前回「LANBOデザインステアリング:C-HRでのステアリングの脱着 (1/2)」に引き続いて今回は2回目(2/2)、ここからはステアリングプーラー(以下プーラー)を用いたステアリングの取り外しについて説明します。ただし、プーラーの説明書は詳しく書かれたものはありませんので、私なりの理解で説明しますのでご了承下さい。
なお、
これら作業について同様の事をされる場合には、すべて自己責任でお願いします。
プーラーはこのようなものです。
ブログ「LANBOデザインステアリング:C-HRでのステアリングの脱着 (1/2)」で書いたように
左右のシルバーのボルトは付属のボルトがトヨタのステアリングの穴に適合しないため、M8 1.25ピッチ・8cmのボルトに入れ替えています。左右のシルバーのボルトでプーラーをステアリングに固定して、中央の黒いボルトを締める事により、ステアリングを逆にPULL(引っ張り出す)する事になります。なのでプーラーと呼ばれるんですね。
プーラーを使う際にまず、外しておいた中央のナットを再度装着します。
この際、ナットは奥一杯まで回して差し込むのではなく、抜けない程度(2〜3回転ぐらい)浅く挿し込むのがポイントです。
ここからは写真とイラストを使ってその原理(想像だけどたぶん間違いない)を説明します。
これはステアリングを外した後で撮った写真です。土台(軸)部分はこのようになってます。根元部分は筒状のシリンダーの周りに縦に溝が刻まれています。
前に示したようにステアリング側にも中央の円形の枠の内側に溝が切られていますが、溝は上側半分にしか切られていません。
裏側から見ると筒の内面がツルツルですね。ここには溝が切られていないのです。
ここからはイラストです。上の赤いパーツがステアリングの軸(左右の黒いものがステアリングのつもりです)、下の青いパーツが土台(軸)と考えて下さい。土台(軸)には円形の筒があり、筒の外周には外向きにギザギザの溝が垂直に真っ直ぐ刻まれています。土台(軸)の中央にはナットが入る軸があり、ナットが締まるように螺旋状に溝が刻まれています。
一方、ステアリングの中央には円形の枠があり、枠の内側には土台(軸)の溝に合うように垂直に真っすく溝が刻まれています。ここで注意してほしいのは、
ステアリングの枠の溝は上側半分くらいしか刻まれていません。下側半分はつるつるになっているのです。この半分がつるつるというところがステアリングを引き抜く際のポイントになってきます。
二つのパーツが下図のように合わさって固定されています。
さらにナット(イラストでは紫、実際は濃緑)が締められ、固定が強固になっています。
ステアリングを外すときはまず中央のナットを外します。
中央のナットを外せば、原理的にはステアリングを引き抜く事は可能です。しかし、根元でギザギザの溝にはまっているのでそう簡単には引き抜けません。引き抜くためにはまっすぐ強い力で引っ張る必要があります。ただし、ステアリングには根元のスパイラルケーブルユニットからケーブルがついていますので注意が必要です。
ステアリングを引き抜こうと思いっきり引っ張った拍子に、ステアリングがスポンと手前に一気に引き出される恐れがあります。その場合、ケーブルが付いたままだと、根元のスパイラルケーブルユニットを壊してしまう恐れがあります。また、一気に引き抜かれたステアリングで胸や腹部を思いっきり打撲する危険もあります。スパイラルケーブルユニットを痛めないように、ケーブル類はあらかじめ抜いておいて下さい。
ステアリングが一気に引き抜かれるのを予防するために、中央のナットをすこし浅めに装着すると良いです。
こうすると、ステアリングが一気に手前に引き抜かれても、浅く締めたナットがストッパーとなって、それ以上引き抜かれる事を予防できます。
このようにすれば、特殊器具を用いなくても抜く事は可能です。
ただし、特殊工具(プーラー)を使用する事で安全で簡単にステアリングを外す事が可能です。
プーラーは前に説明したように、このような工具になります。
プーラーは下図のような方向で用います。
両端のシルバーのボルトをステアリングの両サイドの穴になるべくステアリングに平行になるようにセットします。これで、プーラーの横枠とステアリングが平行に一体化しました。
実際の写真の様子です。プーラーの両サイドのボルトには付属のワッシャー(円盤ですね)を取り付けて、締め付けます(この方が、シルバーのボルトの締め付けが均等になります)。シルバーのボルトは1cm~2cmぐらいは締め込むようにして下さい。浅いと力をかけたときに、抜けてしまうおそれがありますし、穴に切ってある溝を痛めてしまうおそれがあります。
