今回は、響け!ユーフォニアムで久美子が入部した時の部長であった小笠原晴香ちゃんの事を書こうと思います。
一見頼りなさそうですが、芯があって勇気がある、とても優しい部長です。
晴香「”優しい”なんて、他に褒める所が無い人に言うセリフでしょ!?」…いえいえ、そんな事はありませんよ、晴香さん。今回はいっぱい晴香部長の良い所を語ります!

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
先ずはプロフィールから。
誕生日:10月28日 さそり座
身長:165cm
血液型:O型
好きな色:白・黒
趣味:ロック鑑賞・ライブを観に行く事
特技:けん玉
好きなもの:こってりしたもの ラーメン・焼き肉
嫌いなもの:ふわふわしたもの パンケーキ・ワッフル
担当楽器:バリトンサックス
晴香は身長が165cmあり、高校生の女子にしては背が高めです。晴香と同学年のあすか・香織ともに背が高いです。
その体格とは相反して押しが弱くて優しすぎる面があり、やる気が無い上級生と対立した希美達1年生をはじめとする大量退部事件が起きてしまうような混沌とした状態の吹奏楽部の部長を、周囲から押し付けられる形で担うことになってしまいます。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
情緒不安定な所があり、困難な場面に直面するとすぐ泣き出してしまいます。先頭に立って人々を率いるというタイプでは無く、迷子の子犬のようにキョロキョロしたり、副部長のあすかにアイコンタクトで助けを求めたりします。しかし、感受性豊かであると言える所もあって、嬉しい事や悲しい事、ちょっとした事があるたびに涙しています。そういう面は副顧問の美智恵先生と似ているかもしれません。
そういう泣き虫な面で隠れがちですが、実は芯があって、腹をくくって勇気を出して行動に移せる力をも併せ持っています。楽器にかける情熱は熱くよく練習しているので、とても上手です
えきびるコンサートでは、退部の危機にあるあすかを支えるために、バリサクソロをする決意をし、ファンキーで格好良い、素晴らしい演奏をバッチリ決めています。久美子もそんな晴香部長の強い姿に目をまん丸くして驚いています。


©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
晴香の担当楽器は、YAMAHAのYBS-62というプロ仕様のバリトンサックスです。サックスは25個のトーンホールをレバーやキーで操作し、リガチャーで固定されたリードを震わせて音を出す木管楽器です。全部で600ものパーツで成り立っていて機構が大変複雑で、楽器作監の高橋さんが「これは現物が無いと描けない」と、ヤマハより本物の楽器を借りて作画したそうです。描き終わったサックス画像を拡大すると「レバーやパーツが入り組んでいて、まるで工場地帯のようだ」と、かなり苦労して作画したと語っていました。

サックスは9種類あるそうですが、一般的にはソプラノ・アルト・テナー・バリトンの4種類で、晴香のバリサクはその中で一番低音の部類に属します。
大きさが約115cm、重さ8kg近くあるとても大きな楽器ですが、それを普段は自信なさそうにオドオドしている晴香が、打って変わってブイブイ言わせるそのギャップがめちゃ格好イイ!です。ちなみにこのバリサクは、晴香のマイ楽器です(81万円)。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
晴香のキャラクターデザインは、背があってスタイルが良く外見は美人体型ですが、髪型はおさげをして地味さが出ています。スタイルと髪型のギャップがそのまま晴香自身の性格を上手く表しています。「普通にかわいい、安心できる可愛さ」と石原監督は評しています。キャラクターデザインの池田晶子さんは「デザインは、久美子はなかなか決まらなかったが、晴香はすんなり決まった」と語っています。晴香の髪型を考案している最中に原作絵が出てきて、それに寄せることにしたというのもすんなり決まった一因のようです。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
晴香部長といえば「北宇治ファイトォ~!」の掛け声で吹部の士気をあげていますが、それがなまっているのです。晴香のCVを担当している早見沙織さんによると「晴香という人物を見た時に、自然に出た”なまり”です」と語っていて、シリーズ演出の山田尚子さんもそのセリフを「たまらないイモっぽさ」と評しています。ちなみに、その掛け声には所有権(?)があり、メソメソしている晴香をよそにあすかが代わりにそれを言ってしまったときに「それ私の…」と晴香が言うシーンがありました。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
部長に就任した当初は、自分に自信が持てず、何かを決めるにも周囲に意見を求め、それを多数決で決めていました。そんな自身にコンプレックスを持っていて、特にあすかと自分を比べてしまう事もありました。
しかし、部長という職務を全うしようとする勇気と責任感は持っています。自信が無いなりにも腹をくくり前に出ようと頑張ろうとする姿を周りはちゃんと見ていて、そんな晴香部長に信頼を寄せています。副部長のあすかが率先して部員をリードしたり、親友の香織は晴香の話を聞いてあげサポートしたりして、周囲が部長を支えました。
皆に愛され支えられ頑張っていき、響け!ユーフォニアムを通して晴香の著しい成長が見て取れます。TVシリーズ1期初期の不安そうな表情と、2期の終盤の自信に満ちた晴香の表情を見比べれば一目瞭然です。
晴香は感受性豊かですので、周りのちょっとした変化にも気付きます。いくつかあるそんなシーンを今回は2つ紹介します。
滝先生が吹奏楽部の就任直後、部の活動・指導方針を決める時にあすかが「多数決で決めよう」と提案します。しかし晴香は躊躇します。部の活動方針「全国大会出場」に反対する形で葵が手を上げてしまうのではないか?と勘付きます。
事実、多数決を取った時に葵は「全国は目指さない・楽しければ良い」に手を上げてしまいます。


©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
また別のシーンで、
関西大会演奏前のリハーサル室で、あすかが皆の前で言葉を投げかけます。そのあすかの心境の変化に晴香と久美子だけが気付きます。


©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
晴香はあすかや香織がどういう人間なのかということをちゃんと理解しています。
オーディションのトランペットソロ争いの時、晴香は香織のそばにずっと寄り添っています。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
あすかに対してはベタベタするような関係では無いことが分かっています。あすかが母親の反対にあって部活を辞めさせられそうになった時には、香織の時とは違う形で支えようとします。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
晴香・あすか・香織の三人は、苦楽を共にした”戦友”のような関係と思います。彼女達が入部した当初は上級生2学年が「楽しければ良い」と遊んでばかりいた中、コツコツと練習して演奏技術を密かに磨いていました。そういう苦労(我慢)の時期を超えて部長・副部長・パートリーダーになり部の運営ができるようになってから、本気で全国大会出場を目指し、部内のゴタゴタも何とか乗り切って、それを達成することができました。
晴香はどんどん成長して前に出られるようになり、部長として牽引できるまでになりました。コンクールではテキパキと部員に指示を出しています。
自分から「先生!一言いいですか?」と、率先して自身の熱い思いを言えるようになりました。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
全てをやりきった吹奏楽部幹部達。後輩の演奏に優しい眼差しを向けます。
卒部会で同じテーブルに座った4人の表情が、とても良いです。
(左から香織・副部長あすか、晴香部長・コンサートマスター鳥塚ヒロネちゃん)

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
途中、何度も部長を辞めたいと思った晴香。しかし凹むことはあっても決して投げ出さず、勇気を持って最後までやり抜きました。CVの早見沙織さんは晴香の事を「なんて良い具合に残念で可愛らしい部長だろう。割と素直で、凹んだりするけれどひねくれず、頑張ろう~となる子」と語っています。晴香は皆に「頑張れ~」と支えられて愛され、前に進むことができました。でも心の中にある楽器への熱い思いがにじみ出る場面もあって、周りにもそれが伝わっていたと思います。高校を卒業した後もサックスを続けていく事を心に決めていたというのも納得です。
これからも頑張れ!晴香!
※当ブログで引用している画像・その他データの権利は 武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 に帰属します。