
旅行等で長距離移動をする場合、選択肢として愛車・バス・鉄道・旅客機。この中で選択するというのが一般的だと思います。
これにもう一つの選択肢、フェリーで移動するを加えることをお勧めします。
船酔いするのではないか?と考えがちですが、全長200m弱の大型フェリーで波が最も穏やかな瀬戸内海航路だと揺れは皆無で船酔いは無縁の話になっています。
今時のフェリー事情は定期的に新造船が導入されており、動くホテル・プチ豪華クルーズ客船というレベルになっています。
ただ移動することが船旅という立派な旅へと変化してしまうのです。現在のフェリーに一度でも乗船してみればハマること間違いなしです。
上が船内の個室に入るカードキー2人分。下が乗船券で、右下は一人分と車の運賃がプラスとなっています。全国旅行支援で、この額から16000円のキャッシュバックがありました。価格が高いのは、この船で最上等級の部屋で予約をしたからです。「せっつ」か「やまと」のロイヤルに泊まってみたかったという願望があったので。
受付時に地域クーポン券3000円と船内クーポン券1000円。これを2人分で合計8000円分ほどもらいました。
乗船した船は、ペットルーム(設置されたケージの中でペットを預ける部屋)とペットと一緒に泊まれるウィズペットルーム(ドッグランもある)があり、愛車だけでなくペットも負担をかけずに移動が可能となります。
せっつの船内案内板となります。客室は三階に分かれていて大浴場もありますが、この船は露天風呂もあります。
ゲームコーナーはUFOキャチャーとスロット。スロットは一定数のメダルを獲得すると景品が出るタイプ。
マッサージチェアがあるリラックスルーム。
売店とレジ部分の外側が案内所となります。
喫煙室。喫煙は各フロアにあるここで。ここ以外の喫煙は罰則になります。
自販機も各フロアにあります。
阪九フェリーのレストランはカフェテリア形式。食べたい皿を取って最後に会計します。
無料ドリンクは左の使用中のホットサーバーで(白湯、お茶1、お茶2)暖かい飲み物。
左のウォーターサーバーで冷水。その右に電子レンジがありますが、取った皿にラップがかかってある物は冷たいか冷めています。ここで温め直すことができます。
目玉焼きとハンバーグの皿だけチンしました。これくらいをチョイスすると2人分で4000円を超えました。しかし夕食・朝食ともにクーポン券で支払いました。
画像は日中ですが、自室に戻ってお風呂に入り、
阪九フェリーの部屋着(ロイヤルでは浴衣とリラックスウェアの2種類)に着替えて晩酌タイムです。
前日に泊まった地上のホテルの部屋よりも断然こちらのロイヤルが格上。居心地が良すぎて海の上の船であることを忘れてしまう。フェリーでの晩酌は至福の時間。テレビ見ながらまったり過ごして名物のパイシューをつまむ。
テレビは海なので陸から離れている海域では映像が荒れたり、最悪で映らなくなります。
そんな時は地デジを諦めてBSにすることをお勧めします。映りは文句無しに奇麗に映ります。
これは衛星自動追尾型の船舶用BSアンテナを設置しているからです。ですが、これも弱点があって橋の下を通過する際は映像が一瞬乱れます。
そして夜は更け就寝。スイートのほぼ倍の専有面積を持つロイヤルのベットの寝心地は今まで乗船したフェリーの中で断トツ。ぐっすり眠って夜明け前に起床。
朝食は質素にカレー。と言うのも朝食開始から1時間未満で下船時間となるので、ここでお腹いっぱい時間をかけて食べていると残り時間がなくなるので小食にして済ませました。これが金・土曜日の乗船だと下船の1時間30分前にレストラン再開になるので朝はゆっくり食べれるのですが。
朝食後は窓の外の海面が薄っすらと見えてきました。
部屋に戻り、プライベートデッキから海を眺めていると新門司に入港直前でした。
少し離れた港に名門大洋フェリーの「きたきゅうしゅうⅡ」が先に着岸していました。大阪南港からの第1便の方です。
こちらはオーシャン東九フェリーの「びざん」
東京から徳島を経由して新門司に着きます。正直に言うと、ひと昔前のフェリーでスイートどころかトイレ・バス付の部屋もなくレストランもありません。食事は自販機の冷凍食品をレンジで解凍して食べる形となります。
阪九フェリーですが、こちらは大阪泉大津発の「いずみ」
姉妹船ではありますが、泉大津~新門司航路の「いずみ」「ひびき」は2015年就航で、神戸~新門司航路の「せっつ」「やまと」は2020年就航となっています。
微妙に違いがあり、ロイヤルでは風呂とトイレが一体型となってたり、デラックス和室にトイレが付いていなかったり、ペットルーム・ウィズペットルームがなかったりと異なる部分があります。
いよいよ接岸で、平城京の太極殿を模した斬新なターミナルに近づきます。
船内の駐車スペースの車に戻る途中、右舷の搬入口からイルカマークの船が航行していました。後で調べてみるとトヨフジ海運の自動車運搬船でした。
車で下船し旅の終わりです。
ここもただのガードレールではなく太極殿風のガードレールと拘っています。
