
2. 政府(総務省)が主張する自動車課税の実態
まずは、自動車産業・消費者を管轄する監督官庁・地方自治体・団体等ですが、国土交通省、経済産業省、総務省、国税庁もしくは、その多くの税収が地方自治体に委ねられていることから道府県・市町村も加わり、あまりにも多くの行政が関与していることから、官庁間の調整に時間がかかる日本としては、収拾がつかない状態となっていることが危惧されます。
取り敢えず、監督官庁の一つである総務省の主張する課税の範囲をみてみましょう。
(表3)
出所:消費課税(令和4年10月26日)(総務省)
数値は、((軽)種別割+環境性能割+旧(軽)自動車取得税)の合計で、重量税は含まれていない。)
今回の走行距離課税の議論のベースとなったのは主として以下の理由によります。
① 車体課税(=環境性能割+(軽)種別割(国税である重量税は含まれていない))の税収が、ピーク時の平成8年(=1996年)と比較し4,300億円近くまで減少した。
② 税収減少を後押している背景には;
・普及している電気自動車の環境性能割が非課税で、毎年5月に納税する種別割で排気量が1,000CC以下の25,000円という最低税率が適用されている。
・エコカー減税(重量税+自動車取得税・環境性能割)やグリーン化特例(自動車税・種別割+軽自動車税)の軽課措置が行われている。
③ 今後、カーボンゼロに向けて、電気自動車の普及がさらに進むにつれ、税収の減少が懸念される。
等、主として以上の理由により、課税のあり方を検討するということですが、自動車関連諸税にうちの車体課税の税収が減少したからといって、この減収を補う手段の一つとして「走行距離課税」が提案されているものと想定されます。
自動車関係諸税の増税は、数ある自動車税の一部の税収が減ったからと言って、増税を議論すべき問題ではなく、自動車関係諸税全体の税収を鑑みながら、かつ自動車利用者の購買力・担税力を鑑みて、議論されるべきものであります。
こういう木を見て森を見ずという発想と一時的な税収減収を由々しき事態と捕え、将来の展望を語ることなく、増税ありきという発想は、縦割り行政の日本では、良く見られる事ですが、消費者・納税者としての個人・法人としても自動車課税はあまりにも負担が大きすぎるので、看過することは出来ません。
→本当に消費者の目線から、果たして自動車関連の諸税が減少しているのか、冷静に判断しなければなりません。
(次回に続く)
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Posted at 2022/12/21 14:20:02 | |
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