
前回
その①で俎上にのせたポロスポーツラインに続いて、今回その②でも、同じくテンロクNAにステップATを組み合わせた、運転の楽しいクルマの登場ですが、これが何とも…
Peugeot 207 Feline プジョー207フェリーヌ
オイオイ、プジョー207って、、、アンタのクルマと同じでしょ、207は散々酷評していたクセに〜と、ツッコミを入れている方も多いでしょうね。でも207で間違いありません。実は先日、我が207が車検を迎え、代車でこの207がきたのですが(ややこしい)、乗ってみると、あれ、ウチのと違わない? となりまして、妻と私も一致してコッチ(代車)の方が全然イイじゃんという結論に。何とも複雑な心境ですが、その理由を探る意味も込めて、今回インプレしてみます。
タイヤは2011年製のコンチエココンタクト3 古く硬化も進んでいますが、バリ溝で約7mm残っています
なんでこんなに良いの? 夢の207!
この207フェリーヌというグレード、2009年、フェイスリフト前207の最後のほうに設定された限定車で、スポーティな仕立て(クロームドアミラー、アルミべダル、17インチホイール等)がウリでした。基本は1.6NAにAL4を組み合わせるベースグレードです。
さて、そんな訳で、代車でお借りした207フェリーヌ。基本我が家の207と同じ筈ですが、ディーラーを後にした瞬間から全く別物のフィーリングでした。全体的にまとめて言うと、「寛容で安心感溢れる頼もしいヤツ」 また各部の動きがリニアで、スポーティ且つ乗りやすい。それではもう少し細かくみていきます。
先にちょっと×の部分を述べておきます。さすがに古いので内外装痛みあり。代車ですからね。あと機関関係では、パワステ周りかエンジンの補機類あたりかわかりませんが、ミャーミャー異音がしていました。逆に言うと、それ以外何も問題なし。75000キロほど走行の個体ですが、さすがディーラーの代車だけあって、よく整備されている様子。たしか前オーナーはディーラーの営業さんだった筈です。
電動パワステは繊細なフィールはありませんが、207前期型でよく感じられたセンターが固着するような、そこを過ぎると急にスコーンと軽くなるような違和感は無く、そこそこ軽いアシストが一定して存在しています。センターもシビアではなく、直進保持も容易です。路面からのフィードバックもそれなりに伝えてきます。それに比べるとウチのはピーキーですね。センターの遊びも詰め詰めで、正直疲れる。フェイスリフト前後で仕様変更はあったでしょうが、改悪することは無いでしょうからね。ウチのがなにかおかしい。
続けてハンドリングですが、これも安心感の中にプジョー伝統の良さが感じられるもの。タイヤ径が標準より大きいものを履かされているせいで、車高がアップしている筈なのに、重心が低くトレッドが広がったような感覚。サスもツッパリ感無く、基本はフラットに保ちながら、コーナーでも気持ち良いダンピングを発揮します。翻って、ウチのは挙動に一体感が薄い感じ。各部がバラバラに動いているような。
そしてAL4。一見ダイレクト感は薄いのですが、これはスムーズさの裏返し。変速ショックは無く、滑らせた~ロックアップしたというような挙動はあまり看守できず。実際は決して滑っている訳ではなく、レスポンス良く全域でとっても安心できるフィーリング。我が207のAL4はとにかく変速を迷う素振りが多く、ロックアップするまでの力感の無さが顕著。線が細く神経質です。トルコンのトルク増幅効果が効いていないような。
最後にエンジン、おなじみのEP6Cです。バルブトロニック+ポート噴射。1.6のNAで、6000回転で120PSを発揮。オートモードで引っ張ると、5000回転くらいでシフトアップしていきます。この代車は中低速のトルク感が潤沢。先日のポロスポーツラインと比べると高回転のキレは落ちますが運転はしやすい。当方の207のエンジンはこの代車のエンジンと比べると、特に高回転域は金属的なフィーリングが強いですね。やはりピーキーな雰囲気で、下のトルク感が薄く、日常使いでも、ついついアクセル開度が大きくなります。そうするとATがドスンと繋がるという悪循環。。。
まあ、ウチの207とは何もかも違う訳です。ディーラー曰く、「特別なことはしていない」らしいです。そういえばこの代車207の感じ、パワステのフィール以外は207デビュー時に試乗した、207GTの印象と近い気が。あの時は、コレいいクルマだなぁ~という感想を抱いたものです。
