアイスバーンでは強大過ぎた。
時折、バキッと路上の氷を踏み割る音とショックがステアリングに不気味に伝わってくる。

女の色白の顔色がさらに白んでいる。唇が小刻みに震えているのがわかる。
それはそうだ。ひとつまちがえば、ＧＴ－Ｒもろとも数百メートル下の谷底に転げ落ちることになるのだから・・・。



↑樹氷がきれいです♪



俺は女を落ち着かせるよう、ゆっくりと口を開いた。
「心配するな、お前を死なせはしない。俺を信じろ！」
「ダメ！お願い、アクセルを緩めて！」
渾身の叫びが、悲痛に車内に響いた。
「だめだ！敵に捕まりたいのか？行くぞ、つかまってろ！！！」

ギャギャギャ～～～～ン！！！！！！

「キャーァァァァァァァ・・・・・・・・・。」

そのときスピードメーターは20ｋｍ/ｈを指していた・・・。

横を悠然とパジェロ・ミニが抜いていくのであった（汗）