TLFの充電系を改修
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
12時間以上 |
1
短命に終わったLEOCHの4.5Ahバッテリを新品に載せ替えたばかり。
4回もツーリングに出たら、また逝ってしまうのだろうと思うと、クレームで新品になったことを素直に喜ぶ気にはなりません。
ただ このバッテリ、電圧が非常に安定していてるので、捨てがたいのです。
何とか使えないものかと、猿知恵を絞ってみます。
毎度のことながら、非常に強引な想定をします。
このバッテリの寿命は、充放電の「回数」が支配的と考え、短命に終わった理由は浅い充電を繰り返した結果とします。
資料によれば、30%の浅い放電では1200回。
搭載から1年の使用距離は1000kmなので、単純に回数で割ってみると、充放電サイクルは0.8km。
LED化しているので、実際には0.8kmで30%も消費することはないでしょうけど、そこは無視して寿命1200回と考えます。
(たぶん1%とか2%に過ぎないと想像)
時間で見てみると、250kmのツーリング4回。
1回の運転時間をおおよそ8時間とすると、サイクルは1.6分。
回数で考えて4年保たせるには、充電を6.4分毎にすれば良いことになります。
指定電圧に達したところで充電をやめ、ある電圧まで低下したら充電を再開できれば、充放電の頻度は下がるはず。
でも自分の知識で こんな制御回路を作るのは到底無理。
2
汎用の電子パーツを探してみたら、良さげな製品みっけ。
品番HX-M604の、電源コントロールユニット。
これでできることは、高い側の設定電圧より高くなったら、リレーオフ。
その後、低い側の設定電圧を下回ったらリレーオン。
瞬間30Aまで流すことができる代物。
で、買ったは良いものの、用途には今ひとつでした。
オートバイの充電電圧は上下が激しく、充電を停止する電圧の設定が難しいのです。
・バッテリの充電状態によって、すぐに設定電圧をオーバーして充分な充電ができない。
・もしくは設定電圧以下の状態が続き、このユニットを使わないのと同じ状態になる。
同じ品番で、見た目ウリニコでも、若干のパターン違いや、数カ所の抵抗有無など違いがあります。
タイマー機能で、ハンチングを起こす場合などに対応できるものもありますが、残念ながら届いた製品にはありませんでした。
今更ですが、XY-L10Aの型番で売られている製品は、タイマー機能について明確に記載されているので、そちらを買えばよかったかなと。
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ひとまず制御製品から離れて、実際に流れる電流を計測してみました。
ターンシグナルについては、ピークは分かっても、平均どれぐらいかは分かりません。
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さすがにLED化しただけのことはあって、ものすごい省電力。
それが故に短命に終わったLEOCHには納得ゆかないのであります。
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電圧はロギングできますが、電流を記録できる機材がないので、モノモノシイ装備で計測します。
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ブレーキレバーを固定して、ストップランプ点灯。
ターンシグナルは出しっぱなし。
初期電圧6.4V 午前8時 計測開始。
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午後8時。
12時間経過。
周囲が暗くなったこともありますが、まるで光量が落ちた感じはしません。
この時点でようやく電圧が6.0Vまで低下。
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多少のバラツキはありますが、時間とともにほぼ直線的に電圧が下がっています。
電流については、初期に計測した値と大差ありませんでした。
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ターンで変動する電流の平均値が分かりませんが、ザックリ0.25Aとすると、性能曲線では2時間後に6V切るはずなのですが、、
なぜ12時間も維持したのかサッパリ分かりません。
ブレーキランプもターンも出しっぱなしにするなど、谷に転落して遭難した時ぐらいでしょう。
満充電で出発すれば、丸一日充電の必要はないですね。
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これだけ消費が少ないと、難しい制御は忘れて、もっと原始的な方法が使えます。
そう、手動で充電ON/OFFしちゃう。
ということで、パーツを買いました。
小型のデジタル電圧計と 10Aクラスのスイッチ。
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調整中に電圧が変わってしまっては意味がないので、ここからは安定化電源。
アバウトな工作ではありますが、0.1Vの単位で判断しなくてはならないので、それなりに気を遣います。
これと言った根拠もなく、6Vを下回らない値として6.1Vを基準にしました。
購入したデジタル電圧計も、トリマで6.10Vにセット。
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LEDは消費電力が少ないメリットはありますが、それ故にわずかな導通抵抗で明るさが極端に変化します。
ポン付け製品が多いだけに、LEDの取り扱いには注意です。
特に防水性への配慮がされていない旧車では、各部コネクタ端子のクリーニングは必須ですね。
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電圧計設置のしやすさから、以前改造して常時点灯にしたメーター照明の配線から電圧をもらいます。
あちこち迂回しているので、先ほど校正した6.10Vが 0.07V低く表示されています。
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バッテリの電圧より低い値が表示されるので安全ではあります。
とは言え、バッテリの電圧を知りたくてやっている工作なので、補正をかけます。
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購入した電圧計はハウジングのない非防水品。
適当なプラケースに入れました。
歯ブラシの携帯用保護カバーがピッタリ。
はめ込んで、ホットメルトで端面をシール。
装着ブラケットはABSの廃材を使用。
これをタッピングネジでスピードメータに固定します。
固定のネジ穴はトリマと正対する位置に開けたので、後々の調整に使えます。
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スピードメータユニットに装着。
視認性を確保できるよう、バイザの影に入る低い位置にセットします。
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カメラとの相性で色が不均一ですが、肉眼ではキレイに見えてます。
あまりゴチャゴチャさせたくないので、本当はシンプルな黒文字液晶が良かったんですけどね。
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お次はスイッチ。
レギュレータのバッテリ行きハーネスをちょん切って、スイッチハーネスを間に入れるだけ。
スイッチを切っている間、発電した電気の逃げ場がなくなりますが、たぶん大丈夫。
バッテリレスへの改造は一般的で広く行われていますが、バッテリというクッションがなくなっても、電球切れなどのトラブルを聞いたことがないので。
ただし、常時放熱しっぱなしのレギュレータは、シンクの面積を広げておくと安心かな。
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エンジン始動で電圧ピークは7.4V。
この切り替えスイッチ方法を採用したのは、バッテリ保護が主目的ですが、他にデジカメなどのバッテリを充電する際、車載バッテリだけでは充分な電圧を維持できないことがあるためです。
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ツーリングに出かけて、家に到着する1時間ぐらい前に充電回路をつなぐ。
そんな使い方をしてみます。
いゃ、もともと2ヶ月ぐらい毎に補充電しているので、スイッチを使うのはデジカメ充電の時だけで良い気がしますね。
これで4年、いや5年は保つでしょう。
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[追記]
オートバイでこのようなバッテリの使い方をするのは初めてのこと。
工作後にふと思ったのは、消費による電圧上昇。
自動車では極低温下でリチウムイオン電池が充電できなくなるそうです。
エアコンを掛けるとか負荷を与え電流が流すことで、バッテリの温度が上昇して充電できるようになるとか。
予想外に電圧が下がらなかったのは、メーター照明やストップランプなどを使うことでバッテリの温度が上がった結果、電圧が高くなったと考えられます。
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