• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2020年02月29日

希美&みぞれ ”互いに素” という関係、そして行方

希美&みぞれ ”互いに素” という関係、そして行方
「リズと青い鳥」では、希美とみぞれ二人の関係が描かれています。
この二人の関係について興味深い話を聞いたので、私なりの考えを織り交ぜてちょっと書いてみようと思います。


先日、「コンクール自由曲『リズと青い鳥』希美が出した答え 」にて、このような事を書き記しました。

「希美は音楽が大好きです。一方、みぞれは音楽なんて二の次のような言動をします。しかし新山先生に才能を見出され、音大進学を進められたのはみぞれだけでした。フルートとオーボエが向き合う状況に置かれ、希美の、みぞれに対する心を闇が支配します。音楽に対する姿勢、進路の事…二人はすれ違う一方で、”互いに素”の状態が続きます。」

”互いに素”とは、劇中で数学の先生の講義がありました。
「3と5のように最大公約数が1以外の共通した約数が無い関係、そのような2つの数字を”互いに素”というわけです」
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


二人の関係は交わることの無い「disjoint(互いに素)」でした。オーボエとフルートの掛け合いはどこか合わず、不協和音になっていました。
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


私はここで解釈を終えてしまっていたのですが、そこには続きがあるというのです。


”互いに素”の性質を持つ数列に、フィボナッチ数列というものがあります。

フィボナッチ数列というのは、最初の2つは”1”で、3つ目からは前の2つを足した数(1+1="2")になります。次は(1+2="3"、2+3="5"、3+5="8")と続きます。
1,1,2,3,5,8,13,21,34…というように数が並びます。

下駄箱の番号にある数字(2,3,5,8)にフィボナッチ数列が示されていました。
alt
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


そして、フィボナッチ数列の隣同士は”互いに素”なのです。
 

劇中の絵本パートで、青い鳥=希美を示唆していた場面で、リズは「3つの木の実」を髪飾りにします。
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


物語が進み、青い鳥=みぞれを示唆する場面では、髪飾りが「5つの木の実」に変化します。
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


そういう事で、希美は「3」、みぞれは「5」を示し、3と5は”互いに素”=希美とみぞれの関係はdisjoint、交わりを持たない関係であるという事を示唆しています。

みぞれは”3匹のフグ(3=希美)”の世話をし、可愛がっていました。
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   



実は、フィボナッチ数列は別の特徴を持っています。それは、
数列が続くと”黄金比に収束する”というのです。

黄金比とは安定的で最も美しいとされる比率で、
1:(1+√5)/2、近似値1:1.618、8:13となります。

ピラミッドの高さと底辺の半分の比や、ミロのヴィーナスのプロポーション(頭からおへその長さと、おへそからつま先までの長さの比)など、美しいと思えるものは黄金比で構成されています。

フィボナッチ数の隣同士を限りなく割り算していくと、いずれ黄金比に収束します。

黄金比
 1:β=    1:1.61803…

フィボナッチ数列の隣接項間の比
 alt


記事「コンクール自由曲『リズと青い鳥』希美が出した答え 」で、このように前記の続きを書きました。

「しかし、みぞれのオーボエが覚醒。圧倒的な演奏力を見せつけられます。が、みぞれの方からの”大好きのハグ”を通して本当の心の内を知った希美は、「みぞれのソロ、完璧に支えるから 今はちょっと待ってて」と、みぞれに伝えます。二人が本当の意味で分かりあえた瞬間でした。」

要するに、紆余曲折を経てやっと二人は分かり合え(joint)、スタート地点に立つ事が出来たという事です。
altalt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


劇中、希美が「物語はハッピーエンドがいいよ」と言います。また、「リズが逃がした青い鳥って、リズに会いたくなったら また会いにくればいいと思うんだよね」とも言います。

山田尚子監督が考える”ハッピーエンド”とは、それぞれが自分の夢や目標を追って、一見”互いに素”のように交わることの無い別々の道を歩むように見えるかもしれないけれど、それが叶ったらまた戻って来て、最終的に二人の関係は”黄金比に収束する=美しい関係に収束する”という意味であると解釈できると思います。
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


スタート地点から出発した二人は、通過点である吹奏楽コンクール関西大会第3楽章の掛け合いで素晴らしい演奏が出来ました。
そして二人は高校を卒業して別の大学へ進学していきますが、時が経ちそれぞれの夢を叶えた後に、二人はまた戻り、関係は黄金比にどんどん近づいていく=美しい関係になっていく…そういう歳を重ねていく二人の関係を示唆しているのだと思うのです。
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


山田尚子監督はここまで計算して「リズと青い鳥」を制作していたという事になります。山田さんと京アニはスゲーと思いました。



「響け!ユーフォニアム」のシリーズ演出は山田尚子さんが担っています。

希美とみぞれだけでなく、久美子と麗奈、優子と夏紀、あすかと香織など、いくつもの二人の関係を描いています。

「誓いのフィナーレ」では麗奈が「久美子と離ればなれになってしまうのではないか」と不安な気持ちを吐露していました。しかし、二人はそれぞれ目標を持って夢を叶えるために途中離れることはあっても、いずれまた再会し、更に美しい関係になっていくような物語に仕上げて行ってくれるような気がしています。
alt
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会   


「物語はハッピーエンドがいいよ!」


※当ブログで引用している画像・その他データの権利は 武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 に帰属します。
ブログ一覧 | Sound! Euph. ~調査・考察 | 音楽/映画/テレビ
Posted at 2021/12/19 02:38:25

