
今年、昭和28年発売という古い真空管ラジオを修理した。ヤフオクには、同じような古いラジオを修理した後、綺麗に塗り直し、痛んだ布を張り替えて出品している方がいる。それなりの値段になっているが、かけた手間を考えるとむしろ安いと思ってしまう。うちのは自分が聞ければ満足だったので、外観はそのままで、過ぎた年月を感じる外見になっている。もしこれを知らない人が見たら、「こんな古いラジオもう動かないでしょう」と言い、「えっ、まだちゃんと音出るんだ、意外と長持ちするんですね!」と驚くだろう。そんなわけはない。67年前の製品は修理して劣化した部品を交換しないと動かない。
850はそこまで古い製品ではないが、それでも製造後まもなく四半世紀なので、一般的な家庭用製品のライフサイクルで言えば普通に古い。だから、大きな故障はなくとも、なにかしら手を入れないと維持できないのはまあ当然だ。自分はものぐさな人間なので、新車のような状態に戻し、メンテフリーにできるのであればそうしたいし、そうならないのであれば、その方法がとれるまでしばらく放置、という方向性だった。洗車で例えれば、ちょっと汚れたらすぐ洗車ではなく、いずれ大きく汚れた時に徹底的に洗おう、という考え方に近い。
しかし、最近この考え方は古い車の維持に合わないと気付いた。例えば、ゴムやウェザーストリップが白化したとすると、最低3〜4年はメンテフリー化できるケミカルグッズとか出ないかな〜と思いつつ放置する。そうじゃないんだな。根本的な解決方法は無いから、気づいたときにシリコン塗ったほうが見た目も良いし長持ちする。必要なのはマメな手入れとそのために費やす時間。

人間だってそうだ。年を取れば身体のあちこちにガタがくるが、若者や少年の身体に戻す根本的な解決方法は、無い。若い頃より弱く脆くなっていると配慮して、労って使うしか長持ちさせる方法は無い。古い車は新車と同様には戻せないのである。ファッションや見た目だけで旧車を選ぶのは、全てのメンテを他人に依頼できる位、お金に余裕がある人でない限り、やはりおすすめできない。
ラジオは家の中で使うものだし、外見が古いことが故障や劣化の直接の原因になることは無いが、車の方は外見が悪いとちと可哀想である。これは車の尊厳の問題なので、時間を作ってチマチマとマメに修復してあげねばならぬ。色が褪せたら、また塗り直せばいい。

とか考えながらゴムとか樹脂とか手入れしていたらテールゲートのストッパーのプラスチック(9152207)がポキッと折れた。ええ、これもしかしてリアバンパー外さないと交換できない奴??
Posted at 2020/11/18 16:19:57 | |
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