レヴォーグ試乗記【2.0GT-Sと1.6GTの乗り較べ】

先日、近所の巨大スバルディーラーにて新型レヴォーグを試乗させて貰いました♪

Dで営業マンに出迎えられ、レヴォーグ試乗の意思を伝えると、『ご希望のグレードはございますか？』と聞かれたので・・・

『１．６と２．０の両方を乗り較べさせて貰えますか？』と遠慮なく言ってしまいました（笑）。



という訳で、最新の１．６リッター水平対向４気筒ターボエンジン（レギュラーガソリン仕様！）と、３００馬力の怪力２リッターターボの試乗比較をレポートします♪

エンジンの違いだけでなく、１．６が１７インチホイール仕様の『GT』で、２．０がビルシュタインダンパーに１８インチホイールを履く『GT-Sアイサイト』でしたので、足回りの比較も出来ました！



まずはスペックの低い方から、ということで画像の『１．６GT』のステアリングを握りました。

ミッションは１．６でも２．０でもＣＶＴのみです。

ホイールは１７インチで、タイヤはダンロップのスポーツＭＡＸＸ・２１５/５０を履いていました。


運転席に乗り込むと、スバルらしからぬ（笑）洗練されたインテリアデザインにまず目を奪われました！



エクステリアデザインは、相当前から見慣れていましたし、レガシィの流れを汲むスバルらしいデザインで特に目新しさや”洗練されたな”という印象はありませんでした。

しかし、インテリアデザインは違います。

ＢＰ／ＢＬレガシィの代でも相当コストを掛けて内装の質感がＵＰしましたが、レヴォーグは質感も高いだけでなくデザインがまたスバルらしからぬ（失礼）センスの良さで驚きました！

ダッシュボードの奥にあるディスプレイモニターには【ブースト圧・油温・アクセル開度％】が３連で表示されていたりして、走り好きの心をくすぐります♪



試乗コースは地元の走り慣れた、複合コーナーあり、勾配ありの素晴らしいコースでしたが、まずコースに出る前に信号待ちでアイドリングストップが作動！！

アイドリングストップしてもエアコンがちゃんと作動しており感動しました！！


もうここまでで充分レヴォーグの素晴らしさに感動しまくっています（笑）。


コースに出てエンジンの実用回転域でのフィーリングを試してみると、アクセルペダルの軽い踏み込み対し、即座に盛り上がるターボトルクが、ＮＡでいうと３リッター級の加速に感じられました♪

ターボラグと呼べるようなモタつきは無いものの、ブーストが立ち上がった瞬間に急に盛り上がるパワー感が『ターボ車だな』と感じさせます。


そして、赤信号で停まるとタコメーターの針がストンと”０”に落ちてアイドリングストップします。
でもエアコンは効いています♪

エンジン始動も一瞬で元々静かなので、タコメーターの動きがエンジンのＯＮ／ＯＦＦを知らせてくれます。

実用回転域のパワー感としては、シングルターボになったＢＰ／ＢＬレガシィのターボ・ＡＴ車と遜色ありません。

ＢＥ／ＢＨレガシィまでの、２ステージツインターボのプライマリータービンが仕事をし始めるまでの明確なターボラグがある低回転域とは、全くの別次元のフィーリングです♪



このパワーのターボエンジンで、レギュラーガソリン仕様でアイドリングストップまでする・・・

技術の進歩は凄まじいな、と思いました。



１７インチのダンロップを履く標準ダンパーの『ＧＴ』グレードの足回りは、一言で言うと【懐かしい感じ】でした。

どういう意味かというと、ＢＨまでのレガシィ・２リッターターボ車の”非ビルシュタインダンパー車”である『ＧＴ』グレードは、凄まじいパワーに見合わないような柔らめの足回りが、ある意味特徴でしたが、この『レヴォーグ１．６ＧＴ』も同じテイストだったのです♪
（ＢＰ／ＢＬレガシィはＧＴでも標準でビルシュタインでした）


ＢＧとＢＨレガシィで２台『ＧＴ』に乗っていた私には、とても懐かしい乗り味に感じられました。

フラットな、突き上げの少ない乗り心地を好む方にはピッタリでしょう。

ドライブのモードを【ⅰ】から【Ｓ】に変更してみましたが、アクセルのレスポンスがやや早くなったかな？くらいで劇的な違いは感じませんでした。




『１．６ＧＴ』に相当満足した後で『２．０ＧＴ－Ｓアイサイト』に乗り換えました。



こちらは、最上位グレードだけあって装備も豪華です♪



ブルーのステッチが入ったハーフレザーシートも良い感じでしたが、シフトノブ周りやドアパネルの内張りにもブルーステッチの入った合成皮革が張られて、上級車種っぽさがありました♪



