
『響け!ユーフォニアム』5周年記念に伴い、新たな企画がスタートしました。
北宇治カルテットキャスト4名によるインタビューリレーを毎月ゾロ目の日に公開するというものです。
<インタビュー公開予定日>
9月9日(水) 黄前久美子役・黒沢ともよ編
10月10日(土) 加藤葉月役・朝井彩加編
11月11日(水) 川島緑輝役・豊田萌絵編
12月12日(土) 高坂麗奈役・安済知佳編
9月9日の今回は、黄前久美子役・黒沢ともよさんのインタビューです。
~~~~~~~~
黒沢ともよさんのインタビューを読んだ感想を少し。
インタビューにもある通り、『響け!ユーフォニアム』が始まったのは2015年4月。黒沢さんが大学1年生の時で、収録はその前の高校3年生から始まっていました。劇中の主人公・久美子とほぼ同じ年代ということもありますが、そのあまりにも等身大な演技に舌を巻きました。
黒沢さん自身が非常に研究熱心で、アフレコの時は「その時の空気感、特に湿度が感じられる演技を心がけた」とお話されていたことがあります。
久美子が1年生から2年生に進級し3年生になる手前までの2年間、現実は5年の月日が経過しているのですが、インタビューにもある通り、黒沢さん自身の成長がそのまま久美子に反映されているのが良く分かり、黒沢さんの作品に全力でぶつかっていく演技が、久美子という人物のリアリティある表現に一役買っていると思います。
インタビューで”本当の意味での音楽作品”とお話されていますが、キャラクターの想いは全て「演奏にぶつける」というのがこの作品の特徴で、”演奏の音”で全てが表現されています。(1つのキャラクターに対し、声担当と楽器担当の二人がいます)
例えば、先日記事にした「香織先輩と麗奈のトランペットソロ対決」も、投票権のある部員達に「あぁ、麗奈の方が上手だわ」とセリフで言わせる事も出来たのですが、演奏のみで全てを語りセリフは一切無し(石原監督・斎藤音楽プロデューサー談)という演出をしています。
麗奈の演奏技術や人間としての成長は、麗奈自身のセリフや立ち振る舞い以上に、麗奈が吹くトランペットの音色に全てが乗っていて表現され、入部当初の麗奈の音色とソロ対決後の音色では違いがあります。このように、音色で視聴者に伝え表現するという作品は、数少ないと思います。
「彼女(彼)達が吸った息が胸の中を通り楽器に吹き込まれ、想いと一緒に音色になって発せられる」(シリーズ演出・山田さん談)という表現方法が、この作品の柱になっています。
北宇治の演奏は、プロ楽団の完璧な演奏を一発聴かせるというものではなく、演奏技術が未熟だったり、心境で音色が揺らいだりしていて、俯瞰してみると未完成な音楽なのですが、それが彼・彼女達の等身大であり、生っぽさでもあると思います。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
黒沢さんの好きなキャラクターに「久美子のお父さん(黄前健太郎)」というお話が出てきますが、久美子の性格の根底には父の存在があったのだと再認識しました。
久美子の父・健太郎はとても厳格で、正面から正論で物を言います。”糞真面目”という言葉がピッタリな人です。
久美子は一見、適当な性格のように見えますが、加部先輩から「黄前ちゃんは糞真面目だから」と言われます。
確かに、麗奈と香織先輩のソロ対決の問題や、希美先輩の部活復帰問題、あすか先輩の退部危機問題、後輩の奏のオーディション問題など、余計な所に首を突っ込む所はありますが、それぞれの問題に対し正面から向きあい、走り回ったり、言葉をぶつけたりして問題解決に一役買ってきました。
それもこれも、父親譲りの”糞真面目”な面が功を奏したのではないかと思います。
劇中に出てくる部員達一人ひとりはそれぞれ、性格や趣味嗜好は勿論、部活に対してのモチベーションや楽器に対する想い・考え方が違います。
それらの部員を1つに結束させているのが”コンクール”の存在であり、府大会・関西大会・全国大会に向け、そのたびに思い悩み、努力し、自身と葛藤した結果がコンクールでの演奏に集結します。
北宇治の演奏を聴いた視聴者は、演奏の”音色”からそれぞれのキャラクターが過ごしてきた日々と成長と感じることが出来る…”本当の意味での音楽作品”と表現した黒沢さんの言葉は非常に説得力がありました。
~~~~~~~~
ゾロ目日付で引き続きインタビューが聞けるという事で、
次回葉月役の朝井彩加さんのインタビューを楽しみにしています。
Posted at 2020/09/09 21:30:44 | |
Sound! Euph. ~イベント | 音楽/映画/テレビ