「キツネ目 グリコ森永事件全真相」

147通にも及ぶ膨大な脅迫状、600点以上の遺留品、さらには目撃、尾行までされながら、ついに時効の彼方へと逃げ込んだ「グリコ森永事件」犯人グループ。
その中心人物、かつ司令塔となったのが、「キツネ目の男」だった。
グリコの江崎勝久社長を自宅から拉致して監禁、身代金を要求するという「実力行使」から、青酸入りの菓子と脅迫状の組み合わせによって裏取引し、企業からカネを奪おうとする「知能犯罪」、そしてメディアや世論を巻き込んだ劇場型のパフォーマンスまで、日本の犯罪史上に残る空前絶後の事件だ。
しかし、犯人グループは、その「痕跡」を消しきれていなかった。
当時、第一線で捜査にあたった刑事、捜査指揮した警察幹部、犯人グループと直接言葉を交わした被害者、脅迫状の的になった企業幹部など、徹底した取材で事件の真相をえぐり出す。
「少なくとも6人いた」という犯人グループの、役割分担、構成にまで迫る!
「キツネ目と仲間たち」の全貌が、闇の向こうから浮かび上がる――。



当時ある警察幹部が「あいつら人を殺しはしない。時効になったら一度対談してみたいくらいや。」的な発言したとありましたが、絶好のチャンスを取り逃がした滋賀県警本部長が焼身自殺してたんですね。組織としての緩みが招いた敗北であったことを丹念な取材で証明しながら、批判だけではなくこの事件の反省に則って操作手法が改善されたということもきちんと記しているところは物書きの良心が滲んでました。

裏取引を認めたロッテ以外にも疑わしい食品メーカーが多数あったことなど、ずいぶん昔の事件なんで忘れていたことがたくさんあり大変興味深くイッキ読みでした。


今も普通に生きてるであろう犯人グループ、特に声を使われた子供がどうなってるのか、そこがやはり気になりますなあ。
「罪の声」から続けて読めばよかったです。