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2007年11月29日

ストリートVerとサーキットVerのサスペンションの違いその1

ストリートVerとサーキットVerのサスペンションの違いその1 さてお待たせいたしました
ストリートVerとサーキットVerの違いは何か?
これは他社の車高調キットと当社キットが何処が違うの?と言う質問と
似ているのです。
例えばバネレートが違うというのもそうですし、
減衰力設定が違うと言うのも一つです
一般のユーザーさんはバネレート等の表面的な情報で脚の良し悪しを
判断しがちですがので、他社と同じばねレートなら価格の安い方が
良いんでは?と思うのも事実です
私も正直思います
同じ性能なら安い方が良いに決まってます
でも実際は目に見えないレベルなど色んな処に違いがあります

その一つが減衰力の特性なのです

わかり易く図を掲載しました

この写真の減衰力のグラフは当社から先日発売したMINI用オリジナル
アアゴスタと現在開発・テスト中のサーキットVerの減衰力を比較
したものです

減衰力とはショックアブソーバーの衝撃の吸収出来る強さの事です
路面からの入力やスポーツ走行時の荷重をコントロールするものです
この減衰力は固すぎても駄目で、柔らかすぎても駄目です
タイヤと路面の摩擦係数とのバランスを取る必要があります
具体的な例で言うと
普通の消しゴムを用意してください
この消しゴムをタイヤと考えて下さい
この消しゴムを机に押し当てて力を加えて行くと、ある一定以上の
力を加えるとツルっと滑ってしまいますよね。
滑ってしまった時が所謂消しゴムのグリップ限界であり
この加えた力が、コーナリングやブレーキング時の最大荷重だと考えてください
これらの荷重の強さは車速と質量(車重)によって決まってきますので
タイヤがラジアルとハイグリップタイヤで比較しても同じ速度で
コーナーを曲がろうとすればタイヤのグリップ限界を超えれば
どちらにしても滑ってしまいますから、タイヤのグリップレベルの差というのは
元々のタイヤの限界の数%レベルであって、サスペンションを変えたからと
いってコーナーを倍のスピードで走れるようになる訳ではありません
あくまでもサスペンションを変えても物理的限界は変わりません
物理的限界が変わらないからこそ、ノーマルショックと社外ショックを
比べてプロドライバーが乗れば、ノーマルでも限界を引き出して走る
事が出来ますので、素人がどんなに良い脚を組んでも負ける事があるのです

では何の為に社外ショックに変えるのか?
また、なぜ?社外ショックに変えると速く走れる様になるのか?

こう言った疑問が湧いて当たり前ですし、「BMWの脚は良く出来ているから
ノーマルでも速く走れるよ」と言う貴方は相当な乗り手のはず
でも私を含めて殆どの方はノーマルでは速く走らせる事が出来ません
それはなぜか?

まず「消しゴム」と「力を加える手」の間にダンパーを付けたと
仮定して考えてください
同じ力で押すとしても、直接伝えるのではなく間にダンパーを
入れる事で、加えた力をダンパーの力でコントロールしてやる事が出来ます
急激に荷重を掛けるとすぐ滑りますが、ジワーっと荷重を掛けてやる事で
意外にも結構踏ん張ります
この消しゴムと力の入力の間にかませたダンパーが
押しつける力に対して硬すぎる(なかなか縮まない)と吸収しきれず
滑ってしまいます
逆に柔らかすぎる(縮みすぎてしまう)と同じように吸収しきれず
滑ってしまいます
この滑った時に消しゴムに伝えた力は同じ筈なのです
これは所謂物理的限界というものです
丁度、綱引きの要領と同じでどちらかが強すぎるとどちらかが負けてしまいます

ダンパーというのはその限界点までの過程をコントロールするものです
同じコーナーを同じスピードで曲がろうとする事はある程度誰でも
出来るでしょ?
同じスピードで同じRのコーナーを走れば当然同じ物理的な限界があるわけです
ただ、同じスピードで同じRのコーナーに進入しても、車の場合乗り手に
よって第三の要素が加わってしまいます
ステアリングを切る角度、ブレーキでフロントに荷重を掛けるタイミング
コーナーを抜けるライン、これらは乗り手によって変動的な要素です
すなわち、この第三の要素による同じ荷重をタイヤに掛けた時の荷重の
吸収のしかたが、問題なのです

消しゴムと同じで、急激にハンドルを切ったりして荷重を掛ければ
グリップを失います。
そこでこの荷重をジワーっとタイヤの限界点までダンパーがコントロール
してくれる事で、タイヤの物理的限界まで使い切る事が出来るのです

