
最近ハマりつつある アニメ&ゲームの「艦隊これくしょん」(艦これ)。
あまりこういうスタイルのものを体験した事が無かったので、とても面白く感じています。
所謂、敵を倒すゲームなのですが、その着目点が他のコンテンツと違うと感じています。
普通、敵を倒すようなゲームは、例えばシューティングゲームのようなものであれば、自分(プレイヤー)は自機を操って敵を打ち落としていきます。
しかし「艦これ」は、直接キャラクターを操って敵を倒すものではありません。
プレイヤーが「提督」となり、装備や補給などを用意し編成を組み”段取る”事だけ実行します。
後は自動的に、編成したキャラクター(艦娘)達自身が戦術を考えて敵と戦います。プレイヤーである提督はただその結果をじっと待つだけです。
もし戦いの途中で艦娘(キャラクター)が大破したとしても、提督であるプレイヤーは何も手を出すことができません。全てのシーケンスが終了するまで艦娘達は、提督から与えられた装備とスキルで戦い続けます。
見事勝利するか、ボコボコにやられるか、成り行きを見守ることしかできません。
これは、物事の原理原則といった本質をついていると思うのです。
仕事でも遊びでも、成功のカギの80%は「段取り」と「裏方によるコントロールとバックアップ」にかかっています。
例えば製造業の場合、作業をする前に工程設計を行い、作業手順書や試験検査表、治具や工具などをあらかじめ整備して揃えるといった「仕事のやり方」を明確に決めておきます。その後、実施計画を立てます。
作業する人(または機械)はそれに従い作業を進めます。工程の動向を品質管理手法でコントロールし、場合によっては作業する人をバックアップして良品を製造できるようにし、出来上がったものを検証して出荷します。
良品を作るのは実際に手を下して作業する人が偉い!というのも勿論ですが、あらかじめ成功する道筋をたてて、それに則り仕事を行う過程の様子を見ながらコントロールし、結果として良いものが安定して生み出せる方式で物事を進めることが肝要です。
仕事だけでなく遊びでも、事前の調査や段取りをきちんとしておけば、行きたい所を漏らさず巡る事が出来、出かけてからも無理なく楽しめます。
※あえて「行き当たりばったりで行先を決めない」という遊び方もありますが、それは決めないという”段取り”をした事であり、何が起こっても動じず、それ自体を楽しむという心構えをあらかじめしてから遊びに出かけるという事です。この手法は”遊び”だから許されるものですが。
史実には詳しくないのですが、
日本軍が負けた原因は、目先の戦術に気を取られて兵站(≒段取り)を軽視したからで、真珠湾攻撃の奇襲に成功したにも関わらず、そこにあった補修用のドックや補給タンクを攻撃せず放置した為に、敵が大破した艦艇を修理してしまい、次の戦いで復活してしまったという話を聞いたことがあります。
艦隊これくしょん(艦これ)の開発にあたったゲームクリエイターの田中謙介さんは、艦これを「兵站のゲーム」とお話しされています。
戦場に送り出した艦娘たちが勝利するのは、兵站次第という事になります。
このゲームはそれ以外にも「育成」という要素と、艦娘という形で擬人化した「萌え」要素を含んでいます。
プレイヤーは提督として、将来的にどんな形の編成を組むかを考えながら艦娘たちを育成し、どんな戦いにも勝てるようなチームを作っていきます。
ゲームの初期値で100人(艇?)までの艦娘を所持する事ができるのですが、提督としてゲームで育成していると、特定のお気に入りの艦娘が出来たりします。
このあたりは、育成ゲームの真骨頂です。
艦これゲームで他には殆ど無い要素として、艦娘を「轟沈」させたら、二度と戻らないという事です。
苦労して育てた艦娘は勿論、装備していた武器もすべて失います。
大抵のゲームは救済要素があり、例えばリザレクション魔法を使って生き返らせたり、課金アイテムで復活させるなどのシステムがありますが、艦これには一切ありません。
この事について田中謙介さんは、「艦これは史実が元ネタになっていて、実際の戦争で戦い沈んでいった艦艇の事を何等かの形で紹介したいという想いから立ち上がった企画で”悲しみの史実や喪失感・痛みを感じさせる為”」と語っています。
この「轟沈」というキーワードが、艦これ「アニメ版」に繋がっていきます。
Posted at 2020/11/01 05:58:30 | |
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