
パサートについて語ろうと思って始めたブログですが、なかなか本題に入ることができずに更新の回数だけを重ねていました。
いよいよ今回でようやくパサート購入前の「試乗」編が終了です。
パサート以外に候補となった車種で最も「競合比率(こんな言葉ないか)」が高く最後まで迷ったクルマ。それがスバルのアウトバックでした。
スバル車といえば子供の頃によく見た「レオーネ」というイメージが強く、成人になった後もあまり興味を持つこともなく「いすゞ」とポジションが近いメーカー、と自分の中で位置づけていました。
それが大きく変わったのは「レガシィ」の登場とインプレッサのWRCでの活躍を知ることになったからだと思います。
レガシィの発表当時は「2ドアクーペ(当時は"スペシャリティカー"というジャンルで呼ばれていました)」命!でしたので、4つ以上のドアを持つ車にはまるで興味がなく、レガシィの登場も話題になったから知っただけでした。
レガシィに一目を置くようになったのは2代目にモデルに変わってからです。
大ヒットしたボルボ850エステートの影響を色濃く受けたと思えるレモンイエローカラーを纏った姿は「レガシィってこんなにかっこよかったっけ?」という印象を強く私に焼き付けました。
ただこの頃は車を所有できる状況・環境ではなかったので、レガシィに限らず世の中の車とかなり距離を取っていた時代です。
街で見かける以外、積極的に情報を集めようともしていませんでした。(もちろんインターネット普及前のお話です)
再びレガシィを意識するようになったのは4代目となる「BPレガシィ」の登場からです。
CMも美しかったのですが、車のスタイリングも私にとっては「日本車離れ」したものでした。
「抑揚の利かせ方の妙」とでもいうのでしょうか。細やかなディテールまで入念に練り上げた・吟味した、という感じがビンビン伝わってきました。
しかし皮肉なもので、この時すでに私は「輸入車しか興味がない」という盲目状態の深みにはまっていました。ですからこの時もそれ以上、レガシイへの興味が深まることはありませんでした。
スバルへのイメージが変わったもう一つのトピックは「WRCでの活躍」です。
私自身はモータースポーツへの興味・関心はさほど高くないのですが、車の売り文句に「WRCで培った技術をフィードバック」といったものが盛り込まれると凄く気になってしまう人間なのです。
というのもかつてプジョー205GTIという車を所有していた時期があったのですが、この車を選んだ理由の一つにやはりWRCでの活躍によるイメージアップ、というものがありました。
三菱パジェロのパリダカ○連覇!みたいなものなのですが、今のようにwebで多様な情報を得られる時代とは違い、こうした世界的カテゴリーのレースで結果を残したという事実などは(もちろん雑誌の受け入りですが)すごく「欲しい」という気持ちをアップさせたものなのです。
まあ当時でもレース車と市販車は全く別物であることは理解していましたが、「ノウハウ・技術がフィードバック」という魔法のような言葉の魅力が無くなるわけではありません。
ですからインプレッサのWRC3連覇といった出来事は、スバルというメーカーの印象を「大きくアップ」させたことに間違いはありませんし、メーカーに対してのリスペクトもあります。
あえて言うとすれば3連覇したのはもう20年も前のことであり、さすがにそろそろ過去の功績だけではなく、新たにWRCに復帰&勝利をしてもいいのでは?と思う気持ちも強いです。
まあいつものように前置きは長いのですが、スバルというメーカーとレガシイという車に対しては、ある程度以上の興味を持っていたことはお伝えできたかと思います。
ようやく試乗の話になりますが、実は現行のアウトバックにはトータルで3回試乗をしています。
最初はデビューしたばかりの一昨年前の秋です。次の車検時に乗り換える車の候補として有力に思えましたので、時期早尚とは思いつつも近隣のディーラーにお邪魔をして試乗をさせてもらいました。
試乗しての感想。
使い古された言い回しで恐縮ですが「目からウロコが落ちました」。乗り心地・静粛性はもちろん、アクセルのつき・ブレーキのタッチ・効きなど想像以上に「上質」と感じられたのです。
正直に言って、試乗をするまでは全く期待をしていませんでした。今から考えると「アウトバーン至上主義病」とか「ニュルブルクリンク絶対主義病」といった熱病のようなものにかかっていたのだと思います。いくらスバルでも本場の向こうで鍛えられた輸入車には絶対敵わないだろうと...。お恥ずかしいかぎりです。井の中の蛙になった気分です。
試乗した車種は17インチタイヤのベースモデルと呼ばれるものでした。
自分としては新規に開発した「スタブレックスライド」という足回りを採用した18インチを装着するリミテッドモデルに着目していましたので、その旨を伝えると近くの営業支店にリミテッドモデルがあるということで、そこまでセールスさんに乗せてもらって試乗をさせていただきました。
一般的にインチ数が大きくなると乗り心地が悪化するといわれていますが、アウトバックで乗り比べてみた印象としては「ほとんど差がわからない」というものでした。
当時乗っていた車は19インチでかつサイドウォールの固いタイヤだったからなのかもしれませんし、移動時に乗せてもらった車がレヴォーグの2リッターターボだったからなのかもしれません。(短時間の同乗でしたが、レヴォーグはかなりゴツゴツした乗り心地でやや窮屈な印象を受けました。よく言えばスパルタンかつスポーティと言えるのかもしれませんが...)
