響け!ユーフォニアム TVシリーズ見直し企画 1期2話です。
要素がたくさんあるので、何回か分けようと思います。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
タイトルだけ見ると、「ユーフォの担当になりました。これからもよろしくね」的な意味に捉えそうです。
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「絶対ユーフォニアムが似合う!そんな顔をしてる!」
楽器選びで、楽器経験者(ユーフォ)の久美子は、あすか先輩に目を付けられます。
元々久美子は、お姉ちゃんの麻美子に憧れて、小学4年から楽器を始めました。
麻美子がトロンボーンを担当していた為、久美子もトロンボーンがやりたかったのです。しかし…
先生「ユーフォニアムがいません。希望する人、いませんか?」
久美子は仕方なくユーフォニアムを担当しますが、中学になってもユーフォは希望者が少なく、自分から言い出せない久美子はユーフォを担当する羽目になってしまっていました。
(そもそも、久美子は「E」(Euph)のシャツを着ているじゃないですか!!)
そういう経緯があったので、高校になってからトロンボーンに変えようと思っていた久美子は、ユーフォをやらせようと攻撃してくるあすか先輩をかわそうとします。
あすか「絶対ユーフォニアムが似合う!そんな顔をしている!」
久美子「どんな顔ですか…」
あすか「一言で言うと地味。良い意味で。」
久美子「意味分かりません!!」
しかし幼馴染の斎藤葵と再会し、久美子がユーフォ経験者であることをバラしてしまいます。
葵「低音に欲しいよね。小学校の頃からユーフォだもんね、久美子ちゃん」
あすか「ほほ~ お姉さんとちょっとあっちで話そうか」
久美子「結局ユーフォによろしくだよ」
とまあ、結局高校でもユーフォを担当する事になってしまった久美子。
そういう訳でタイトルは、その意味の「よろしくユーフォニアム」です。
しかし、これからの吹部生活で体験する人との出会いを通じ、ユーフォニアムという楽器が好きになっていきます。真剣に楽器(自分)と向き合い、久美子のその後の人生を左右することになる…そういった意味をも含む「よろしくユーフォニアム」でした。
あすか先輩は頭の回転が早く洞察力があります。久美子を見た瞬間「ユーフォニアムが似合う」と口にしている所は、みどりと同じです。
その後あすか先輩は、自分と同じ型の(色違いの)ユーフォニアムを久美子に吹かせますが、久美子の「ユーフォっぽさ」を初見で感じとったのだと思います。
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「3年なんて、あっという間だから」
北宇治高校吹奏楽部に、滝昇先生という新しい顧問が就任しました。
滝は部員達に「今年の目標を決めてください」と問います。
「全国大会を目指すか、緩く楽しくやるか、自分達の意志で決めてください」
晴香部長がオロオロしていると、あすか副部長が「多数決で決めよう」と提案します。
晴香「多数決?!」
晴香には心配事がありました。そして、その心配事は的中してしまいます。
大多数の人が”全国大会を目指す”という方に挙手する中、”目指さない”という方に、葵が手を上げてしまいます。
この出来事は、後に葵の退部へと繋がっていきます。
そしてこの時、久美子はどちらにも挙手する事が出来ませんでした。
学校からの帰り道、みどりから「高坂さんの目を気にして手を上げられなかったのでは?」と核心を突かれてしまい、久美子は苦悩します。
中学の時、麗奈に対し自分が吐いてしまった「本気で全国に行けると思ってたの?」という言葉。罪悪感をずっと引き摺っています。
そこへ、葵が通りかかります。
久美子は麗奈との件を葵に打ち明けます。
久美子「私、きっとどこかで自分は悪くないって思ってるんだよ、だから謝るのもイヤで。だったら気にしなきゃいいのに、それもイヤで。」
そう話しながら、ベンチ近くに生えていたカラスノエンドウを千切って、豆笛を作ります。
カラスノエンドウは豆笛を作る草の代表ですが、花を咲かせます。花言葉は「小さな恋人達・喜びの訪れ・未来の幸せ」。但し、今は花をつけていません。
葵「高坂さんに、私悪くない って言いたいんだ」
久美子「うん… そうかも」
と、グチョグチョと変な音を立てながら豆を取り出します。
ここで久美子の心境を表したカットに切り替わります。内に秘めたグチョグチョとした嫌な想い(豆)を綺麗サッパリ取り出したいと思っている演出になっています。
そして、豆笛を吹きます。「プープー」
葵「鳴るねえ」
久美子「一応、吹奏楽部なので」
ここで葵も立ち上がり、豆笛を作りながら話し始めます。
葵「去年も一昨年も、目標は全国大会ってかいてあったけど、本気で目指している人なんていなかったんじゃないかな」
ちょっとまってください。
確か去年、真面目に練習して全国大会を目指そうと言っていた1年生達がいましたよね?
葵はどうして誤魔化したのでしょう?(別記事で考えたいと思います)
葵が久美子と語る画面は、ユラユラと揺れて動揺しているようにも感じます。
ここから家に帰るまで、葵のカットだけ、ゆらゆらと揺れ続けるのです。
葵自身に思う所があり、部活を続けるか退部するか悩み、そして退部を選択する事になるわけです。そこへの伏線がこの一連のシーンで見て取れます。
葵「きっと、そうするしかないんだよ。 本音を見せないようにしながら、一番問題の無い方向を探ってまとまっていく。学校も吹部も 先生も生徒も。」

夕方の逆光でとても美しいシーンですが、どこか寂しく切ない雰囲気になっています。
二人並んでいますが、その視線は見事なまでの平行線を辿っています。久美子は入部したばかり、葵は今年が最後です。それぞれ想いがあり、考えて(見て)いる所が違います。
滝先生は、これまでの北宇治吹部の雰囲気と流れを全て破壊します。年功序列制のコンクールメンバー選出から実力主義へ180度舵を切ります。そこに必死についていこうとする者、脱落する者…。しばらく、葵の苦悩が続くことになります。
石原監督は逆光の演出が好きです。「逆光は、キャラクターを綺麗にみせる事が出来る」と語っています。
葵は豆笛を投げ捨てながら「全国目指さない方に手を上げたのはアリバイ作り」と言います。
そして「久美子ちゃんも気を付けたほうがいいよ 3年なんてあっという間だから」と言い残して、葵は去っていきます。
葵の行動の、豆笛(楽器)を投げ捨てた=吹部を辞める という伏線になっています。
久美子は葵のそんな想いは知りませんから、葵の言葉を「3年なんてあっという間だから、高坂さんと早く仲直りした方がいいよ」という風に捉えました。
久美子は次の日、麗奈と決死の覚悟で話をする行動に移します。
麗奈「高校もユーフォだね」
久美子「そう…だよ」
麗奈「そっか」
交わした言葉はそれだけでしたが、麗奈が怒っている様子も無く、普通に話が出来たので、久美子はホッとしました。
という事で、麗奈と会話する事に成功し、これから吹部で活動しようとしていく久美子と、吹部を退部する方向へ進もうとする葵という対比が描かれていました。
葵については、別記事で改めて展開しようと思います。
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