複雑な感覚に釈然としませんが、この代車、とっても楽しそうなので、いつものワインディングへ向かいました(笑) いやー、久々に(308ディーゼルの試乗以来)プジョー本来の良さを再確認しました。先日のポロスポーツラインと同じルートを走って思ったのは、同じBセグ同士では、ハンドリングはやはりプジョーが上だなと。シャシーファスターはポロ以上で、さらにそこに気持ち良さがプラスされている。本来のサイズとは違う、6年落ちのエココンタクト3をものともせず、シャシーの持つクラスを超えたメカニカルグリップ、ライントレースや路面追随性も流石。懐が深い深い。
コレ、陳腐化していて、あまり使いたくない表現ですが、所謂猫足ですね(笑)。。。AL4もコンディション良いとこんなに気持ちいいんですね! 4段しかないのが功を奏し、各ギアをしっかり引っ張れるので、エンジンの回転を存分に味わえのもヨシ。
CEC3は分かりやすいコンチ風味
ついでにタイヤにも触れておきますが、今回装着されていた195/65R15というサイズは207ではイレギュラーです。本来15インチなら、185/65R15が正解です。それはさておき、このCEC3、昔ながらのコンチのベーシックの良さを引き継ぐもので、とにかく実直なフィーリング。伝えるべきものは包み隠さずしっかりドライバーへ。小石一つも逃さないような。ザラザラした感じですが全然嫌味が無い。音もガーガーしますがこれもご愛嬌(笑) 素直で乗りやすい古き良き欧州タイヤといった趣。20年近く前に所有したオペルヴィータが履いていた、初代コンチコンタクトの感覚が蘇ってきました。懐かしい!悪くないですねェ。
CEC3のトレッド 潔いパターンですね! ストレートグルーブやブロックの間のラグも深く幅広い 今回は試せませんでしたが、ウェットも強そうです

フェリーヌの純正は17インチの筈 これは307用(オプション)の15インチホイールに、これまた307クラスが履く、195/65R15が装着されています このタイヤ、新車外し物件ぽいですね
なぜこれほどの個体差が、、、
いやはや、それにしても代車207とウチの207の違いが大きすぎます。この差は何なのか? 幾つか仮定してみます。
①実は207フェリーヌはサスペンションなどの仕立てがベースグレードと異なっていた。
②フェイスリフト前後で、明示はされないが、明らかな仕様変更があった。サスのジオメトリーとか、パワートレインの制御系とか。
③代車のメンテが行き届き過ぎていて、全てが最高の状態に仕上げられている。
④公差のブレ。代車が上限、ウチの207が下限でハズレ車両。
⑤ウチの207に後天的な問題が重なっている。アライメントの狂い、ダンパーの損傷、ATの故障など。
思い起こせば7年前、207購入の際、一時借りていたゴルフ5の1.6Eに乗って、207の試乗に行きました。かなり冷静に、意地悪に試乗しましたが、感想は、ボディの剛性感とAT以外は、ゴルフ5と比べてもそれほど劣らないというものでした。だから207を購入したんですよ。その事から考えるに、上記の④と⑤の可能性が高いと思われ…
当方、相変わらず金銭的余裕が皆無に等しいので(笑)、先ずはAT制御プログラムの変更ができないかディーラーに相談、次に金額は掛かりますが、アライメントの測定なんかから始めて、確実に改善が望めるなら、ダンパーの交換や、エンジンのカーボン除去なども視野に、代車207の大変好ましいフィーリングに近付けるべく、トライしてみようかなと。
何れにしても、今回207の実力を見直しました。そして前回のポロ共々、制御が巧みなATとNAエンジンの織り成す気持ち良さ、日常域で手に余らない動力性能とそれを大きく上回るシャシー性能がもたらす、絶妙なスポーティ感。競技スポーツのストイックさとは違う、ジョギングやトレッキングに通じる爽快感を抱きました。
やはり欧州人はクルマを気持ち良く走らせる事が大好きなんだと思います。この先、欧州各社とテスラ主導で一気に進みそうな内燃機関廃止と自動運転技術。でも彼等なら、クルマを死ぬほど退屈な白物家電にはしないと、楽観視する自分が居ます。今回の2台の試乗を通じて、そんな思いをあらたにしました。
Posted at 2017/07/26 20:08:40 | |
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試乗 | 日記