「スワン」

巨大ショッピングモール「スワン」で起きた無差別銃撃事件。死者21名を出した悲劇の渦中で、高校生のいずみは犯人と接しながら生き延びた。しかし、同じく事件に遭遇した同級生・小梢により、次に誰を殺すか、いずみの指名によって犯行が行われたという事実が週刊誌で暴露される。被害者から一転、非難の的となったいずみ。そんななか、彼女のもとに招待状が届く。集められたのは事件に巻き込まれ、生き残った5人の関係者。目的は事件の中のひとつの「死」の真相をあきらかにすること。その日、本当に起こったこととはなんだったのか?


テロによる大量殺戮に巻き込まれるところから始まって、日常に散りばめられている悪意の渦の中をもがき苦しみ、最後は「スワン」として罪を書き換え塗り替えるたくましいJKのオハナシ。

チャイコフスキーの白鳥の湖がオリジナルと違うラストに書き換えられているというトリビアと上手くリンクさせて読者を引き込む技量は素晴らしいけど、あまりにも作り物感が強い・・・か。

子供が撃たれるのが先か後かってところの説明がかなりわかりにくいし。
直木賞獲るのはなかなか難しいけど、「バッドビート」の軽薄さとは違う、呉勝浩さんの意欲作ではありました。