今回は、オーボエを担当する鎧塚みぞれの事を書いてみようと思います。
何故、今日なのか?
…そう、みぞれの誕生日なのです。
みぞれってどんな子? ~プロフィール~
鎧塚 みぞれ(よろいづか みぞれ)
誕生日:7月2日 蟹座
身長:152cm
血液型:AB型
好きな色:紺・青・灰
趣味:飼っている猫と一緒にだらだらする事
特技:音ゲー・心理戦のゲームに強い事
好きなもの:ソーダ味のお菓子・炭酸ジュース
嫌いなもの:電波の悪い場所
久美子の1年先輩で、吹奏楽部ではオーボエを担当しています。北宇治にはオーボエ奏者が一人しかいませんでした。みぞれが3年生に進級すると新1年生の剣崎梨々花が入部し、自身にオーボエを吹く後輩ができます。
みぞれは吹奏楽の強豪・南中出身の楽器経験者です。同じ南中出身の同級生に優子・夏紀・希美がいます。
中学の時、帰宅部だったみぞれを同級生の傘木希美が吹奏楽部に誘った事がきっかけで楽器を始めました。それ以来ずっとオーボエ一筋です。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

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みぞれは無口で感情をあまり表に出さず、周囲の動静や人間関係に無関心で、いつも一人で本を読んで過ごすような子です。自身の事を「私は人が苦手。性格暗いし友達もできなくてずっと一人だった」と言っています。声を掛けてくれた社交的な希美に惹かれ、楽器を通して楽しい毎日を過ごすことができるようになったのですが、希美の退部を後に他の人から知ることになり、再び自分の殻に閉じこもってしまいます。
※石原監督が「みぞれって俺みたい」と語っていました。それを聞いたシリーズ演出の山田尚子さんが「それじゃ、みぞれは石原さんなんですね」と言うと、石原監督が「あー、それはみぞれのイメージが壊れるので困る」と慌てていました。山田さんによると、みぞれの細かい挙動や視線が、石原さん好みらしいキャラクターとして投影されていると語っていました。
みぞれは人見知りをするので、すぐに他人と打ち解ける事は殆どありません。警戒心が強いので相手の好意もすぐには受け入れることが出来ません。信頼を得るには時間が必要で、付き合いの長い希美・優子には心を開いています。また、希美の退部騒動をきっかけに二人の意識がすれ違っていた件で走り回り問題解決に一役買った久美子には感謝していて、自らグータッチするほどまで心の距離が近づきました。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
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みぞれは優子に教えてもらったグータッチがお気に入りで、久美子以外にもあちこちでグータッチをしています(希美やクラリネットパートの島りえちゃんと)全国大会出場まで苦楽をともにした仲間達に少しずつ心を開いていきました。でも、2年生の時点では本質的な部分はあまり変わっていないように思います。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

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3年生に進級し、新1年生が入部してきました。オーボエパート唯一の後輩、梨々花に対して最初はそっけない態度をとっていました。梨々花は明るく積極的な性格で泣いたり笑ったりと表情豊かな子です。先輩パートのみぞれとは距離を感じていましたが仲良くなりたいと思って、めげずに接します。その心が通じたのか、彼女に対してみぞれはだんだん心を開いていくようになります。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

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そんなみぞれですが、おちゃめな一面も持っています。新入部員に対するパート紹介時、ラーメン屋台のチャルメラのフレーズを吹きました。「リズと青い鳥」でみぞれからプールに誘ってもらって機嫌が良い梨々花がこれを真似て吹いていました。ラーメン屋台のフレーズは”チャルメラ”という楽器で吹いていて、これはオーボエと同じダブルリードの木管楽器です。西アジアで生まれたズルナという楽器が中国に渡りチャルメラになりました。また同じくズルナがフランスに渡り変化してオーボエになりました。チャルメラとオーボエはその生まれが同じ楽器です。ラーメン屋台のチャルメラのフレーズをオーボエで吹かせた原作の武田綾乃さんと、それを梨々花に吹かせた山田監督のセンス、とても良いです。
みぞれが使用している楽器はYAMAHA YOB-432 コンセルヴァトワール式フルオートマチックオーボエです。コンセルヴァトワール式は現在のオーボエのメカニズムの主流で、大きな音量と速い曲も演奏できるキイシステムです。初心者の場合、このコンセルヴァトワール式から始めるのが一般的だそうです。


©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
また、オーボエにはオクターブキイの操作の違いによって、セミオートマチックシステムとフルオートマチックシステムがあります。(図の左がセミオートマチックシステム、右がフルオートマチックシステム)
セミオートマチックシステムは、第1・第2オクターブキイの操作が必要ですが、替え指の柔軟性が高いです。一方、フルオートマチックシステムは第2オクターブキイが無く操作が容易な反面、機構が複雑で調整や手入れが難しく狂いやすいです。音色はフルオートマチックの方が深い響きになります。日本ではフルオートマチックが使われていますが、世界的にはセミオートマチックが主流です。図の赤丸部分と演奏中のみぞれの画像を比べてみると、みぞれのオーボエはフルオートマチックシステムである事が分かります。
「その音色は美しい女性の声と形容されるオーボエ。チューニングが難しく、一番細い所の内径が4ミリしか無い為、息のコントロールに技術を要する一番難しい木管楽器」と劇中でも説明がありますが、一番難しい木管楽器としてギネスブックに載っています。一番難しい金管楽器のホルン(同じくギネスブックに載っています)と同じように、オーボエも職人気質の奏者が多いようです。


