これまで部の為に頑張ってきた3年生の香織先輩、”特別になる”と妥協を許さないストイックな新1年生の麗奈、この二人がソロパート争いをする話があります。
この場面、何度観ても、なかなかしっくりした理解が得られません。
過去にも記事にしたことがありましたが、改めて考え直してみたいと思います。
今回、トランペットソロパートを争う2人の、
簡単なプロフィールを紹介しておきます。
3年生 中世古 香織(なかせこ かおり)

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
誕生日:9月3日 おとめ座
身長:166cm
血液型:A型
好きな色:白
趣味:お菓子作り・あすかとカフェ巡り
特技:茶道と華道を年少から習っている
好きなもの:スイーツ・お芋
嫌いなもの:虫・人混み
1年生 高坂 麗奈(こうさか れいな)

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
誕生日:5月15日 おうし座
身長:158cm
血液型:O型
好きな色:青・白
趣味:映画鑑賞
好きなもの:パスタ、柑橘系のジュース
嫌いなもの:納豆
今回は、香織に主軸を置きます。
香織は”古風”な子で、とても努力家です。
その美貌から”マドンナ”と周囲から呼ばれていますが、全く飾りません。
吹奏楽部の過去の苦い経験を乗り越えてきた強さがあります。
”トランペットが好き”という、真っ直ぐな気持ちを持っています。
ちなみに香織のトランペットは、祖母から譲り受けたものです。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
天才的で飛び抜けたあすかとは違い、コツコツと努力を積み重ねてきたタイプです。トランペットに対する愛情が人一倍あり、凛とした雰囲気を持つ芯の強い女の子です。
これまで学年順でソロパートを決めていた北宇治吹奏楽部ですが、
今年から実力主義の方針に変わりました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
香織は去年の大量退部事件を経験し、揉め事が無いように振る舞い、自分より他人を優先させてきました。
しかし3年生になりコンクールは今年が最後。
「自分が吹きたいフレーズを思いっきり吹きたい、自分の為にソロをやりたい」と思いました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
しかしオーディションを実施した結果、ソロは新1年生の麗奈が担当する事になってしまいました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
オーディションが終わりソロは吹けないと決まった後も、香織はソロパートの練習を続けていました。
オーディションの結果に不満があるわけではありません。ましては同情して欲しいわけでもありません。ただただ、自分に納得できていませんでした。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
一方、審査が密室で行われた為、部員達の間でオーディションの結果に疑念が生じる事態となっていました。
部の雰囲気が悪くなり、メンバーの集中力も落ちて練習に身が入らない状態が続きました。
顧問の滝先生にも決定打が無く時は過ぎていましたが、副顧問の美知恵先生の「良い音は良いと言わざるを得ない、音楽は嘘をつかない」という助言を得て、公開オーディションを行う事を思いつきます。
再びオーディションのチャンスが到来しました。
「もう一度やらせてください」と手を上げる香織の姿がありました。
今度こそベストを尽くすという固い決意が表情に出ています。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
公開オーディションが行われる事になり、部の雰囲気は改善されました。
再オーディションに向けて、香織は必死に練習を重ねます。
「出来る事は全てやり尽くす!」
オーディション前、控えている香織の元に晴香が寄り添います。
晴香「納得できるといいね」
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
続けてこう聞きます
晴香「どうして あすかなの? どうしてそんなに こだわるのかなって」
香織があすかに拘る理由って、何でしょう?
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
あすかは香織にとって特別な存在です。
「見透かされてるような気がするんだよね 私が思ってること 何でも」と香織は言います。
「だから あすかを驚かせたい あすかが思ってる私の一歩先を 本当の自分が行きたい」と答えます。
あすかへの憧れや拘り・想いが、香織自身の原動力になっています。
しかし、あすかは常に厚い仮面を被り心を開かず、本心を見せようとしません。
しかも切れ者です。一筋縄ではいかないでしょう。攻略はかなり難しそうです。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
そんな難敵のあすかを驚かせ、一歩先を行くというのは、なかなか骨が折れる面倒くさい事です。
でもそれをすることで、全てを超越しているあすかと同等になれ、自身もステップアップ出来る。そして憧れのあすかにもっと近づき、超えたい…そう香織は思ったのかもしれません。
3年間一緒に苦楽を共にしてきた”戦友”として、香織のあすかに対する気持ちを理解した晴香は、香織を励まします。
晴香「面倒くさいね」
香織「フフ、面倒くさいね 本当に」
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
いよいよ再オーディションが始まります。
これまで積み重ねた香織の音色は、十分コンクールで戦えるレベルでした。
しかし麗奈の、ホールの後ろまで突き抜けるような圧倒的な演奏をその場にいた全員が目の当たりにします。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
香織には優子と晴香が拍手(投票)をします。
優子は、たとえ麗奈が上手いと分かっていようとも、これまで自分達の為に犠牲になってくれた香織を応援しました。”他人の為に行動する”という事は、敬愛する香織が教えてくれた事だから…。
麗奈には久美子と葉月が拍手(投票)します。
同票となり、滝先生はやさしく香織に問いかけます。
「あなたがソロを吹きますか?」
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
香織「吹かないです 吹けないです」
良い音は、良いと言わざるを得ない―ー
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
全てを出し尽くし、やりきった香織に後悔はありませんでした。
晴れやかな顔で麗奈に視線をおくる香織がいました。
香織にとっての”ステップアップ”
それは、”承認欲求”から”自己実現”レベルへの昇華とも言えると思います。
「誰がソロとか、どうでもいい」とあすかは言います(本当は別の意味です)。
香織にとっても、ソロに選ばれる事に拘る必要なんて無いのです。
だって、香織は「トランペットが上手じゃなく、好き」なのだから。
自分の出来る事はすべてやり尽くしました。しかし麗奈の方が数段上手でした。
全国行きを狙う北宇治のソロは「上手い人が吹くべき」。
香織はオーディションを通じて、次世代の麗奈に託しました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
「でもねぇ、やっぱり北宇治吹部に尽力した香織先輩に最後は吹かせてあげたかったなぁ~」…そう思ったりもします。
サントラに収録されている「香織先輩ソロVer.三日月の舞」。本編では出てこない幻の一曲です。
おそらくスタッフのそんな気持ちがこのバージョン収録をさせたんだと思います。
そう思って聴くと、じーんとします。
※「響け!ユーフォニアム」公式吹奏楽コンサート ~北宇治高校吹奏楽部 第4回定期演奏会~(関東公演)にて、香織先輩の楽器を担当した洗足音楽大学フレッシュマン・ウインド・オーケストラの富岡愛彩実さんがソロを担当する三日月の舞が披露されました。素晴らしい音色で感動しました!
※当ブログで引用している画像・その他データの権利は 武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 に帰属します。
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Posted at
2020/08/09 23:21:37