
いつも部品の注文をしているのは最寄りの日産プリンス系ディーラーです。注文と言っても全て「製廃です」の答えしか返って来ないので、ここ最近は購入にまで至っていないのが実情です。欲しい部品が片っ端から製廃で撃沈が続いていますが、今日もまた小さなクリップとリアショックのダストブーツの在庫確認に行きましたが敢え無く製廃でした。
ここの工場長さん、「私、R30の事が好きで堪らなくてこの会社に入ったようなもんですから。」と嬉しそうに語るほどR30を愛している方です。嬉しいですね。部品の注文時にも「R30の頃はこうでしたもんね!」なんて言いながら盛り上がる事もしばしばです。でもメカニックの中でLやFJの事が分かる人は既に居ないそうです。現実問題、そんなエンジンを搭載した車が入庫する事は皆無に等しいですから仕方の無い事ですけどね。R30に関する資料も配線図とサービス周報が数冊あるのみにとどまる上に使用するのは社員ではなくて顧客の私だけというような状態です。
部品検索の間にいつも座らされる席が決まっていて、目の前に歴代スカイラインの写真が飾られています。おそらくP&Sミュウジアムで撮影して来たものだろうと思われます。
スカイラインにはニックネームが与えられるのが常ですが、注目の6代目。言いたい事は分からなくもないですが、ポールニューマンて・・・。せめてニューマン・スカイライン、もしくは鉄仮面と書いて欲しかったです。
この店舗も数年前に建て直されたので現代風の建物になっていますが、以前は如何にも日産プリンスというトリコロールカラーが施された店舗で情緒がありました。オイルやガソリンの匂いがかすかに漂い、工場内に響くインパクトレンチや電話呼び出しの音が何とも言えない雰囲気を醸し出していました。そんな正に”工場”の二文字が似合うこの場所から新車のR30達がオーナーの元へ巣立って行ったんだなぁと、遠い昭和の時代に想いを馳せていたものです。これは現在残っている全てのR30に言える事ですが、高額であったにも関わらず新車を購入してくれた先人達がいてこその中古車流通なのは紛れもない事実です。40万6,432台もの数をよくぞ買ってくれたと、時に感謝の気持ちでいっぱいになります。
そんなR30もデビューから35年を迎えて既にヒストリックカーの領域に入っていますが、旧車を取り巻く環境は日に日に厳しさを増しています。自動車税の増税は新車購入を促すためだけのものであって環境への配慮とは到底解釈し難く旧車イジメ以外の何物でもありません。そういった理不尽極まりない扱いの中でも旧車人気は高まる一方の様子ですので、車が持つ本来の楽しさを求める同志はまだまだ沢山いるのだと胸を撫で下ろす面もあります。
しかし昨今の旧車価格の高騰は異常と言えます。アメリカで旧車人気が高まったのを皮切りにどんどん海外に流出しているようです。また利潤ばかりを追い求めるショップの存在も価格高騰に拍車をかける要因であると言わざるを得ません。R30での金儲けは絶対にやめて頂きたい!
私個人としてはR30はこの先もずっとプレミアとは無縁の庶民的な車であって欲しいと願っています。R30に興味を持った若者が初任給で手にする事ができ、車の楽しさを存分に味わえるような身近な存在であり続けて欲しいのです。その方がR30が持つ本当の良さを心底分かち合える仲間が増えると私は考えます。
櫻井さんが手掛けた最後で最高のスカイラインであるR30。この唯一無二の存在である永遠の名車を安心して楽しみ続けられる世の中となってくれる事を願わずにはいられません。
Posted at 2016/11/16 19:38:55 | |
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