自動車が一般大衆に受け入れられた理由の一つに低価格があります。
この低価格を実現するために今から約100年前に アメリカフォード車は「T型フォード」を発売した。
この低価格を実現するためには 大量生産と分業化により生産性を高めた結果、安価なクルマが世に発売 自動車は庶民の足となりました。
因みに この当時のT型フォードは1車種 1塗装(黒塗り)しかなかったのです。
しかし昨今の自動車メーカーでは セダンやクーペ SUVやステーションワゴン ミニバンやスポーツカーなど 様々なお客様のニーズに応えるために車種を増やす結果に。
すると生産ラインの種類は膨大となり 新車発表時にはフル稼働の生産ラインも5年も経つと10%くらいになる生産ラインも珍しく無い状況となりました。
これでは弱小自動車メーカーは廃業の憂き目になるだけです。
そこで今日のマツダの改革の一部をご紹介致します。
【コストダウンへの挑戦】
世界の常識は一枚の鉄板から部品を切り出せる割合は60%で40%は無駄が出ていたのが マツダでは70%にすることに成功したのです。
これを実現するためCX-5のCピラー(屋根を支える柱で クルマの一番後ろの部分)を大胆に 2分割にして 組み立て時に二つの部品を溶接してつけると言うもので 今までの常識ではこの方法の方がコストは高くなると思われていました。しかし厳密に計算した結果 低コストにすることができました。
【分業化の弊害を克服する】
専門分野のエキスパートを作り 分業化 細分化して自動車を生産すると片寄った考えが生まれるようになった。
そこでマツダは生産や設計を一緒にクルマ作りをするために「一括企画」なる提案する。
これにより設計は生産担当にものづくりの相談がしやすくなり生産は無駄をなくすために設計担当に改善を共に考えるようになりました。
この改善成果の一例がフロントメンバーを今までドライブシャフトを通すために湾曲させていたものを直線的に設計することができました。
【新素材 ハイテン材を使用する。】
ハイテンと言う材料は一般の鉄板より重量が同じでも硬い素材です。
(プレス実験)
通常の鋼材
ハイテンの鋼材
しかしこのハイテン材は曲げ等の加工が難しく 熱を加えすぎると強度が落ちる性質を持つ代物で生産担当からはやっかいな材料なので使いたく無いと言いたい鋼材でした。
しかし設計はこれを使うことで より軽くて 強度のあるクルマ作りが出来ると主張し 一括企画制度により設計 生産が より良いクルマを作ると言う信念で作りあげた結晶なのです。
ちなみにロードスターでは。
NC型よりND型ロードスターのハイテン材率は向上していますねぇ。(上がNC型 下がND型)
【広島製 自動車作りのこだわりのマツダ】
安い人件費と安い部品を調達しやすい海外生産を極力するなくする取り組み。
広島製の自動車を世界のマツダファンに体感 共感 感動して頂き 購入して頂く。
このための問題点は 新車発表時は売れるが5年も経つと売れなくなり 生産ラインはガラガラになる。
これを解決するために問題に取り組んだ。
解決策は同じ一つの生産ラインにデミオもロードスターもCX-5も流すと生産ラインは常に100%以上の生産性を確保出来る。
この課題を解決するためには 専用のジグを開発することと各大小の車種を一定の企画化することで解決しました。
(NCロケーター)
(NCロケーターが車体に差し込まれる写真)
このロケーターを任意で移動出来るものを開発 ラインの基準寸法を任意化し 溶接や組み立てラインに反映することが出来 これによりより良いクルマが より安く出来るようになりました。
【スカイアクティブエンジンの生産】
超高圧縮比のエンジンは高効率なエンジンにはなるが 事実上はノッキングなどを引き起こしてエンジンを壊してしまう。が自動車100年間の常識でした。
しかしマツダはこれに挑んだ。
市販のエンジンなら圧縮比は11前後をあえて13以上にするとノッキングが安定して 高出力になることを発見した。
しかしこの圧縮比を実現するためには普通のエンジンを作るラインでは 到底作ることの出来ない代物。
F1エンジン製造の精度が要求される難しいエンジン生産にチャレンジしたのです。
詳しくは次回号にて
これにより 他の自動車メーカーが真似の出来ない独自性を持ったマツダは復活を遂げたのだと思います。
Posted at 2017/10/20 09:20:00 | |
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