
私の乗って(試乗して)みたいバイク。という書き込みで低回転、低出力のバイクが好き・・・のコメントで見ている方に大ひんしゅくを買ってしまったようですが、いささか言葉足らずでしたので言い訳をさせて下さい。私も若い時分は性能第一主義で、まずカタログで最初に見る項目は馬力、車重でその他の項目は後回しにしておりました。何よりも速さ優先でした。
ところが、経験と知識、おしっこの回数(笑)が増えるにつれ、考えが変わってきたのです。
まず馬力を上げるにはエンジン回転を上げるためにショートストロークにして多気筒かつ高回転でもバルブを正確に作動させるためDOHC化は今や普通の技術になりつつありますよね。
更にバルブの本数を増やすという方法もありますね。2本→4本等、ヤマハは5バルブもありましたね。
こうした技術は私がバイクを始めたころは殆どなく、DOHCの弁機構を持つのはカワサキZ750RS(Z2)
ヤマハTX500、ホンダCB450のみだったと記憶しております。まあ当時は2ストがこの世の春を謳歌していた時代でもあり、4スト専業メーカーのホンダ以外のメーカーにとってはDOHC化は差し迫った課題ではなかったと思われますが、DOHCエンジンのバイクなんてものは高嶺の花もいいとこで、チョモランマの頂きに咲く花一輪といった感じで、貧民の私にとっては、ただ遠くから指を咥えて眺めるだけの存在でした。
ところがその後、世の中から2ストバイクが駆逐され始めると、4ストエンジンの高性能化に拍車がかかり250ccにして4気筒というレーサー並のマシンが登場し、各社しのぎを削ったのはご承知の通りです。始めスズキが4気筒モデルを発表した時は低回転がスカスカで、やはりこの排気量で4気筒は無理があると思う間もなく多くの技術を投入してその問題を解決したのは流石、日本メーカーです。馬力はピーク時で45PSですからリッター換算すると180PSとクオーターと言えどもモンスターでした。
その後、バブルははじけ、バイクブームは去り、排気ガス規制は強化され、バイク業界にとっては
2重苦3重苦の時代が続き、車種を激減して耐え忍ぶしか道はなかったのです。
その後中年の出戻りライダーがけん引役になり、徐々に売れ行きが回復し、ニューモデルも投入され今日に至っているのはご存じの通りです。
凄く前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
ハイパワーエンジンを目指すとどうしても、低中速トルクが犠牲になるという矛盾が生じます。
これはショートストローク化と多気筒化のもたらす弊害だと思いますが、ハイパワーバイクは商品としての価値が上がる(売れる)ので、どうしてもそちらが主流になるのだと思います、もっとも今ではコスト高を嫌って250のマルチは姿を消しましたが。
ところが現在、各社250のロードスポーツは30PS超えなのに新型モデルを24PS程度で投入するという暴挙に出たメーカーがあります。エンジンは水冷4スト2気筒 OHC 2バルブボアストローク53.5 mm×55.2 mm最高出力 24 PS/ 8,000 rpm 最大トルク2.2 kg/6,500 rpm 装備重量178kg とどう見ても良いところが見当たりません。
この時代にDOHCでもなく4バルブでもなく、馬力は他メーカーより6PS以上少ないのです。
これではとても買って貰えそうにありませんが、試乗した人によれば、意外と好感触で発進加速も大変良く街乗りにおいて、とてもトルクフルで乗り易く、低速トルクが太いためタンデムライディングも得意だろうとの事。
もうお察しのようにこれはスズキのGSX250Rの事です。
スロットル・レスポンスも良いそうですし。これはロングストローク・エンジンによるメリットでして
最大トルクは他社比で2000回転も下で発生している事によると思います。しかしその分最高出力が低くなるのでメーカーとしては出力をアピール出来ず大損です。
サーキットや高速道路でぶん回すのには向いてないでしょうが、通常の使い方では、こっちの方がずっと良いと思います。
さて私のバイク選びの基準ですが、まず見た目。これが好みにマッチしていなくてはずっと不満が残りますから。そして足つき性、エンジンのボアストローク、これは出来ればロングストロークがベストです。最大トルクの数値が大きいものと、その発生回転がなるべく低い事、そして最高出力発生回転と最大トルク発生回転の差が大きいもの。ピーキーではないエンジン特性ですね。そしてそんなバイクなら高回転まで上げて走る必要もないので燃費も良かったりします。私は桁外れの高速走行は好みませんからこれで良いのです。
しかしこれらを当てはめてバイク選びをしてますと、何とあのハーレーになってしまうのです。
このメーカーになると徹底していて最高出力の表示すらありません。でも私は、あの足を投げ出すようなポジションと排気量が大き過ぎるので好みません。
スズキが250ロードスポーツを他社とは違ったアプローチで選択の幅を広げてくれた事には大賛成です。ちなみに私は前からヤマハファンでスズキに肩入れする義理はありませんので(笑)
滅多に使わない部分に注力したバイクでは勿体無いと思います。いろいろ知ったような事を書きましたが、エンジン技術も日進月歩でVVT、V-TEC等で過去の弱点を克服しつつあるのは素晴らしい事だと思います。長々と読んで下さいまして有り難うございます。
写真はトルク型W800の先祖で650RSです。ネットからの画像で香織さんという方が乗っておられます。
いちおうページを張り付けておきます。
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Posted at
2018/01/14 21:30:21