
今回から7回の連載で「中古車の経済学」を掲載します、宜しかったら、ご拝読頂ければ幸甚です。
露・ウクライナ戦争の勃発を起因とした半導体不足により、自動車メーカーの新車の製造・販売は大きな打撃を受け、今現在も発注後の納車が2~3ヶ月後という実態が続いています。この反動を受け、短期間で(在庫があるため)納車される中古車が見直され、中古車市場が活況を呈しています。
中古車市場が新車市場と大きく異なるのは、私たち消費者が、売り手と買い手という2側面から市場参加者になるという点にあります。新車市場では、新車にはメーカー希望小売価格という絶対的な指標がありますが、中古車市場では、売りにせよ・買いにせよ相対的な指標しか存在しません。中古車は、新車と異なり、世の中にたった1台しか存在しませんので、価格表という概念がなく、相対取引の業者が提示する価格を消費者が自分で、高い、安い、妥当であるかを判断しなければなりません。
以下の表1は、リクルート社の調査結果ですが、中古車の購入価格は、2015年には116万9千円だったのが、2021年には155万円と32%に上昇しています。
(表1)「カーセンサー中古車購入実態調査2021」)
一方、以下の表2は、中古車オークションの最大手であるユー・エス・エスのオークションにおける1台当たりの成約価格の月次推移ですが、ここ(1年以上)継続して、前年対比10%以上の上昇率で推移しています。
(表2)オークション成約価格の月次推移
さらに一つのモデルに絞って中古車の販売価格を追ってみます。トヨタのヴェルファイアですが、それぞれ2019年モデルおよび2018年モデルの中古車の販売価格は、半年前および1年前に比較して、凄まじい値上がりを見せています。(「中古車ファン調べ」)
(表3)
上記により、中古車の販売価格は上昇中、下取り価格および買い取り価格も上昇中と判断して差支えないと云えますが、私たち自動車のオーナーにとって、下取り価格および買い取り価格が上昇する事は歓迎すべきことですが、消費者としての目線からは、中古車の販売価格が上昇することは、歓迎すべきことではありません。まずは、中古車の価格のメカニズムを学び、中古価格(下取り・買い取りおよび購入)の適正な相場を知ることが重要となります。
(次回に続く)
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Posted at 2022/10/11 14:51:08 | |
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