ノーマルショックと言うのは装着するタイヤを予め決めて作っています
また、誰もが扱える様に、さらに乗り心地や、走行安定性などアリと
あらゆる要素を含めて作ってあります
限界を高め過ぎると言う事はよっぽどのスポーツカーでない限りは
あくまでも一般公道での使用を想定している以上はしてません。
50kmでグリップを失うよりも60kmでグリップを失った時の方が
危ないですよね。質量は速度に応じて自乗式に膨れ上がりますから
ある程度のところで意図的に限界を落とすことで免許取り立ての
ドライバーでも走れる様にしていると言う事ですね
荷重移動もしやすく、タイヤの限界も解り易くメーカー純正というのは
本当によく出来ていると言えると思います
ただこのノーマルショックの場合は、乗り心地や全世界の何処を走っても
ある程度大丈夫というのが前提のものですので、自分自身の使用目的と
照らし合わせて考えると無駄な部分が多いのです
「柔らかすぎる・ロールしすぎる」
これはスポーツ走行する上で多くのドライバーさんは恐怖感につながって
しまい、結果アクセルを緩めてしまいます
車高を落としたり、サスペンションを固める事でこれらの不安要素が
軽減されて車とタイヤ本来の限界まで走らせる事が出来る様になるのですね
だから硬いバネを組んでロールしなくなったから速く走れる様に
なったというのは半分正解で半分間違いです
車高が低くなり重心が低くなればコーナーを速く駆け抜けられる
要素にはなりますが、それだけでは駄目です
そこの速くなったコーナリングの荷重を受け止められるダンパーが必要です
殆どの場合ロールしなくなった事で不安感が減り、いつもよりもアクセルを
踏んでいるから速くなるだけです
実際には柔らかい脚でも気合で走らせれば殆ど車速は変わりません


ノーマルはあくまでもノーマルタイヤ装着を前提にしていますから
これをハイグリップタイヤに交換してしまうと、ダンパーが入力を
受け止めきれず先ほど消しゴムの例で挙げたように限界を超えやすく
なってしまいます
ですのでタイヤを変える場合はそのタイヤの特性に見合ったショック
が必要になってきます
とは言ってもスポーツ走行好きの殆どの方は、純正タイヤのみの使用ではなく、
ハイグリップタイヤに変えたり、また戻したりとしますよね。
(最近の純正タイヤはRFT主流で高いので余計ですよね)
タイヤには、タイヤの特性がありそのタイヤの特性に合ったダンパーの特性を
与えてやる事でタイヤの限界まで引き出すことが出来るのですから
そのつど減衰力を調整してやらなければなりません。
さらにドライバーの乗り方や、コーナーのRやチューニングレベルに合わせた
車速の違いなどの変動的要素に合わせてもダンパー特性は変わってきます
そう言った意味でショックアブソーバーは調整式のものが必要なのです


さて長々と書いてしまいました・・・理論はさて置き

実際のモデルを見て行きましょう
先日リリースしたMINIストリートVerは
純正タイヤ+@レベルまでの装着を前提としています
+@というのはRE01R迄ですね。
ハイグリップラジアルの最高峰までなら減衰力の調整で賄えます
基本は純正タイヤ同等の特性で最大限のメカニカルグリップも稼げて
乗り心地も確保していますし、何より万人がMINI本来のポテンシャルを
最大限発揮出来るように扱いやすい仕様に仕上げています
ちなみに、FSWのテストではこのサスペンションキットに
純正タイヤとRE01Rそれぞれ装着して、最大限のセットアップを
施した結果1秒ほどの違いレベルに抑えてありますので
このサスペンションにSタイヤを装着してもむしろ逆効果です
ハイグリップラジアルでもRE01Rでギリギリというレベルです
DNA GPやRE050、ルマン、パイロットスポーツ辺りの
タイヤが最も適しています


現在開発中のサーキットVerは
RE01R以上Sタイヤまでの装着を前提としています
スポーツ走行ユーザーの支持を受けているネオバやRE01Rから
RE55SやA048相当までカバーしています
これらのメカニカルグリップに合わせた減衰力特性に変更してありますので
最大限のグリップを手に入れる事が出来ます
通常RE01Rでノーマルタイヤ時より1秒~2秒
Sタイヤ装着で2秒から4秒近くタイム短縮が目標です

ちなみにサーキットVerというのは乗り心地が多少悪化します
とは言え、これはバネレートが高くなるからと言う事だけが
原因ではありません。
むしろバネレートが高くてもそれに合わせたショックの特性があれば
極端な乗り心地悪化にはつながりません
むしろダンパーの減衰力の特性が大きな要因とります
それを具体的にしたのが、今回掲載したグラフの注釈です

当社の言うサーキット仕様とは、単に硬くしたと言う訳ではなく
ストリートVerに比べると、初期のステアリングレスポンスの向上
コーナリング時のメカニカルグリップの向上、荷重や姿勢変化に
合わせたセッティングの汎用性などをストリートVerに比べて
変更してあると言う事です
ストリートでの仕様はある一定以上の荷重が掛かる領域では
意図的にグリップが低下する様にしてあります
サーキット走行を前提とする場合は限界域まで攻め込んでも
リスクが少ないのでショック自体の性能を使いきれる様にセットしています
ですので、今回のサーキットVerは一般道や高速道路で乗ると
ノーマルやストリートVerに比べると非常に高いスタビリティや
グリップを手に入れる事が出来ますが、通常使用では限界域が
解らないほどコーナリング速度を上げてしまう事が出来ますので
限界のわからない初心者クラスの方が乗り方を間違えると
大事故に繋がりかねません
もちろんタイヤが純正の場合は想定したメカニカルグリップは稼げません
ので逆効果です