©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
みぞれのオーボエはMy楽器です。中学の時に両親に買ってもらいました(48万円)。常にメンテを怠たらず手入れをしているので高校生になった今でもピカピカです。セミオートより値段が高いフルオートを買い与えた両親の、みぞれへの愛が感じられます。想像ですが、おとなしく無口なみぞれが自分から「楽器をやりたい」と言ってきたので、両親は嬉しくなって買ってあげたのかも知れません。 ちなみにピアノも弾けます。吹奏楽経験者はピアノを習っていた事が多いそうですが、みぞれの家にはグランドピアノがあります。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
みぞれのキャラクターデザインは、オーボエのイメージに合うように、またみぞれの職人気質的性格や緻密な演奏技術に合うように、髪の色や肌の色は薄めで、美しく繊細で無機質な感じを出しています。みぞれと同じ髪の色の部員は他に作らないようにして、吹奏楽部の中でも印象的に見えるように、特別感を出しています。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
表情については石原監督から「無表情な小動物系」というオーダーがあり、それを受けてキャラクターデザインの池田晶子さんがデザインしました。普通の美少女とは違う、コミュニケーションが苦手な子ならではのかわいさを出しました。
体つきは華奢では無く、若干ぽっちゃり系でという池田さんと山田さんの意見を通し、少しもったりした生っぽさを出しています。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
みぞれはいつも朝一番に登校し黙々と練習しています。しかし、久美子のように熱血で練習するというより、主に基礎練習を繰り返し淡々とやっていました。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
みぞれの演奏は高精度の精密機械が動作をするかの如く、正確かつ精度が良いという表現が近いと思います。みぞれの演奏は全て”希美のため”に吹いています。希美と離れていた間は何が目的で楽器を吹いているのか分からなくなり、まさに”魂の抜けたロボットが高精度の演奏を淡々とこなしている”状態でした。楽器経験のある山岡ゆりさんは「ただ演奏するだけなら機械でも出来る。そこに感情をのせて表現しないと曲にならない」と語っていました。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
希美とのわだかまりが解けた後は、情熱的で感情豊かな表現が戻って、精密かつ正確な演奏にそれが加わり、甘く繊細な音色を奏でるようになりました。2年生時関西大会「三日月の舞」で素晴らしいオーボエソロを吹きます。そして3年生時に自由曲「リズと青い鳥」の第三楽章”愛ゆえの決断”のリズの行動が解らず悩みますが、新山先生のアドバイスもあって理解する事ができ、それに希美への想いをのせて再覚醒し、”技術面・精神面で成長した天才みぞれ”のオーボエソロが”炸裂”します。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
新山先生がみぞれの能力を見出し音大進学を勧めますが、みぞれを音楽の世界に招いた希美の存在が人生を大きく変えるきっかけになったと思います。でもまさかみぞれがバケモノ素晴らしい能力の持ち主とは夢にも思わなかったでしょう。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
ただ、脆さは相変わらず同居しているように思います。落としたら粉々に割れてしまうみたいな感じがします。高校卒業以降は希美と別の道を歩む事になりましたが、そういった面は、これからのみぞれの生き方次第と思います。世の中で起こることは”必然”ですから、高校を卒業して音大に行き社会に出ても、新たな人とも出会い、強く生きていって欲しいと思います。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
最後にプチ情報を。”みぞれ”と”のぞみ”ってものすごく間違えてしまいます。特に”のぞみ”の名前を言い間違えてしまいます。字で書くと「希美」で全然違うのですが、頭の中で”のぞみ”の事を言っているつもりが、口では”みぞれ”って言ってしまいます。
製作側でも混乱していたようで、シリーズ演出の山田さんによると「本読みの時からひどかった。話を聞いていると、あー、この人希美のことをみぞれって言ってるな」など、頻繁にあったそうです。石原監督やキャラクターデザイン池田晶子さんも「何故か、言い間違える」と語っていました。
希美のCV東山奈央さんが「ユーフォの現場って、みんな希美の名前を言い間違える」と嘆いていました。2期4話(みぞれと希美が和解する話数)のアフレコで、優子とみぞれの掛け合いの大事なシーンにて優子のCV山岡ゆりさんがみぞれの事を”のぞみ”と言い間違えていたことがあり、周囲も迫真の演技に感心していたそうなのですが、「おぉ素晴らしい!…でも、”のぞみ”って言ってないか??」という事件があったそうです(言い間違えたのはテストで、本番は大丈夫だったそうです)。その後、同じ話数でのぞみの事を”夏紀”と呼んだり(黒沢ともよさんが間違えたと思われます)と、アフレコ現場でもメチャクチャだったようです(笑)。

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