ステアリング中央の突起には元々のナットをストッパー代わりにすこし浅めに締め込んでおきます。写真ではこのようになります。
次に、プーラーの真ん中の黒いボルトの先端に付属のキャップをナットと背中合わせとなるように装着します。
下の写真のように、キャップの平らなところをナットに接するように(平らなところをこちら側ではなくて向こう側にして)セットします。これからわかるように、ナットとキャップは背中合わせに接触するだけで、溝等で接合する訳ではありません。
キャップの凹み部分をプーラーの中央のボルト先端にセットします。
セットしたところです。キャップの凹みに中央の黒のボルトの先端をセットしているので、ピタット背中合わせにした際にキャップが下に落下する事はありません。
プーラー中央の黒いボルトには14mmのソケットが適合します。
ソケットにトルクスレンチなどを取り付けて、右回しで中央のボルトを締め込んでいきます。
イラストではこのようになります。左右のシルバーの2本のボルトでプーラーとステアリングは一体化しています。その状態で中央の黒いボルトを押し込んで行くと、(青い)土台の対して(赤い)ステアリングは引き出される(PULLですね)形になります。
ここで、注意しておいて欲しいのは、
土台の円筒部の外側にはずっと溝が切られていますが、ステアリング側の筒の内側部分には上側の半分しか溝が切られていません。
したがって、
ステアリングが半分ほど上に引き抜かれると、溝どうしの勘合がはずれる仕組みになっているのです。
なので、
ステアリングが半分ぐらい引き抜かれると、ステアリングの勘合がゆるんで回るようになります。この状態になればステアリングはフリーとなっているので、ゆっくり・そぉーと引き抜く事ができるのです。
ステアリングが軸状でカラカラと回るようになったら、トルクスレンチを外して、プーラーも外す事にします。
プーラーも外した所ですが、この時点では中央にナット(濃緑)を浅く締め込んでいるので、ステアリングが抜ける事はありません(安全ですね)。
作業の様子の動画がこちら。中央のナットを装着しているので、ステアリングがぐらぐらになっても、引き抜けない状態をキープできているので安全です。
そして、いよいよ、中央のナット(濃緑)を外してステアリングを抜くことにします。この際には、エアーバックのケーブルがひかっからないように注意して下さい。強くひっぱる必要は全くなく、ゆっくり引き抜けるので、気を付けていれば大丈夫です。
ステアリングを抜き終わったところです。奥にスパーラルケーブルユニットが残っていますが、ユニットを回さずにそのままの状態でキープします。カプラーが上(時計の12時)の状態でないと、ステアリングを装着する事ができませんが、左右どちらかに1回転させるなどしてからステアリングを装着し、そのままステアリングを回すと、スパーラルケーブルの故障の原因となります(内部のケーブルが断線します)ので注意して下さい。
外した純正ステアリングの背面に装着されているカバーを外して(爪などで固定されています)、新しく装着するステアリングに取り付けて下さい。
外したカバーを入れ替えるステアリングに装着します。
ステアリングは慎重に位置合わせをして取り付けます。中央の軸にマジックで水平部分をマーキングしているのを利用して、新しいステアリングの左右の穴の水平部にもマジックで印を付け、その高さを合わせるようにして位置を調整しました。その後、中央に固定用のナット(濃緑)をセットします。
再固定時、中央のナットはトルクスレンチで50 N・m(C-HRの電子技術マニュアルで規定されています)にセットしてボルトを締めました(そんなにきつく締めなくてもよいと思うんですけどね〜)。
あとは、カプラーを戻して、クルコンユニットも移植しました。
エアーバックは装着していませんが、この状態で走行は可能です(エアーバックのエラー警告灯は点灯してますが)。周りの道路を少しだけ走って、ステアリングの軸がずれていないかどうか確認しました。大丈夫と判断した上でエアーバックを戻して完了です。テスト中はくれぐれも安全運転です。可能であれば、公道でないところ(公園や駐車場など)を走って確認すると良いでしょう。エアーバックなしで事故をした場合、道路交通法違反にはなりませんが、保険適応外になる場合があります。
このようにして今回純正ステアリングからLANBOデザインステアリングTYPE-II [C-HR}に変更しました。いくつか注意点はありますが、自分で十分DIY可能です。もしこれからステアリングの脱着をされる予定のある方は参考にしていただくと幸いです。
C-HR FANの過去の投稿リストはこちらです。
C-HR FANの投稿リスト8 (2019-04-18~)