安全なサーキットでの使用や走りなれた中級者以上
の方を対象にしていると言う意味でサーキットVerなのです
当然タイヤのメカニカルグリップを稼げると言う事で
タイムも大きく向上します
前回のMINIのレースでも証明した様に、こう言った煮詰めを
きちんとすればパワーに頼らなくても、ラジアルタイヤでも
ある程度のポテンシャルを発揮できますし、Sタイヤに合わない
ダンパーの車両よりも速いコーナリングが可能になります

こう言った減衰力の特性意外にも色んな変更(ショックのストローク量や
使用するタイヤやグリップ限界が上がる事による荷重の増加に合わせた
バネレートの変更など)を行っています



今回は非常に長くなりましたが、解り易く説明出来ているでしょうか?
ご不明点はまた直接質問してください。

皆さんちゃんと用途に合った車高調組んでいますか??


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Posted at 2007/11/29 22:36:51

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この記事へのコメント

2007年11月29日 23:15
なんとなくぼんやり判っていたことが
このブログでハッキリ理解できました!
いつも勉強になります^^

やっぱりトータルバランスですね。
それには用途にあった調整のできる車高調が必要!

それから技術力のあるショップが
必要ってことですねかね♪
コメントへの返答
2007年11月30日 2:43
かなり噛み砕いて説明して
みましたがご理解頂けました
でしょうか????

昨今の欧州車は基本設計が
非常に良いので極端な
チューニングはバランスを
崩すだけですよ

技術だけでなく、本当に
良い物を自分自身の体験
から選ぶショップが大事です
2007年11月29日 23:28
爆パワーアップだけでもダメ!
高価なパーツだからと言っても、
すべて良しもダメ!
パーツを売る量販店でもダメ!

一つのパーツのクオリティを追求して、
トータル的なクルマ作りを提供する事が、自分達の仕事ですね☆
コメントへの返答
2007年11月30日 2:45
何でもかんでも売れれば
よいという考え方では
量販店と一緒です

一つの素材から突き詰めて
行けば必ず良い物が出来るはずです

自分自身の体験、経験として
学ぶ事が大事です
2007年11月30日 0:26
減衰グラフ数値入りで出すところがGood!
やる気満々ですな(^^)
コメントへの返答
2007年11月30日 2:48
グラフの曲線だけ真似ても
よい物は出来ませんし、
あくまでもグラフは机上の
空論です

前回のkartさんの時の様に
乗り手がしっかり見極めて
仮定と実践が大事ですから^^

良い物とはそうやって作って
行くものだと思います
2007年11月30日 1:25
もし、叶うのであれば、減衰特性を自分の思う曲線を描くように作ってもらい、それを乗り比べて見たい思いがあります。
それで、その違いをどの様に自分で感じ取れるか確認してみたいのです。

何の為にかと言うと、全てはストリートでの自分が求める走り(乗り心地)を追求したいが為であります。それにイコールで答える為ではないですが、少しでも近づける為に3wayダンパーをオーダーするという暴挙に出た私です。
サーキット走行するわけでも無いのに。。。(^^;;

んなワケで、サーキット走行の為じゃないけどお付き合い頂けますか?(笑)
コメントへの返答
2007年11月30日 2:53
3WAYは単にスポーツ性能だけでなく、スポーツとコンフォーとを
両立させたい時にも非常に有効な
ものです

人により好みの減衰力は違います
これは乗り心地面でも同じくです
そう言った意味でもhorikoshiさんが
3WAYをオーダーされたのは
決して暴挙とは思いませんよ

サーキット走行をする訳でなくても
問題無しです
私達もそうですが、サンデードライバーはサーキット走行もあくまでも
趣味の世界です
趣味のモノですから拘り方は人それぞれであるべきです

ストリート重視でもしっかり
お付き合いさせていただきますよ^^

2007年11月30日 8:29
車高調講座を開催してくださって、分かりやすく説明していただいてありがとうございます♪( ̄▽ ̄)ノ″


トータルバランスが何を換えても調整が必要なのが、しっかり理由やどこを視点にしてみていくのがよくわかりました!

ありがとうございます~(w

また、ゆっくり読み返そう♪( ̄▽ ̄)ノ″

コメントへの返答
2007年12月1日 15:05
恐らく馴染みのない方は
2.3回読み直さないと理解出来ません

それでもこの脚周りをこの前の
試乗会で乗り比べられた方は
体感とグラフを比較すると
非常に理解しやすいと思います

全てはバランスです^^

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