レギュラーガソリンだけでなく、ブランド付きハイオクガソリンも実は中身一緒(シェル除く)でしたって記事。日本石油メーカーの落日。
結論から書くと。
・元売ブランドでオクタン価も清浄性も性能差はない。(Shell V-power除く。)
・イオンとかコストコ、大手商社などプライベートブランドの安売りハイオクを買う方が得。というかそれ以外に差やメリットはない。
・独自技術で選びたいならShell V-Powerだけが選択肢。但し2021年4月前に日本では取り扱い終了の見込み。
JXも東燃とくっついてから「ヴィーゴ」を止めて「ENEOSハイオク」なんて平凡な商品名に変えたり清浄性能をアピールしなくなったりで内心わかってたことではあるけどね。
JXも元はバイオガソリンとか、最強だった摩擦調整剤入り旧ヴィーゴだとか攻めてたんだけど、元売統合やバーター取引を拡大する度にシレッとなくしてたし。
ここで毎日新聞の記事より一部抜粋
>タンクの共同利用やバーター取引による出荷について大手3社は「自社規格を満たすことを確認し自社製品として販売している」、キグナスと太陽は「国の品質基準を満たしている」と回答し、いずれも問題はないとしている。
>出光昭和シェルは「Shell V-Power」のブランドで販売するハイオクについて「他社製と混合していない」と答えた。
>キグナスは製油所を持たず、主にコスモから仕入れていると回答した。
シェルのV-Powerだけ混合してないというのは本国の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルのライセンスの背景から本当だと思う。ハイオク基材は一部共通もあるだろうけど、添加剤は独自パテントだから混合できる出荷設備も限られる。
実はシェルも他ブランドをV-Power扱いして売ってましたとなると、出光昭和シェルがブランド毀損で本国シェルから損害賠償を求められる可能性もある。
外資石油メーカーの品質認証とブランド戦略は日本の公取のユルユルな基準より厳格なので独禁法に違反するより恐ろしい。
キグナスと太陽は元から具体的なハイオクアピールはしておらず誠実。
一番ガッカリしたのは・・・、恐れたれていた通りだけど元売と製油所統合を重ねた結果、日本の石油メーカーの燃料技術力は平凡なところに堕ちてしまったこと。
日本の誇るハイオク製造技術(
オクタン価100)*1 自体はもう何十年も前に仕上がったもので、残念ながら今の元売がもう添加剤などを進化させることはない。
技術力がなくても寡占化と政治力でモノは売れちゃうからね。
これは公正取引委員会が機能していないと言うことは明らかで、独禁法が目指した公正な競争(技術開発、価格競争)が守られない事が実際に起きてしまった。
いずれ統合は仕方ないと言われてたが、あの公取の安直な統合許可は批判も多かったんだけどね。石油業界は公取直上の経産省マターで触れるのはタブー。
更にガソリンユーザに追い打ちをかけるようだが更にこれから価格競争もなくなる。
スタンド業は元売子会社系と独立系、更にブランド系とプライベートブランド系がある訳だけど、後者は仕入先の減少で仕入値差マージンが減っている。
更にガソリン需要減、設備投資と更新資金の高騰で自然と廃業を重ねると、仕入力と資金力のバックが強い元売系が生き残りジワジワと価格は固定される。
なので自分は頑張ってる独立系(のシェル)から買うようにしています。
シェルも出光ブランドに統合される。(パテント料が高いのでしょう。)
更に添加剤もより多くの利益をもたらしてくれる「価格競争力ある」ものにされてしまうのだろう。
ハイオクユーザとしては、これから日本で最後となるプレミアムハイオクである Shell V-Power を利用しようと思う。唯一の選択肢が舶来品なのが悲しい。
*2020/06/28追記:
*1. 各石油元売のHP見たところオクタン価100を保証するメーカーはなくなっていました。
JX(ENEOS)と出光は100、コスモは>99.5、シェルは未公表で差がありましたが、残念ながら我が国が誇った超高品質保証のプライドはどの元売もかなぐり捨ててしまったようです。(過去の各元売のオクタン価はベストカーの記事にあります。)
どこが違う? 性能差は? 知ってるようで知らないガソリンの真実 [ベストカー]
2018年9月12日 / コラム・特集 小野正樹
念のため問題を明確化すると、ハイオクハイオクは 燃料そのもの+添加剤 で構成されます。今回は後者の添加剤が問題となります。
各社とも性能表現をかなりあいまいに変えていますが、自社製品が高性能であることを誤認させるような表現は消費者への裏切りです(消費者庁案件)。
JISより高いオクタン価と独自添加剤点が唯一の元売系スタンドを選択するメリットだったのですが、オクタン価保証なし、添加剤はランダムだとPB(イオン、コストコ、商社)で安いハイオクを買うほうが良いし、心配なら別売り添加剤を入れたほうが良いですね。
・ガソリン:国のJIS規格でハイオクに当たるオクタン価規格(>96)かつ、各元売で保証するオクタン価であれば問題ない。
原油や製造プロセスは異なるがJISに定めるアンチノック性をクリアすればそれ以外の性能に大きな差はない。各元売はこれを根拠に混合は問題ないと回答している。
製造マージンがあるのでまず実数値は100-98であると思われるが、我々一般ユーザーには
無保証。保証上限値は>96。
・添加剤:清浄性、防錆、摩耗防止、燃費向上などを担う。各メーカーごとに技術力が異なり性能も異なる。今回はこれが問題。
Shell V-Power以外は地域や時期(出荷量や荷繰り)によりランダムでどこかの性情不明のハイオクが当てられる。
過去の旧ENEOSヴィーゴのように摩耗調整剤が転嫁されない限り出力特性は変わらないが、防錆や清浄性で中長期的にエンジンや燃料ライン(ポンプ、タンク、配管)に影響を与える。
Posted at 2020/06/27 19:55:41 | |
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