
「NEX-VG10」の映像を編集しようと思ったら・・・。
「NEX-VG10」のファイル方式は最近では一般的なAVCHD方式ですが、「EOS 5D MarkII」のファイルより軽いはずなので編集も問題ないだろうと思っていたらビックリ!
こちらのPCで、編集ソフトである「
Adobe Premiere Pro CS5」のタイムラインにAVCHD(24Mbps)ファイルを載せると、並び替えたりテロップを入れるだけなら再生ボタンを押してプレビューは可能ですが、カラコレ(色調の変更)等を行うとカクカクして理想的な再生が不可能に・・・。 解像度を1/2に下げれば何とか再生するものの、スムーズなプレビューでなければ編集時のストレスは溜まるばかりです・・・。
今のPCにおいて「EOS 5D MarkII」のMOVファイルでは同様の症状も起こらずにスムーズな再生が可能でしたが、どうやらAVCHD(24Mbps)の編集においてはMOV以上の負荷が掛かっているようです。
快適な編集環境を求めてシステムを組んだPCなので、
こちらでも評価が高い「Adobe Premiere Pro CS5」を最大限に活用してAVCHDの編集を・・・。
ということで、この症状を改善するには「Adobe Premiere Pro CS5」の「
Mercury Playback Engine」を機能させる必要がありますが、私のグラフィックカード(GPU)は非対応の「
ELSA GLADIAC GTX 260 V3」です。
「Quadro」を除けば「GTX 285」もしくは「GTX 470」でないと「Mercury Playback Engine」は作動しないのでグラフィックカードの買い替えを検討しましたが、交換することでどのような効果があるのか?について購入前に知りたかったこともあり、自己責任での作業になりますが裏技で検証してみました。
「Mercury Playback Engine」に対応していないグラフィックカードを機能させるには、グラフィックカードのビデオメモリが765MB以上であることを確認して、
こちらを参考にして作業しました。
CS5のフォルダ内にある「cuda_supported_cards.txt」ファイル内の書き換えが必要ですが、実に単純な作業で、このファイルに「GeForce GTX 260」とテキストを書き加えるだけで済みます。強いて言えば、管理者権限でファイルへ書き込むことに留意するぐらい・・・。
そして、上記画像にあるように「NVIDIA コントロールパネル」の「3D設定の管理」で「マルチディスプレイ/ミックス GPU アクセラレーション」のモードを「互換性パフォーマンス モード」に変更して設定は完了です。
しかし、「グローバル設定(マルチディスプレイ パフォーマンス モード)を使用する」のモード設定のままでも「Mercury Playback Engine」が動作しましたので、この辺りはよく理解できませんでした。
ちなみに、「ELSA GLADIAC GTX 260 V3」のドライバーは、最新から手前の「258.96」です。
実際に「Mercury Playback Engine」を動作させてみると、その効果にはビックリ!
タイムラインのバーがレッドからイエローに変わり、編集時のプレビュー画面は本来の解像度でしっかり再生されました。
テロップを入れてカラコレした2分35秒のクリップを固定ビットレート(50Mbps)のH.264でエンコード(書き出し)した際の所要時間は、「Mercury Playback Engine」の有無によって大きな差が出ました。
■「MPE」OFF 15分37秒(約6倍) ■「MPE」ON 6分8秒(約2.4倍)
カラコレが書き出しを長時間にしていると思われますが、この短いクリップでこの結果なのですから、10分以上の長いクリップだと大幅な時間短縮が可能になりそうです。
そして、心配されたグラフィックカードの状態をモニターしてみると、「Mercury Playback Engine」のON/OFFではGPUロードが0%から15~20%に上昇してGPUの動作が確認出来ました。
また、もしかしたら90℃付近まで上がるかも?と想像したGPUの温度は、「Mercury Playback Engine」のON/OFFで55℃からわずか57℃に変化しただけなので、何故「ELSA GLADIAC GTX 260 V3」が適合していないのかその理由が判りませんでした。
ちなみに、「Mercury Playback Engine」のON/OFFによるPCの状態は、以下のとおりです。
■「MPE」OFF
・CPU使用率 97%前後 ・メモリ 31%前後 3.82GB ・GPUロード 3%前後
■「MPE」ON
・CPU使用率 21%前後 ・メモリ 30%前後 3.62GB ・GPUロード 20%前後
当然ですが、CPU使用率が下がる代わりにGPUロードが上がる結果になりました。
また、「Mercury Playback Engine」を動作させた後のGPUロードは、エフェクト・トランジション・タイトルの数により変化しますので、この数値は絶対的なものではありません。
今後は、しばらくこの状態でテストを継続してみたいと思いますが、GPUを買い換えてもエンコード時間はクリップの実時間に対して倍近くなので、「ELSA GLADIAC GTX 260 V3」の継続使用に問題が無ければ、「Mercury Playback Engine」の機能はエフェクトやトランジションのプレビュー機能に特化させ、既に装備してある「
SpursEngine」を活用することが可能なソフトを購入して、実時間に近いエンコード時間を狙ってみたいと思います。