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

向島百花園とすいみつ氷
OHTANIさん

再び、この世界の片隅に。。。
avot-kunさん

ごるぁアマゾン
別手蘭太郎さん

週刊】今週の国土交通省発表(リコー ...
かんちゃん@northさん

いざ、乗り込むと!
shinD5さん

8/15 金曜日の朝‼️
ミッキーたんさん

この記事へのコメント

2020年2月29日 22:37
こんばんは。
いつものことですが興味深く読ませていただきました。
ありがとうございます。
誓いのフィナーレでなく「リズ鳥」ネタでくるとは(笑)。

「リズと青い鳥」、私には難解で消化不良なので、
こういう考察はありがたいです。
[disjoint]→[ disjoint]、印象的ですね。

山田監督のインタビュー記事で、
disjoint(互いに素)ってことを知り、
山田監督と京アニの凄さを思いながら、
お互い素数同士なんだ~、なるほど~、何となく分かる~、
って感じが私的には限界です。(笑)

明日の定演は延期になりましたが、
何らかの発表があるのですかね?
今後のことが気になるので、早く知りたいです。

コメントへの返答
2020年2月29日 23:28
こんにちは!

色々な意見がありますが、私は「リズと青い鳥」と「誓いのフィナーレ」は密接な関係で構成されていると考えています。視点が異なるだけで同じ時系列ですので。

「リズと青い鳥」の結果が「誓いのフィナーレ」に反映されている事柄もあれば、その逆もあるように思います。

山田さん作品は難解な所が多いですよね。多くの人が作品を観ていても、何年も経ってから解明される事もたくさんあります。

定期演奏会をはじめとするイベントがみんな延期や中止になってしまって混乱していますね。
私も遠征計画を立てていましたが、見合わせる事にしました。
2020年2月29日 22:40
ごめんなさい。
[disjoint]→[joint]の間違いでした。
申し訳ありません。(-_-;)
コメントへの返答
2020年2月29日 23:29
ノープロブレムです!
2020年2月29日 23:52
こんにちは~。

下駄箱のは気付きませんでした!
映画として物語の導入部分でボケーっと見がちなところなのにネタ仕込んでるんですね(笑)
コメントへの返答
2020年3月1日 0:15
こんにちは!

山田さんが絡んでいる作品は油断できないですね(笑)。

花・アイテム・数字などなど、示唆しているものがたくさん盛り込まれていますね。試験管立てに振られた数字は素数でしたし、試験管に書かれている”F”の文字を16進数と捉えると、10進数に変換して"15"…3×5となり、のぞみぞれの掛け合いを意味しているとか、DNA模型の描写で天才みぞれを示唆したり、白いオシロイバナが咲いていたら花言葉から示唆しているものを捉える、等など…。
下駄箱の数字に気づいても、それが何を意味しているのかまではなかなか分かりません。柔軟な発想で解析しないと見えてこない…まさに脳トレですね(笑)。

山田さんは意地悪(?)ですからあまり語ってくれませんね。「映像で見たもの、聴いたものが全てです」とだけ言うのですよね。

きっと、まだまだ仕込まれたネタがたくさんあるのでしょう。数年後に誰かが発見する事もあると思います。
2020年3月1日 0:43
思わず唸ってしまいました。

ALTO Xさんの考察は相変わらず奥が深いですね。

余談ですが誓いのフィナーレを連日見ていて新入生の楽器選択のときさつきちゃんが「ウォーターとオイルの関係やねぇ」ってトボけてますが

あの“ウォーターとオイルの関係”っていう言葉にもちゃんとメッセージ性が込められていたのかなとなんとなく感じたのは私だけでしょうか。
コメントへの返答
2020年3月1日 1:16
”ウォーターとオイルの関係”…深そうですね。これだけで1本記事が書けそうです。

慣用句としての”水と油”という意味合いとはちょっと違うとは思いますが、さつきと美玲を水と油に投影していると仮定すれば、混ざることは永遠に無いですよね。しかし水と油は乳化剤を加える事でくっつく事が出来ます。その乳化剤の役割を誰が担ったのか?という所で見てみると、チューバチームの葉月では荷が重すぎて、最終的に久美子が担ったと言えると思います。久美子には部長になれる資質があった(もしくは鍛えられた)のでしょうね。

やっつけでこんな感じでサッと考えてみましたが、掘り下げるともっと出てくるような気がします。引き続き、繰り返し「誓いのフィナーレ」を観ていきたいと思いました。

プロフィール

愛華ちゃんかわいい~♪
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

      1 2
345 67 89
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

PCのHDDが壊れる前兆かもしれない 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/07/21 02:25:02
北宇治高校吹奏楽部 ソロパート争いについて再考する(優子視点)  
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/06/23 23:08:18
【自分用】エンジンオイルの使用限界は8,900kmでした 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/05/30 05:00:37

愛車一覧

スズキ アルト スズキ アルト
HA36 ALTO Xグレードです。 新車購入から9年半・260,000km超えました。
スズキ GSR250F スズキ GSR250F
憧れのフルパニア仕様にしました。 暖かくなった5月と涼しくなった10月の数日しか稼働しま ...
日産 スカイラインGT‐R 日産 スカイラインGT‐R
13年間BNR34GTRに乗っていました。新車で購入し19万キロ走りました。これ以上無い ...
スズキ GSF1200 スズキ GSF1200
GSF1200に乗ってました。 スズキヴェクスター150からの乗り換えでした。九州阿蘇や ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation