まぁ自分の車遍歴を語るには外したくても外せない車。
初愛車のこの車は、今でも本当に素晴らしかった。
良かったでは片づけられない、本当に素晴らしかった。
自分の中では、こんな車は二度と出てこない・・・とは言わないけれども、でも少なからず簡単に出てくる車ではないだろうと思う。
なぜここまでの車がこれほど人気が無いのか、と少し憤りを感じたほどだ。
まぁそんなん人の勝手じゃろがい、って言われたらそれで終わりなんだけれども。
少なくともこの車は今でも自分の心の中に残っている大切な車の一つだ。
自分はちょっと昔、FF車にはそれほどの付加価値は無いと決めつけていた所があった。
無駄に安定するだけで、速くも無いし曲がんないし、自分の車として持つならまずFFは無いだろと思っていた所があった。
そんなだけに最初この車を選んだ理由というのは、微妙で自分でもハッキリとはしていない。
でも、この時にベストモータリングのセリカを人並み以上に何度も見返していたのは覚えている。
それはFFが必ずしもスポーツを忘れた車でしかないというわけでは無い事や、車の根本的な原動や荷重運動のメカニズムもFFが強く生きている点だ。
それからはFFも悪くないんじゃないか、と思うようになってからその次に乗って楽しい車に乗りたいと思ったことだ。
ただ買おう当時はお金も限度があってかつ切羽詰った状態で、ほぼ即席で決定したような感じだっただけにいささか急いでた点は否定できない。
落ち着いてもう少し考えていたら、また違う車だったかもしれないが。
ただ買ったことに関しては悔いはない。
単純にカッコよかったしね。
中古店に行って、現物のセリカを見たときには、「あ、これは間違いなく買う」と思った。
変だけれどもセリカが自分にそう訴えかけている感じがしたのだ。
よくいろんな人が自分の愛車を買う時に現物を目にして、車がその人に訴えかける感覚がすると何度か聞いたことがある。
自分は最初は、なんだそりゃ、中二病かよ、とややバカにしていたのだが、その時になってようやくそういう人の気持ちが分かる。
車は人に訴えかけるのです。
TRDスポーツMっていうのもなんかレアな感じがして良いし、ドライビングシートに座った時の感動というのも忘れられない。
86で初めて車を運転した時と同じようなものだった。
セリカの良いのは語りだしたら尽くせない、キリが無い。
ただ一言で言うとセリカは、日常を尊重し、非日常も両立してくれる車だ。
普段から非日常を楽しみたいならスポーツカーなり、スーパーカーなりを乗ればいい話だ。
日常を優先したいなら、乗用車を買えばいい話だ。
この2つの良いとこ取りをしたのがこのセリカだった。
自分はまだ学生自分だから実家暮らしで親と一緒だ。
そのため利便性が無くてはならなかったのが車としての条件でもあった。
セリカはその点を上手い事クリアーしてくれたものだ。
走りはともかくとして、まず一つ目に驚いたのはトランク容量の広さだ。
後で調べたところ、365Lというからこれはそんじょそこらの5ナンバーコンパクトのハッチバックよりも広いで。
家族で一度泊まり旅行へ行った事があったが、必要なものの0から余計な100まで全てをぶち込んでもまだ少し余裕があるくらいだったのには驚きだ。
リアシート倒せばもっと入るとは聞いたけれど、物が極端に長いものでなければ倒す必要なんて更々ない。
そしてこのリアシート。
86で胡坐必須の苦い思いをしてから4人乗りクーペの狭さは危惧してたところがあったが、セリカは何のことも無い。
友達の中にはリアシートが良かったという奴もいるくらいだった。
もちろんもし体格の大きなやつが乗り込んだら・・・と考えると流石にというところはあったが。
走りに関して、これはもう言う事ナシだ。
セリカはスポーティー言えども、結局は分野的には走る為の類の車だ。
パッスーンと加速してカンカンカーンと曲がればスポーツな車に文句は無かろう。
ましてや自分の主戦場は都心。
田舎道のようにタイヤが道から外れるか、滅多に見られない動物の飛び出しに遭うかという話ではない。
峠のように事故るなら所詮自己責任な道とも訳が違う。
一つの車線でその先に繋がる道とその速さも違うし、選んだ車線と周囲に囲まれる状況次第で下手うったら自分がトバッチリを食らうかもしれない、そんな最中だ。
それでも自分はとにかく走りまくった。
毎日走った。
だから自分にはどうもそれが詰まらないのだ。
365日、雨の日も風の日も、とにかくひたすら都内を走って走って走りまくったのだ。
いつでもそんな中で、セリカは自分の手足となって一体となった走りをしてくれる。
セリカが当時出たカタログには"車との一体感"というキャッチフレーズが付いていた。
自分はカタログはあまり信じないタチで、所詮は商売文句、こんなん信じたって・・・と思っていた節があったが。
実際のセリカはその通りだった。
多分、その当時といいセリカ、あるいはトヨタのスポーツそのものが走りと人に対してまだ捨ててなかったのかもしれない。
ワインディング、これもまた絶大的だった。
自分は主には東京だから大垂水と、少し離れてもヤビツ峠が中心だったが、ちょっと攻めても安心して抜けられる走り、それが気持ち良かった。
日光に行った時、毎朝都内を走る時間に起きる自分はその時間に起きてはいろは坂に通った。
といってもお泊りの期間だけだが。
日光の時など、朝に走りまくって酔ってから、結局その後の観光は自分はグデングデンの状態だったということもあった。
そう、このセリカで困ったのは酔いだ。
FF車は酔いやすいのはあながち納得できた。
このセリカに一度滅多に車酔いしない人とドライブに行った時など、少しワインディングを抜けただけでゲロパーにさせてしまったことがある。
これは自分の運転に問題があるとも聞いたけれど、一度自分は後ろの席で運転を変わってワインディングを抜けてもらった時にも酔った。
FFとFRの感覚的違いに、FFは引っ張られる感触、FRは押される感覚だ。
これだけでも違いは確かだと思う。
だがこのセリカ、ただ走りや利便性だけが売りじゃない。
やはり奇抜な外見だ。
これはファッションセンスの一つでありし、若い連中にはめちゃんこウケた。
どんなにこのデザインセンスを嫌いたくても、結局の所若い分にはこれくらい奇抜なのがウケなんだ。
どんなにC-HRのデザインが見るに堪えられぬほど激ダサでそれを拡散したくとも、結局それを受け止めるのは一部に過ぎない。
ある意味それを学んだ場であったとも言える。
ネットメディアや空間情報によって拡散される世界と、現実は違うのだと。
それを教えたのがこのセリカだった。
毎回ドライブウェイで最後は井の頭通りからセンター街へと入る。
朝はまだしも昼夜は人でごった返している。
そんな中で何人に「かっこいい!」「すげー!」の言葉が耳にタコが出来るほど聞かされたことか。
ハロウィンの時など何度か本人のコスプレと一緒に写真を撮られたくらいだ。
是非とも撮った人に会ったら、一言言いたい。
"ナンバーは隠してね"と。
走る事だけにしか強い魅力が無いように思えるが、それは違う。
セリカは自分の"押入れ"だった。
押入れと言っても余計な荷物を入れるものじゃない。
自分は極端に余計な物を入れて100gでも重くなるのは嫌う。
だから極力トランクなどに入れるものも抑えていた。
ここで言う、押入れというのは個人空間の事だ。
子供などがよく自分の嫌なことなどでどうしようもなくなって、逃げたくなると押入れに体をひそめたりする。
セリカは自分にとってそんな空間でもあった。
何か嫌なことがあると駐車場に行き、セリカの車の中に乗る。
すると時を忘れてただ自分の時間、と言っても本当に頭の中が真っ白なだけでもその空間を過ごす。
ここで普通の押入れと違うのは、セリカの場合はそのまま自分の中で行き場を失えば、外の世界へ走り出すこともできるんだ。
それだけセリカへの愛車への愛情というのは違う。
そしてそれにいつも一緒だった。
そうなだけに去年のクリスマスイブは悔やんでも悔やみきれない。
自分は事故るなら都内を走っているうちいずれか、あるいは峠を走っている最中にかと思っていた。
でもまさか、地元の道で事故るとは思わなかった。
直進道の横っ腹をデッカイベンツにどつかれた。
事故って、現場検証などをして、終えても自分には実感が無かった。
初めてその実感を得たのは、廃車が決まって車に残りの私物を取りに行く時だった。
その日に残っていた私物と、買った時から付いていたものの中で取り外せる物全てを取り外して帰り際、一度振り返った時に胸が締め付けられるような悲しさがあった。
その時自分は、次の車はどうしようかと考えていた。
だがいろんな人の話やおすすめを聞いて、どう考えても結局はこのセリカに戻ってくるのだ。
もはや病気です(爆
でもそれだけセリカへの車愛は強かったんだと思う。
ただこのセリカで一時は、乗ったことも無いのに無意味にターボ嫌いになったこともある。
だがそれはS660の試乗で一気に晴れたが(なんじゃそりゃw
自分はセリカで十分NAは楽しんだから、今度はターボにしようとも思っている。
なにはともあれこの車は良い車だってこと。
それは言っておきたい。
これからセリカに乗る人、いるかもしれない。
他のうんじゃかんじゃ言うのはほっときゃいい。
所詮連中は、ゲームしながらカタログ片手にシコシコしてるしか能のない奴等だ。
ちょっと酷いな、半分冗談だ。
でも自分で好きだと思ったら、それでいいではないか。
でもセリカはNAマシンとしては極めればかなりいくよ。
乗ってた自分が言うんだから、間違いはない。
セリカは86と同じ、弄ってナンボな世界だと思う。
だから思い切って自分色に染めるのもいいかもしれない。
フィーリング志向とは言うけれど、バカにも出来ないのは事実だ。
こんな事言ったらどっかが騒ぎ始めるかもしれないのを覚悟で言うが、セリカなら下手にエンジンや排気弄らなくてもECU書き換えとローギアにすれば、Type Rと互角な勝負は出来るよ。(ホントかよw)
文句があったら400年後に言ってくれ。(は?

子供受けも良かったセリカたん、本当ありがとう。この思い出は一生ものです。