Grande Violaのブログ一覧

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに…。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた「タウトの椅子」を除けば…。このY邸でいったい何が起きたのか?


バブルに敗れやっつけ仕事をこなすだけになっていた建築士が不思議な依頼を受けたことからブルーノ・タウトの椅子に絡む自らの出自の秘密にたどり着くという重厚かつ温かいミステリー。

人生のすれ違いとか人への思いやりとか、なんか重いんだけど登場人物が基本的に皆悪人ではないところにホッとさせられました。

建築関係の仕事している方には大いに刺さるんじゃないでしょうか。
良い仕事だなあ。