ベースモデルからリミテッドへと続けて試乗したことで内装の質も変わり、印象もさらにプラスになりました。(ベースモデルのステアリングに使用されいる皮革と、上級モデルに使用されている皮革の質は全く違います。
シート表皮の素材がファブリックであってもレザーであっても特に気にすることはないのですが、ステアリングの質感だけは気になります。)
また、堂々たる体躯は当時の自車と並んでも引けを取らない存在感を放っており、言葉で表すなら「うおおおおおっ」という感じでした。(←これだけではさっぱり伝わらないと思いますが、望外に良かったという感動を表現したつもりです)
試乗時は印象がよくても試乗から自車に戻った乗った際に「あれ、やっぱり自車のほうがよいかも」と思えたことは過去に幾度もあったのですが、アウトバックの試乗後には「なんて良いクルマなんだろう」という思いはずっと消えずに残り、「次はこれにしてもよいね!」と帰宅してからもずっとカタログを見ていた覚えがあります。
まあどんなに良いクルマだと思えても「買い替え時期」ではありませんでしたので、試乗後に商談へ移行することはせず、しばらくは平穏無事(?)な生活に戻りました。
その約一年後、本格的にクルマを買い換える機会が訪れたのですが、あえて(本命としていた)アウトバックの再試乗は最後にとっておきました。(食事でも好きなものは最後に残して食べるタイプです)
初回は試乗コースが街乗りでしたので、今回は高速道路での走行とアイサイトのテストを行うために長めの試乗時間を希望して臨みました。
ある程度予想はつきましたが、高速走行でもネガティブな点を感じることはできませんでした。ややハンドリングがゆったり目に思えたものの、特にシャープなキレを求めているわけはありませんし、生まれてこの方ダブルレーンチェンジをする機会に恵まれたこともありません。適切な例えでは無いかもしれませんが「鷹揚」な乗り味はアウトバックの性格にあっているのかもしれないと考えました。
スバル車を乗り継いでいらっしゃる方でなければ、アウトバックにガチガチの「走り」を求める人はそう多くないと思えます。
また、噂に聞いていたアイサイトですが、便利この上ない機能と感じました。それまでこういった運転支援デバイスには否定的な思いを持っていたのですが、もう1度目からウロコが落ちた思いです。
遠乗り時(特に帰路)の疲労を考えると、かなり効果を発揮してくれるものと確信しました。
街乗りはOK、高速走行もOKとなると、最後に気になるのは「悪路はどうなの?」です。
実際に悪路を走行することは稀なのですが、アウトバックというクルマには「悪路走破性」(というかAWD性能)も求めてしまうのです。
というのも登山(夏山オンリー)を趣味にしていたこともあり、天気のよい週末には家内を連れ立ってこぞって山に行っていました。
たいてい登山口までは舗装路が整備されているのですが、場所によっては凸凹な未舗装道路が続いて車高の低いクルマでは立ち往生してしまう道路も未だにあります。
ラリーのように悪路を高速走行するわけではありませんので、別にAWDである必要はさほどないのですが、夏の山岳地方は天気も変わりやすく、移動時に雨中の高速走行をする回数も結構多いため、AWDの安定性はとても大事と考えています。(むしろ未舗装路の走行よりも雨天走行を重要視しています。)
ただ試乗時に悪路を走らせてくれ、とリクエストすることも気が引けますし、雨のタイミングを待って高速道路へ、というのも現実的ではありません。なのでここはスバルの「AWD」ブランドを信頼することでよし、とすることにしました。
私なりに感じる「クルマの基本性能」という点ではアウトバックに高得点を与えることに疑問の余地はありません。ただし感性に訴えかける、という点ではかろうじて及第点を与えられるかどうかといったところです。
スタイリングにおいてはほぼ気に入ってはいるものの、
・長めのフロントオーバーハング
・やや野暮ったく感じるリアスタイル
の2点はかなり気になる点で、特にフロントのオーバーハングについては「我慢できるか否か」くらい自分にとっては大きなポイントです。
眺める角度によって全く気にならない時と、すごく気になる時のギャップが大きく、結果的にはこのポイントの差が車種選びの最終決定にも響いたのではなかろうかと自己分析しています。
内装に目を向けると、
・メーターの照明色
・インストゥルメンタルパネルの素材の使い方
の2つが大きく気になる点です。
慣れないせいなのかもしれませんが、青を基調としたイルミはちょっと子供っぽく感じました。
上級モデルはメーターのイルミーネーション色を変更できるらしいのですが、落ち着いたアンバー色とかせめてホワイトに設定ができれば良いように思えました。
車格も対象ターゲットも決して若年層ではないと思えるだけに、なぜこのような設定なのか違和感を感じた次第です。