特に印象的だったのが、ステアリングのレザーの質感でした♪

まるでレクサス車のようなレザーの質感だったのです！

ツルッとしていて、しっとりサラサラしているような、高級感のあるレザーで巻かれたステアリングでした♪



シルバーカーボン調の化粧パネルは、質感は高いものの、レヴォーグの洗練されたインテリアには子供っぽい気がしてしまいました。


再び試乗コースに出ましたが、アイドリングストップはしません。

１８インチのブリヂストンＰＯＴＥＮＺＡ　ＲＥ０５０Ａを履くビルシュタインダンパーの足回りは、歴代の『ＧＴ－Ｂ』やＢＰ／ＢＬの『スペックＢ』の流れを汲む硬めの乗り味です♪

先程の『１．６ＧＴ』よりも明らかにロールを押さえ込んだセッティングです。

ですが、大きく進化しているのは、欧州車のように【ボディ全体が堅い】感じがすることです。ただ足回りが硬い、という乗り心地とは一線を画す、ガシッとした感じがレヴォーグから感じられました。

先程の『１．６ＧＴ』の試乗でも思いましたが、歴代レガシィの美点だった運転席からの視界の良さも、しっかりと受け継がれています。

とにかくＡピラーが細いこと！この細いピラーには剛性を確保するための独自の技術が注ぎ込まれているとの営業マンのお話で、２５年もの長きに渡ってステーションワゴンのトップブランドメーカーで在り続けられた富士重工の目に見えない地味な技術屋の努力の蓄積が、スバルファンの心を打ちます。


最新の３００馬力エンジンの印象ですが、タイヤが重い分もあるのか『１．６ＧＴ』よりも出だしでモタつく感じは確実にありました。

しかし、ブーストが掛かってからのパワーは数段上で、加速Ｇでシートに身体が押し付けられます！

さすがに公道試乗で３００馬力を味わえるには至りませんが、４０Ｎｍ級のトルク感は充分に体感できました♪


レヴォーグのターボエンジンを楽しめる理由の一つに、ＣＶＴの味付けが”ＣＶＴっぽくない”性格になっていることもあります。

普通の多段ＡＴのように、ダイレクトに変速していくような感じがあり、一般的なＣＶＴの”嫌～な感じ”がほとんど無い素晴らしいミッションだと思いました。


今回もドライブのモードを【ⅰ】から【Ｓ】に、更には【Ｓ♯】まで試してみましたが、やはりワインディングロードにでも行かないと真価は分からないようでした。



■総括しますと・・・

★１．６リッター水平対向４気筒ターボエンジンは、

●経済性（レギュラーガソリン仕様）
●環境性能（燃費・排ガス）
●先進性（アイドリングストップ・ダウンサイジングコンセプト）
●実用性（低速トルクとターボらしいパワー）

上記全てバランスした最新の素晴らしいエンジンだと思います。


★３００馬力の２．０リッター水平対向４気筒ターボエンジンは、

●いかにも”ターボ車”というパワーフィーリングを味わえる
●実用回転域でのレスポンス・フィーリングでは１．６の方がやや上
●公道で３００馬力を発揮するステージが限定される
●パワーがある方が楽しいことは間違いないが、味付けが古典的と思える
●当然ながらハイオク仕様で、アイドリングストップもしないので先進性が１．６に大きく劣る

ネガティブで申し訳ありませんが正直な感想でこう思います。
”レガシィの魅力は強力なターボパワーあればこそ”だと思う方には満足できると思います。


★『ＧＴ』と『ＧＴ－Ｓ』の比較では、

●ビルシュタインダンパー＆１８インチ仕様の『ＧＴ－Ｓ』の方が、欧州車のような洗練された乗り心地がより味わえる
●装備の差がかなり多い（シートやステアリング、合成皮革による架飾など）

どうせ車高調やＲＥＣＡＲＯシートに換装する、という方には『ＧＴ』で良いと思いますが、レヴォーグの高性能を普段使いで楽しみたい方には『ＧＴ－Ｓ』が良いと思います。



後席やラゲッジルームの広さなどは、言うまでもありません。
このサイズのワゴンでこの素晴らしいパッケージングは、老舗のノウハウがあるからこそ成せる技ですね。


★レヴォーグのラインナップに苦言を呈するとすれば、ＢＰ／ＢＬレガシィまでは存在した【２．０リッターＮＡ】に相当するグレード（価格）のモデルが無いことです。

本体価格２００万円ちょっとでシンメトリカルＡＷＤのセダン・ワゴンが買えた、【２．０リッターＮＡ】のレガシィは非常に魅力的でした。
雪国では特にそうではないでしょうか。

レヴォーグという名前に変えてＮＥＷモデルということではありますが、ＢＰ／ＢＬレガシィ並みのサイズに戻し、国内専用車として再び出直すというコンセプトであれば、エンジン出力を穏やかにして装備も最低限に省いた廉価版があっても良いのではないのでしょうか？


レヴォーグは、最低価格が高すぎるのが弱点だと思います。

もちろん、価格に見合った素晴らしいワゴンだとは思います。
アイサイトなどの安全装備・先進性も素晴らしいと思います。


売れて欲しいと心から願っています！

コアなファンだけでなく、より多くの日本人に愛されるクルマになりますように。