自宅のある山口県から岡山国際サーキットでMAZDA FAN FESTAを見物に行って、そこから神戸に行ってフェリーでUターン。そうして帰宅したのですが、この間は無給油で終えました。片道分くらいしか燃料は使わないので当たり前ですが、旅先でガソリンスタンドを探す必要も無くなります。
ここからは壮絶なライバル関係である名門大洋フェリーと阪九フェリーの比較をします。
この2社は福岡~大阪間で同じ航路で争っています。それぞれ一長一短がありますが、まずはネット予約から。
名門大洋フェリー
泊まりたい等級の部屋番号まで選択できて、決済はオンライン決済のみ。繁忙期以外では2便より1便の方が割引率が高い。
阪九フェリー
泊まる部屋の等級を選ぶことができるのですが部屋番号までは選択できません。それぞれの等級で若い番号順で埋められていきます。部屋番号まで選択したい場合は電話予約ならできますが、ネット割引は適応されません。支払いは現地で決済とオンライン決済と選ぶことができますが、現地で決済で予約しても乗船までオンライン決済に変更も可能です。
乗船当日
名門大洋フェリー
ネット予約なら乗船券の発行無し。車で乗船する場合は終始全員降りずに検温してくれて、予約完了時のQRコードを読み取ってもらうだけで手続きは完了します。(QRコードは人数分のそれぞれのQRコードが必要なので注意。)車に一人だけだと1分かからず秒で終わります。同乗者と全員で車に乗って乗下船できます。鍵は乗船して案内所で予約番号を見せる伝えるでもらえますが、カギは一般的な鍵の一個だけでオートロックはありません。
阪九フェリー
ネット予約でもターミナルの受付窓口に並ぶ必要あり。その場合は書類を書く必要はないのですが車検証が必要です。ネット予約済だと確認だけで手続きは早い。手続きが終わると乗船券とカードキーが人数分渡されます。乗下船は基本的に車はドライバーのみで同乗者は徒歩で乗下船となります。繁忙期や車の台数が多い日は下船時に同乗者と一緒に車で下船が許可される日もあるようです。同乗したい場合は窓口で同乗許可証を発行してもらって下さい。カードキーの部屋はオートロック式になっています。
注意事項…阪九フェリーは現在アメニティの中で歯磨きセットが外されています。第7波以降ぐらいから二次感染防止のためなのか分かりませんが、これがいつまで続くかも分からないので歯磨きセットは必ず持参して下さい。
レストラン
名門大洋フェリー
1便と2便で内容が変わります。1便は夕食がバイキング形式で大人で1600円。朝食が軽朝食というセットメニューで、パンでのモーニングセットのようなもので大人300円。2便は夕朝食ともにバイキング形式。料金は夕食は同じ1600円で、朝食が750円。夕朝食バイキングセット券購入だと2150円となります。2便の朝食は下船1時間50分前からなので、ゆっくりと朝からお腹いっぱいに食べることもできます。ソフトドリンクも飲み放題。料理の質ですが種類によりバラツキがありバイキングクオリティと言わざるを得ない。例として「ハンバーグはこの素材を使ってハンバーグというのですか?!」みたいな。それと浴衣での入場を禁止しています。
阪九フェリー
カフェテリア形式ですが、その場で調理して提供されるオーダー料理もあり質は高い。しかしその反面、値段も高くなる。セットメニューに好みの皿を追加することも可能です。ここのレストランは浴衣での入場を禁止していない。営業後はフリースペースとして利用できるので、個室でない部屋を利用した場合は弁当持参でレンジで温めて食べることや晩酌も可能です。
どちらのフェリーも同じなのですが朝の料理の種類は夕食より減少します。
乗り心地
どちらも九州・四国・中国・近畿と陸に囲まれた内海なので海が荒れることは余程の低気圧でないと荒れない。(台風時は当然欠航となります。)横・進行方向の揺れは感じることはできないのですが上下のエンジンの振動が微妙にあります。時間が経つと気にならなくなりますが。これはフェリーはロングストロークで燃費重視で作られているからです。シリンダーも人がすっぽりと入るほどの巨大なエンジンなので、エンジンマウントで宙づりにすることもできないので直付けとなり微振動を船全体に伝えてしまうというわけです。とは言っても車の振動と比べたら全然小さな振動です。豪華クルーズ客船の場合は、燃費よりも静寂性重視で作られているので、この微振動ですら無いという話です。それはまあフェリーの料金よりも1桁~3桁高いので可能な話なのですが。
現在では離岸接岸時に、強風や潮流が強くなければタグボート無しで自力で可能となっています。それはサイドスラスターを装備しているからです。サイド船底近くにスクリューが付いていて船首側がバウスラスター、船尾側がスタンスラスターですが違いがありました。阪九フェリーがツインで名門大洋フェリーがシングルでした。この違いは大きく名門大洋フェリーだとロビーに居ても「今、離岸してるな!」と分かるほど上下の振動が大きくなります。阪九フェリーだとサイドスラスターが使用中でも上下の振動があまり変化しなかった。
やはり一長一短があって甲乙つけがたいですが、大阪の乗り場の違いや都合のいい時間帯で選ばれてみてはいかがでしょうか。
人生の中で一度も船旅をしないって勿体無い話だと思いますよ。