また内装色には黒とアイボリーを選べるのですが(これは評価できます)、インストゥルメンタルパネルのエアコンパネルがシルバーの「金属調」なのにも違和感を感じました。
特別「高級感」を求めているわけではありませんので使用するのは樹脂パネルで良いのですが、ナビ、エアコン操作パネル、シフト周りと連続する箇所にそれぞれ異なる表面処理が施されているため、煩雑な印象を受けました。
素材感や配色の「統一感・コーディネート」にはもう一つ・二つほど工夫が欲しいところです。
スバルには「クルマの基本性能」にコストをかけ続けて欲しいとは思いますが、コストをかけずとも印象をアップさせる方法や余地といったものはまだあるような気がしました。
この文章を書いている最中にも最新のインプレッサの内装写真を眺めたりしてみましたが、素材は良いものにグレードアップしているようには思えるものの、造形を含めたセンスにやはりまだ物足りなさを覚えます。
でもこうは言ってもアウトバックの魅力は「見て眺める」よりも「使い倒してなんぼ」という"良い道具感"にあると考えていましたので、内装に関しての細かい注文は割と受け流せるような気はしました。
アウトランダー・アテンザワゴン・アウトバックと候補者すべての試乗を終え、ほぼアウトバックに買い換えることを決定しようと思い始めましたので、
・色の選択
・購入ディーラーの選択
について決める必要が出てきました。
色の候補は「ヴェネチアンレッドパール」「タングステンメタリック」の2択です。
当初はアクティブな印象を受けるヴェネチアンレッドに傾いていたのですが、タングステンメタリックの渋さも捨てがたくてなかなか絞り込むことができませんでした。
もう1点は、千葉県に居住しているのですが地域が東京都に隣接しているため、最寄りの千葉スバルさんか、さほど距離も変わらない東京スバルさんのどちらで購入するかについても迷いました。
1,2回目の試乗は千葉スバルさんでお願いしたのですが、試乗手配などとても快くしていただいたものの、商談時の見積り金額がけっこう渋かったのでここでの契約には少し躊躇していました。
WEB情報では東京スバルさんの方が良い条件が出やすいとのことでしたので、千葉スバルさんには悪いとは思いつつも東京スバルさんのディーラーにもお邪魔をさせていただきました。
ここでもう一度試乗をさせていただき、CVTミッションの感触と再度アイサイトのおさらいを重点的にチェックさせていただきました。
正直に告白しますが、きっと私はクルマ音痴なのだと思います。CVTらしさとか「癖」のようなものは一切感じられなく、多段ATと言われてもおそらく納得していただろうと思うくらい、一切の不自然さは感じませんでした。
自分でも情けないのですが「CVTはフィールが悪い」などといった記事を読んでしまうと「ああ、そうなのか」と安直に考えてしまい、思い込みも強くなってしまいがちなのですが、実際に自分で体験・体感して感じ取ることができればそれが判断の礎となります。
私にとって「CVT 」はマイナス点ではなくなりました。
また少し話がずれてしまいましたが、東京スバルさんで商談をしていた時期にはすでに年次改良の情報が入っており、改良前モデルの発注期限もギリギリに迫っていたように記憶しています。
ディーラーの発注リストに改良前のモデルでタングステンカラーのものが記載されており、これでであれば1ケ月ほどで納車が可能ということでした。
改良のポイントが自分にとって気になるものではありませんでしたし、改良モデル前なので条件的にも頑張ることができます、とおっしゃっていただけたので、色はタングステン、購入は東京スバルさんですることにほぼ決めかけておりました。
この段階ではまだざっくりとした見積りを提示されただけでしたが、同じような時期にもう1車だけちょっと気になっていたクルマが発売されていましたので、それをちょっと"冷やかして"みた後にアウトバックの最終商談に入ろうと考えていました。
なぜ「冷やかし」かというと、その発売されたクルマはVWのゴルフオールトラックというクルマで、ご存知のように国産車ではありません。
そもそも「国産車限定」という条件のもと、候補車選びをしていましたので、輸入車好きの私にとって最後にVW車を見てみるということは「一縷の望み」とも「最後っ屁」ともいえる、気休め的なものと考えていました。
「断末魔の叫び」とも「最期の悪足掻き」と言ってもいいくらいです。
VW車の名前が出てきましたのでもうおわかりになるのかもしれませんが、この「冷やかし」がすべての始まりになったのです。
アウトバックの顛末は唐突に終わることになりますが、今でも「国産に乗り換えるなら」候補No.1にあげるくらい印象深いクルマですし、重度の輸入車かぶれから引き戻してくれたことに感謝をしています。(とはいえ輸入車嫌いになったわけではありません。)
いよいよ次回から、
「vol.2 パサートを選んだ理由」になります。
ようやくパサートについての話が書けます....。